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Step3 心臓がもたない!止まらない押し一手!!
必殺の色仕掛け
しおりを挟む「ほ、本心って…っ」
まさかそう言われるとは思っていなかったフィレオトール。
胸をぎゅっと締め付けられるような感覚に、それ以上の言葉が出なくなってしまう。
ずるい。
本気でそう思った。
前みたいに計算だと言ってくれれば、こっちにだって逃げ道があったのに。
そんな表情で見つめられたら、嫌でも分かってしまうじゃないか。
ノクスの今の言葉に、嘘も下心も一切ないんだって―――
「う……うぅ…っ」
この妙に甘酸っぱい空気、どうすればいいんだろう?
これ以上ドキドキさせられたら、心臓が止まってしまいそうだ。
「……その顔は、おれを誘ってるってことでオッケー?」
「へっ!?」
せっかく距離を取ったのに、一瞬で腰を引き寄せられて距離がゼロに。
無駄にイケメンな顔が眼前に迫ってきて、意識がパンッと弾けた。
「ま、待って!」
パニックのあまり、体が勝手にノクスから逃げようとする。
その拍子にキッチンに手を置いたら、指がボウルの縁に引っ掛かって―――
「わっ!?」
ボウルの中に入っていたドレッシングが盛大にかかってしまった。
「あー……何してんだ、お前は。」
「だって、ノクスが止まってくれないから…っ」
何はともあれ、ナイスハプニング!
手は少しべたつくけれど、これでノクスを引き離せる!
「ごめん…。せっかく作ってくれたのに、台無しにしちゃった……」
ノクスの腕が緩んだ隙に再度距離を取り、手を洗うために蛇口へと手を伸ばす。
すると―――蛇口すれすれのところで、ノクスが手首を掴んできた。
「ノクス…?」
「甘いな、フィルよ。美味そうなもんが美味そうなもんにかかったのに、おれがみすみすと逃すと思うなよ?」
にやりと妖しげな笑みをたたえたノクス。
彼は掴んだ手を自身の口元に持っていくと、ドレッシングまみれの指に舌を這わせてきた。
「ちょっ……何してるの!?」
「どうせなら舐め取ってやろうかと。」
「いい! いい! 普通に洗う!!」
「まったく……いい加減察しろよ。」
その時、なんの前触れもなく視界が揺れる。
気付けば、自分はシンクとノクスの間に挟まれて身動きが取れなくなっていた。
「おれ、全力でお前を誘惑してるところなの。この程度のことで逃がすかよ。」
「ゆ、誘惑!?」
「だって、お前今おれにドキドキしてるだろ?」
「そ、それは…っ」
「なら、おれは遠慮なくつけ込むから。」
低い声でそう宣言したノクスは、見せつけるような丁寧さでドレッシングを舐め取り始めた。
艶かしく指に絡む舌。
それを見ているだけでも刺激が強いのに、その舌が指の付け根や手のひらまで及ぶもんだから……
「~~~っ」
羞恥心と戸惑いが脳天をぶち抜いて、たまらず目を閉じてしまった。
「おいおい…。体が逃げられないからって、目だけでも逃げようとするなよ。」
「だって、恥ずかしいんだもん…っ」
「ふーん…。そんな可愛い顔で可愛いことばっか言ってると、もっと恥ずかしいことになるけど?」
次の瞬間、もう片方の手で顎先を捕らわれる。
あっと思った時には、唇が重ねられた後だった。
「ん…」
舌どうしが戯れるように絡んで、そしてすぐに離れていく。
息が触れ合うほどの至近距離で目が合って、フィレオトールは気まずげに視線を泳がせた。
キスなんてもう毎日のようにされているはずなのに、未だにどう反応したものか困ってしまう。
というか、自分もバカだ。
告白の答えがノーになる可能性もあるんだからしっかりとノクスを止めなきゃいけないのに、どうしていつも押し負けちゃうかな。
こんなの、なし崩し的に恋人みたいな関係になってるようなもんじゃん。
だけど、どんなに必死になって考えてもスマートなあしらい方なんて分からないし……
「あの……その……きょ、今日はもう十分だから、これ以上の色仕掛けは勘弁して…。心臓がもたないよぉ…っ」
結局、この日も白旗を振るしかないフィレオトール。
真っ赤な顔でぎゅっと目を閉じ、恥ずかしさで小さく震える姿を至近距離で見せられたノクスはというと……
(やっぱ、なんにも分かってない!!)
―――と、頭を抱えるはめになった。
好きだと自覚する前から幾度となく思ってきたが、こんなにも可愛い生き物がいていいのか?
どうしてこんなにドストライクで心臓を撃ち抜いてくるような仕草を、まるで空気を吸うかのようにやってのけるんだよ。
自分の行動を自覚させれば少しはどうにかなるかと思ったが、とんだ大間違いだ。
この筋金入りの天然天使め。
純粋無垢百パーセントでできているのか、お前は。
一体、どんだけおれの煩悩を煽れば気が済むんだ?
徐々に慣らしていってやろうと必死に衝動をこらえているおれの苦労をなんと心得る。
本当なら、毎日めちゃくちゃに抱き潰されても文句言えないぞ、こら。
さっきは冗談半分で言ったけど、やっぱり誘ってる?
そんなわけないわな!
分かってるよ、こんちくしょう!!
日々溜まりに溜まっていた衝動が、そこでぷつりと臨界点を突破した。
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