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3巻~友との繋がり~ 1章

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『なん「姉御ぉ!!」……次耳元でデカい声出しやがったら殺すぞ』

「も、申しわけないです」

『チっ。それで?了承は取れたか?』

「めっちゃ疑われてる最中ですよっ。理由を聞くまで動く気ないです、てか殺されます」

『あぁ、忘れてた』

「でしょうね!」

『ボスが糞猿共を血眼で探してんの知ってんだろ?』

「は、はい」

『この付近歩き回ってるそいつらなら、情報持ってんじゃないか?ってことよ。要するに商談だな。他にも目ぼしい情報あったら買うつもりらしい』

「なるほど」

『分かったらさっさと連れてこい。そいつらにとっても悪い話じゃないはずだ』

「了解です」

 一方的に切られた携帯を耳から外し、改めて二人の方へ向き直った。

「お待たせして申し訳ありません」

「いえ。それで、何と?」

「私達のボスがあるモンスターを探しておりまして、その種についての情報が欲しいと」

「……なるほど」

 東条も納得する。情報を売ると公言しておいて、この話に応じないのは違うか……。

「いこ、ノエルビジネスやりたい」

 初の金が動きそうな仕事に、ノエルは既に乗り気である。

「まぁ、そういうことなら俺も構わねぇな」

「有難うございます」

 ほっとしたように康も頭を下げる。

「それで、何処に行けばいいですか?」

「はい。一旦皇居前発電所まで徒歩で向かい、そこから幹部が車で本部までお送りいたします」

「皇居前発電所?」

 東条の眉がピクリと上がる。

「はい。どうかされましたか?」

「いえ。丁度私達もそこに向かおうとしていたので、驚いただけです」

 何の因果かその場所は、二人が次の目的地に決めていた場所であった。

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