Real~Beginning of the unreal〜

美味いもん食いてぇ

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2章

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 翌朝、宛がわれた教室で目を覚ました二人は、寝袋から這い出した後朝食を貰うべく大体育館に向かっていた。

「あれに並ぶのか」

「めんどくさ。コンビニ行こ?」

 長蛇の列を見て並ぶ気を無くしたノエルが、腹を鳴らして駄々をこねる。

「ここらのコンビニ漁り尽くされてるって話だったろ」

「うーー」

 不承不承と最後尾に付いたノエルの気を紛らわせるため、簡単な指遊びをしていると、

「あの、すみません」

 自分達の後ろに並んだJKの集団が話しかけてきた。

 先頭の一人がスマホを両手で握りしめ、残りはその子の後ろでじっとこちらを見ている。

「はい?」

「私達と写真を撮っていただけませんか!!」

 思いっきり頭を下げる彼女達に少々面食らうが、そういうことなら仕方ない。
 というか大歓迎だ。

 人生で三度あると言われるモテキ。遂に自分の所にも来たか、と東条は心の中でガッツポーズをした。

「全然いいっすよ。ノエルは?」

「ん」

 二人の了承が得られたことに、JK達が手を取ってキャッキャと喜ぶ。

「有難うございます!やった!」

「よくやったわ!」

「殴られなくてよかったね!」

「うん!」

 何やら誤解混じりの会話が聞こえてくるのだが。初対面のJKを殴るわけがないだろう。

「おいおい、俺はそんなサイコパスじゃないぜ?」

「す、すみません。でもやっぱり、ちょっと怖くて」

 苦笑する彼女に、つい笑いが漏れる。

「じゃあそんな勇気ある君を称して、好きなだけ撮るがいいさ!」

「有難うございます!じゃあツーショットからっ」

「来い来い。苦しゅうないぞ!」

「ピース」

「ピース」

「……女に甘い」

 鼻の下を伸ばしているのが目に見える彼の姿に、ノエルは深い溜息を吐いた。


 ――個人、全員、と撮り終わっても、列の先までまだ長い。

「カオナシっち筋肉凄いよね。身体触らせてー」

「存分に触るがいい」

 ジャンパーを脱ぐとすかさず抱き着いてきたギャルに、変な笑いが漏れてしまう。

「ムキムキー!凄い凄い」

「えー?ほんとだ!」

「ヤバ!」

(何だここ。天国か?)

「ノエルちゃんのもち肌の方がヤバいし!」

「ホントなにこれ?人間?」

「化粧品何使ってるの?」

まにもつかっえあい何も使ってない

「「「えー!?」」」

(……姦しい)

 高笑いを浮かべる東条の隣で、ノエルもまた彼女達に大人気であった。



 ――(白飯と汁物、少しのおかず。やっぱ豪華だな)

「……足りない」

 朝ご飯は大事というし、一番気を使っているのかもしれない。貰った食事に別々の感想を抱いていると、

「カオナシさーん。ノエルちゃーん。一緒に食べよー」

 先の彼女達に誘われ、日向の下、ブルーシートの上で一緒に食事をとることになった。

 ――「そのカメラってずっと回してるの?」

「JKは需要が高い。視聴率稼げる」

「酷いっ。私達の身体が目当てなのね!」

「それにしか興味ない」

「「「キャー!」」」


「ノエルちゃんとカオナシさんってどういう関係なの?」

「親子?」

「ちゃうちゃう、飼い主とペットみたいなもんだ」

「勿論ノエルが飼い主」

「はっはっ、ほざけ」

 二人のフレンドリーさと漫才染みたやり取りに笑いが起こる。

「我儘だし食欲バグってるし大変なんよこいつ」

「まさだって勝手に荷物の中にエロ本詰めるのやめてほしい。捨てるの面倒」

「それここで言う!?あと毎度毎度そっと捨てんのやめろよ!親に見つかったみたいで気まずいんだよ!」

「「「ははははっ」」」

 開けた体育館前の一角で楽しく談笑している彼等。
 その声は響き、当然周りの者にも聞こえてくる。

 殆どの人がJK達を羨ましそうに見ていたが、中にはそれを不快と感じる者もいる。

 数人の大人達は舌打ちをし、尚も騒がしいブルーシートに近づいていった。
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