136 / 218
3巻~友との繋がり~ 1章
11
しおりを挟む――「まさかお二人が発電所に向かおうとしていたとは、驚きでした」
「私も藜組の方々がそこを守っているとは思いませんでしたよ」
皇居前発電所は、皇居に隣接する最新型ソーラーパネルを設備した超大型発電所である。
山手線範囲内を賄えるだけの電力を、この場所だけで供給している。
現代人の一人として、それ以上に、この中でサバイバルを生き残った者として、電気の存在が途轍もない助けになったのは言うまでもない。
勿論この場所に来るまでに、断線し暗闇に呑まれた場所は幾度も見た。
トレントの枝葉がうまい具合に電線と接触せず、電気が東条の元まで届いたのは運によるものだ。
一部を除き、モンスターが公共施設に興味を示すことが無かったのも大きい。
しかしもしこの場所を守っている人間がいるのなら、自分は必ず礼を言うべきだ。
東条は予てから、その思いをずっと胸に抱いていた。
「そこはその方がお一人で?」
「そうですね。戦闘は姉御、幹部がほぼ一人で請け負っていますね。というよりも、私達下の者では彼女の邪魔になりますから」
康は彼女の恐ろしさを思い出し、カラカラと笑う。
本部が別にあるとすると、その女性は一人でライフラインを任されていることになる。
察するに、相当の実力者なのだろう。
「いったいどんな力を使うのか、とても気になりますね」
「はははっ。流石にカメラの前では、それも私の口から言うのは憚られますね」
「それもそうですね。申し訳ない」
――三人で雑談を交わしながら、西に向かってひた進む。
「そういえば平塚さんも、よく私を見つけられましたね。迷わずこちらに向かわれてたようですし」
「いえいえ、偶然ですよ。あれだけ大きな音を立てれば、誰でも気になりますって」
「ハハハ、確かにはしゃぎ過ぎました。……平塚さんはよくここの見張りを?」
「……えぇ。怖い上司に無理矢理、ですかね」
康はやれやれと言ったジェスチャーをつけ、笑顔で答える。
「それにしてはモンスターから全力で逃げていましたけど、いつものことなんですか?」
「まさか。私は遠くから、発電所に近づくモンスターがいないか見る役目です。これで」
そう言いポケットから出したのは、市販の双眼鏡。
「……組織って大変なんですね」
「まったくですよ」
警戒するのもめんどくさくなってきた東条は、元より自分の柄ではない、と探りを入れるのを止めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる