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Step1 天国?地獄?のスローライフスタート!
勇者パーティー
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ヴァリア帝国の隣に位置するハドセン公国の辺境町・キシム。
そこに降り立ったフィレオトールは、ものすごく重たい溜め息を吐いた。
その理由は、長年の苦労から解放された安堵ではなく……
「離しやがれ、フィル! おれは今すぐにヴァリアに戻る!!」
捕まえた首根っこの先で暴れているノクスに呆れているからであった。
「あのイカれ皇太子が! フィルを愛妾に誘ってただぁ? フィルの過去を知ってて言っとんのか!? この×××野郎! ×××を×××して×××××にしてくれる!!」
「うん。とりあえず、その汚い口を閉じようか。」
やれやれ。
こうなるのが目に見えていたから、キシムで待っててほしいって言ったのに。
「はははっ。うるさい声がすると思ったら、やっぱりノクスだったか。」
おどけた調子の、底抜けに明るい声。
それに誘われて首を巡らせると、広い草原をこちらに向かって歩いてくる男女が見えた。
「アイザック、セレン! お前らは知ってたか!? フィルがクソ皇太子に言い寄られてたって!!」
「ああ、オッケー。ヴァリアで何があったのかは大体察したわ。キレたノクスが城を全滅させる前に、慌ててテレポートで逃げてきたわけな?」
「靴底に魔法陣を仕込んでおいてよかったよ。ノクスなら絶対に何かやらかすと思ってたから。」
「お疲れ。本当なら、ここで思いっきり同情でもするところなんだろうが……」
そこで言葉を途切れさせたアイザック。
まじまじとフィレオトールを見つめ、やがて再び口を開く。
「ここまでの美人だとなぁ……」
「精霊の加護もあって、余計にねぇ……」
その言葉には、隣のセレンも同意を示す。
風にサラサラと揺れる細い金髪に、透き通る水晶のような淡い水色の瞳。
陶磁器のようになめらかで白い肌に、華奢な体つき。
儚い百合を想像させる清楚な美を詰め込んだフィレオトールの容姿には、誰もが二度見をせざるを得ないのである。
「捨ててもいいなら、こんな顔なんか捨ててやるよ。本当に損しかしないんだから…っ」
「ええぇーっ!!」
フィレオトールが辟易と告げた瞬間、甲高い叫び声が轟いた。
「だめだよ、もったいない!」
「ってか、許さない!」
「私たちのお気に入りなのにーっ!!」
猛抗議をしてくるのは、フィレオトールの周囲に舞うきらびやかな小人たちだ。
「……だってさ。」
「今日も精霊たちに愛されてるわねぇ。」
「くう…っ」
慣れた様子でそう言うアイザックとセレンに対し、フィレオトールは悔しげに拳を握り締める。
幼い頃から顔がよかったせいで、多くの災難を被ってきた半生。
それでも歪まずに生きてこられたのは、キシムという温かい町と頼もしい友人たちのおかげ。
都会から離れた辺境の人々は自分を見ても大袈裟な反応はしないし、ノクスたちに至っては自分の中身優先で接してくれて、容姿の話題などほとんど口にしない。
……まあ、同じ苦難を乗り越えた親友たちともなれば当然かもしれない。
あらゆる獣を従える闘拳士、アイザック・ミュレー。
大地の女神を降臨させし歌の聖女、セレン・ティティス。
精霊に愛された魔法使い、フィレオトール・カランディア。
空を統べる神の代理人たる聖剣の勇者、ノクス・レオリア。
自分たち四人は、魔王討伐のために選ばれた勇者パーティーなのだから。
そこに降り立ったフィレオトールは、ものすごく重たい溜め息を吐いた。
その理由は、長年の苦労から解放された安堵ではなく……
「離しやがれ、フィル! おれは今すぐにヴァリアに戻る!!」
捕まえた首根っこの先で暴れているノクスに呆れているからであった。
「あのイカれ皇太子が! フィルを愛妾に誘ってただぁ? フィルの過去を知ってて言っとんのか!? この×××野郎! ×××を×××して×××××にしてくれる!!」
「うん。とりあえず、その汚い口を閉じようか。」
やれやれ。
こうなるのが目に見えていたから、キシムで待っててほしいって言ったのに。
「はははっ。うるさい声がすると思ったら、やっぱりノクスだったか。」
おどけた調子の、底抜けに明るい声。
それに誘われて首を巡らせると、広い草原をこちらに向かって歩いてくる男女が見えた。
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「ああ、オッケー。ヴァリアで何があったのかは大体察したわ。キレたノクスが城を全滅させる前に、慌ててテレポートで逃げてきたわけな?」
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「お疲れ。本当なら、ここで思いっきり同情でもするところなんだろうが……」
そこで言葉を途切れさせたアイザック。
まじまじとフィレオトールを見つめ、やがて再び口を開く。
「ここまでの美人だとなぁ……」
「精霊の加護もあって、余計にねぇ……」
その言葉には、隣のセレンも同意を示す。
風にサラサラと揺れる細い金髪に、透き通る水晶のような淡い水色の瞳。
陶磁器のようになめらかで白い肌に、華奢な体つき。
儚い百合を想像させる清楚な美を詰め込んだフィレオトールの容姿には、誰もが二度見をせざるを得ないのである。
「捨ててもいいなら、こんな顔なんか捨ててやるよ。本当に損しかしないんだから…っ」
「ええぇーっ!!」
フィレオトールが辟易と告げた瞬間、甲高い叫び声が轟いた。
「だめだよ、もったいない!」
「ってか、許さない!」
「私たちのお気に入りなのにーっ!!」
猛抗議をしてくるのは、フィレオトールの周囲に舞うきらびやかな小人たちだ。
「……だってさ。」
「今日も精霊たちに愛されてるわねぇ。」
「くう…っ」
慣れた様子でそう言うアイザックとセレンに対し、フィレオトールは悔しげに拳を握り締める。
幼い頃から顔がよかったせいで、多くの災難を被ってきた半生。
それでも歪まずに生きてこられたのは、キシムという温かい町と頼もしい友人たちのおかげ。
都会から離れた辺境の人々は自分を見ても大袈裟な反応はしないし、ノクスたちに至っては自分の中身優先で接してくれて、容姿の話題などほとんど口にしない。
……まあ、同じ苦難を乗り越えた親友たちともなれば当然かもしれない。
あらゆる獣を従える闘拳士、アイザック・ミュレー。
大地の女神を降臨させし歌の聖女、セレン・ティティス。
精霊に愛された魔法使い、フィレオトール・カランディア。
空を統べる神の代理人たる聖剣の勇者、ノクス・レオリア。
自分たち四人は、魔王討伐のために選ばれた勇者パーティーなのだから。
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