とある二十歳の独白

竜胆

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とある二十歳の独白

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声優になりたくて 専門学校に入った
声優以外にも やりたいことがあって いろんなことをやった
作曲や ノベル 舞台 イラスト いろんなものに手を出した
私はみんなと同じように 声優を目指していた
でもコースが違ったり 同じ授業を取っていなかったりした
だから私は みんなが入っているLINEグループにも入っていなかったし
特に仲がいい友達は 1人しかいなかったし 遊びに行くことなんて ほとんどなかったし
夜中のバイトだって頑張った
でも 次第に私の心は 不安定になっていった
本当にしたいことが わからなくなっていった
舞台に立つことは とても楽しく 輝いていた
アフレコの時だって 楽しく いつまでも この時間が続けばいいと 願っていた
それなのに 私の心と体は 次第に不安定さが増していった
はじめは いつもより寝付きが悪くなった 朝いつもより起きれなくなった
全部全部バイトのせいにして頑張った
でも 壊れてしまった
いつものなら たいしたことのない 講師の指摘に 私は泣いてしまった
できない自分が嫌で 嫌いで 死んでしまいたいと思った
みんなの前で わんわん泣きながら 演技をした
できない でもやりたい 他の人に取られたくない
そう思っていたのに 私は夕方まで寝ていて練習にいけなかった
そして 舞台を下ろされた
自業自得 そう思った だけど 悔しくて くやしくて どうしようもなくて
みんなにあわせる顔も 思いつかなくて結局 その後の練習も行かなかった
みんなに迷惑をかけた でも私も いっぱいいっぱいだった
みんなの舞台も 見に行かなかった
見に行ってしまったら 本格的に 私が壊れてしまうと思った
だって 寝坊して 取られたくなかった 頑張りたかった その役を 他の人が やっている
それも 私よりもずっとうまく そう思うと 私は みんなの頑張りを見に行けなかった
こんなに苦しいのは 親におまえは病気だ とか
おまえは発達障がいなんじゃないか? と言われたとき以来だった
私のことを すべて 否定 されている そんな気がして 大好きな 演技のはずなのに
私は 逃げた ほとぼりが冷めるまで 学校に行かなかった
みんなに 会うのを避けて 自分の心から 目を背けた

久しぶりに学校に行った 申し訳なさしかない
講師の先生にも みんなにも そして何より 自分に
二人の講師と 二つの最後の舞台
それを 私はやり遂げた とても素晴らしい 舞台だった
楽しかった 苦しかった 輝いていた 最後の舞台
講師の先生には 少しだけ報いれた そんな気がした
自分の選んだ道 本当は 声優として オーディションを 受けたかった
でも 自分に 自信なんてなかった
100kg越えの体重 こもる声 怖い顔 体力のなさ そんないろいろなものに
押しつぶされて 改善もできない そんな自分が心底 嫌いで 自信なんて なかった
それに 自分が 信用に足る 人間か? と問われれば それはもちろん 信用できない
私は 私が 信用できない
それなのに 相手に 信用してもらおうだなんて なんて都合のいいことだろう
学校や 授業を 長期的に休んだ それだけで もう 私の信用など 地に落ちている
だからこそ 挑戦することすら 諦めてしまった

そんな私が 今 思うこと いや 思い出したこと
それは 私の夢 それは 自分の声や 演技で 誰かを笑顔にする ことだった
私は まだ何一つとして 夢を かなえられていない
もし 私が 次に 何かへ 挑戦することが あるのなら
折れず 挫けず 夢を忘れずに 何度も 何度も 挑戦できればいい そう思った
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