167 / 218
3章
1
しおりを挟む
「おいおいおいおい、何だ問題か?」
先頭に立つガタイのいい男が叫ぶ。
髪はドスの効いた紫色。身長は百八十程、東条よりデカい。
一目見て分かる悪人面だが、無邪気さが残っているというか、ガキ大将という表現が一番しっくりくる。
「あ、毒島!このおっさん早く追っ払ってよ!」
「あ?」
「で、では」
毒島の姿を見た大人達は、そそくさとその場から去ってしまった。
(何だ?そんなに影響力がある人間なのか?……それに……)
「またあいつ等か。そろそろシメっか」
物騒なことを口にする彼を、東条はじっくりと観察する。
その視線に気づいた彼はニヤリと笑い、手を差し出した。
「毒島 剛毅だっす。会えて光栄だぜっす」
「あ、ああ。まさでもカオナシでも、好きな方で呼んでください」
案外フレンドリーなのか?それにその語尾はなんだ?頑張って敬語を話しているのか?
「あははっ、何それ。あんたが下手に出るとか珍しいじゃん」
「うるせぇな!俺は強い奴には敬意を払うんだよ!」
ケラケラと笑うJK達に怒鳴り散らす彼だが、軽口を許しているところを見るに、顔程怖い人間じゃないのかもしれない。
「カオナシ、ちょっと場所変えて話さねぇか?っすか?」
「え?別にいいですけど」
突然のお誘いにビックリする。
「なになに?告白?」
「うるせぇっ!!散れ女ども!」
「ハハハっ。カオナシっち、そいつバカで顔恐いけど、悪い奴じゃないから安心して」
「おう」
「じゃねー」
「じゃねー」
高年集団が来た頃から寝ているノエルを起こして、二人は毒島率いる戦闘集団についていった。
使われていない教室に案内された東条とノエルは、適当な椅子に座り毒島と向き合う。
二人の前にはお茶と少量の菓子まで用意される丁寧ぶりだ。
5人ほどの部下なのか舎弟なのかが全員出ていくのを確認して、毒島が口を開いた。
「いきなり連れてきてわりぃなっす」
「別にいいですよ、暇でしたし。あと普通に喋ってもらって構いませんよ」
努力は伝わるのだが、逆に気になってしまう。
「そうか?そりゃ有難ぇ。実は敬語ってのを使ったことなくてな、ややこしくてしょうがねぇ」
「そ、そうか」
現代日本に生きてきてそんなことがあり得るのだろうか?見た目通り世紀末からタイムスリップでもしてきたのか?
「で、俺達に何の用?」
「おう。あんた達に依頼したいことがあってな」
依頼、という言葉に、ノエルの菓子を掴む手が止まる。
「というと?」
「俺達は近い内にここを出る。朧の奴も最近派手に動いてるしな。
んで、その際危機に陥るだろう俺達を助けてほしいんだ。
俺達はあいつみてぇに強くねぇし、属性魔法も使えねぇ。必ず死にかける。だから「論外」っ……」
説明途中の毒島を、ノエルの冷たい一言が遮った。
「ノエル達は進路を指定されるような依頼は受けない。それに、その条件に見合う報酬をそっち側が用意できるとは思えない」
「……」
急に饒舌に話し出した少女に一瞬驚いた毒島は、無慈悲な返答に腕を組んでしまった。
東条としても同じ考えだ。
自分達は無償の施しは絶対にしない。食料を配り歩いているのも、結果として自分に利益があるからだ。
「そーゆーこった。諦めてくれ」
彼等は交渉相手足り得ない。そう判断した二人は席を立とうとした。
……しかし、
「待ってくれ。あんた等のやり方は理解してる。はなからただ助けて下さいなんて言うつもりはねぇよ」
毒島はなんら焦った様子もなく、二人に待ったをかけた。
先頭に立つガタイのいい男が叫ぶ。
髪はドスの効いた紫色。身長は百八十程、東条よりデカい。
一目見て分かる悪人面だが、無邪気さが残っているというか、ガキ大将という表現が一番しっくりくる。
「あ、毒島!このおっさん早く追っ払ってよ!」
「あ?」
「で、では」
毒島の姿を見た大人達は、そそくさとその場から去ってしまった。
(何だ?そんなに影響力がある人間なのか?……それに……)
「またあいつ等か。そろそろシメっか」
物騒なことを口にする彼を、東条はじっくりと観察する。
その視線に気づいた彼はニヤリと笑い、手を差し出した。
「毒島 剛毅だっす。会えて光栄だぜっす」
「あ、ああ。まさでもカオナシでも、好きな方で呼んでください」
案外フレンドリーなのか?それにその語尾はなんだ?頑張って敬語を話しているのか?
「あははっ、何それ。あんたが下手に出るとか珍しいじゃん」
「うるせぇな!俺は強い奴には敬意を払うんだよ!」
ケラケラと笑うJK達に怒鳴り散らす彼だが、軽口を許しているところを見るに、顔程怖い人間じゃないのかもしれない。
「カオナシ、ちょっと場所変えて話さねぇか?っすか?」
「え?別にいいですけど」
突然のお誘いにビックリする。
「なになに?告白?」
「うるせぇっ!!散れ女ども!」
「ハハハっ。カオナシっち、そいつバカで顔恐いけど、悪い奴じゃないから安心して」
「おう」
「じゃねー」
「じゃねー」
高年集団が来た頃から寝ているノエルを起こして、二人は毒島率いる戦闘集団についていった。
使われていない教室に案内された東条とノエルは、適当な椅子に座り毒島と向き合う。
二人の前にはお茶と少量の菓子まで用意される丁寧ぶりだ。
5人ほどの部下なのか舎弟なのかが全員出ていくのを確認して、毒島が口を開いた。
「いきなり連れてきてわりぃなっす」
「別にいいですよ、暇でしたし。あと普通に喋ってもらって構いませんよ」
努力は伝わるのだが、逆に気になってしまう。
「そうか?そりゃ有難ぇ。実は敬語ってのを使ったことなくてな、ややこしくてしょうがねぇ」
「そ、そうか」
現代日本に生きてきてそんなことがあり得るのだろうか?見た目通り世紀末からタイムスリップでもしてきたのか?
「で、俺達に何の用?」
「おう。あんた達に依頼したいことがあってな」
依頼、という言葉に、ノエルの菓子を掴む手が止まる。
「というと?」
「俺達は近い内にここを出る。朧の奴も最近派手に動いてるしな。
んで、その際危機に陥るだろう俺達を助けてほしいんだ。
俺達はあいつみてぇに強くねぇし、属性魔法も使えねぇ。必ず死にかける。だから「論外」っ……」
説明途中の毒島を、ノエルの冷たい一言が遮った。
「ノエル達は進路を指定されるような依頼は受けない。それに、その条件に見合う報酬をそっち側が用意できるとは思えない」
「……」
急に饒舌に話し出した少女に一瞬驚いた毒島は、無慈悲な返答に腕を組んでしまった。
東条としても同じ考えだ。
自分達は無償の施しは絶対にしない。食料を配り歩いているのも、結果として自分に利益があるからだ。
「そーゆーこった。諦めてくれ」
彼等は交渉相手足り得ない。そう判断した二人は席を立とうとした。
……しかし、
「待ってくれ。あんた等のやり方は理解してる。はなからただ助けて下さいなんて言うつもりはねぇよ」
毒島はなんら焦った様子もなく、二人に待ったをかけた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる