こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step5 ヘルプ!誰か、恋人の覚醒を止めてください!!

その手の話は遠慮したい…っ

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「~~~♪」


 その日、フィレオトールはご機嫌でお気に入りの紅茶をすすっていた。


 ノクスのことが好きだと認めてから、なんだか気持ちが一気に楽になった。


 気持ちが伴っていないくせにずるずると流されているのは、やっぱりどこか申し訳なかったから。


 別に、ノクスへの申し訳なさから彼のことを好きになったわけじゃない。
 ノクスのどこが好きかと問われたら、自信を持って答えられる。


 だからこそ、こんなにも気持ちが晴れやかなのかもしれない。


 自分の気持ちにちゃんと答えを出せたし、その上でノクスに傍にいていいと言ってもらえたし。


 だから、こうして気兼ねなく彼の傍に寄り添っていられることが本当に嬉しくて。


「フィル……今日はまた、えらく機嫌がいいな。」
「うん。」


 ノクスからの問いかけに、フィレオトールは満面の笑みで頷く。


「だって、五日ぶりだもん。」


 今回の依頼は遠方だったらしく、しばらく家を留守にしていたノクス。


 少し寂しく思ったけれど、彼を好きになったからといって束縛しようというつもりは全くないので、しっかりとお見送りしましたとも。


 これから続く長い時間。
 ノクスには思うように、そして幸せに暮らしてほしい。
 自分は、そんな彼の傍にいさせてもらえれば十分だ。


 ノクスとはリアルタイムで話せる通信具を持ち合っているので、何かがあれば連絡してくれるだろう。


 彼が危険な状況だというなら、自分が最速で駆けつけたらいいだけである。


 本当は遠出なら同行しようかと思ったのだけど、色んな意味で危ないから家で待っていろと言われてしまった。


 自分もノクスも簡単にやられるような珠じゃないけど、まだヴァリアの監視が外れていないのも分かるので仕方ない。


 とはいえ、想いが通じ合った今、ノクスが帰ってくるのを待つのも一つの楽しみだ。


 いつ帰ってくるのかなと、ノクスが家を空けている時は自然といつもより早く目が覚める。


 そうして待った分、こうやって久しぶりにぬくもりを感じられる嬉しさはひとしおだ。


「確かに久しぶりではあるけど……これだけでいいのか?」
「うん、十分幸せ。」


 おかげで、今日はいい夢を見られそうだ。


 やせ我慢でもなんでもなく、心底幸せそうなフィレオトール。


 そんなフィレオトールにノクスは苦笑し、肩に寄りかかる華奢きゃしゃな体を優しく抱き締めた。


「相変わらず幸せの沸点が低いな、お前は。……だけど、もっと甘えてくれた方が、おれとしては嬉しいんだけど?」


 笑みを含んだ声でささやかれると同時に、耳に優しく息を吹きかけられる。


「ひゃっ!?」


 途端に飛び上がったフィレオトールは、猫のような俊敏さでノクスから離れた。


「あ、あうぅ……」


 両手で耳を押さえて唇を震わせるフィレオトールは、すでに顔を真っ赤にしている。


 それを見たノクスはソファーの背もたれに頬杖をつくと、なかば呆れた息を吐き出した。


「いい加減、これくらい慣れろよ。前々から思ってたけど、ちょっと敏感すぎないか?」


「うっ…」


 ノクスの指摘に、フィレオトールはぎくりと肩をすくませた。


「だ、だって……」


 話題が話題だけに、ノクスの顔を見るのが恥ずかしい。
 フィレオトールは、そろそろと視線を明後日の方向に泳がせた。


「どこを触られても、体が勝手に反応するんだもん…。僕だって、ちょっとおかしくないかなって思ってるんだけどぉ……」


 一応、自分だって気にしてるんです。
 少しでも慣れようとは思ってるんです。


 でも、ノクスがそういう雰囲気で迫ってくると、心臓が暴れて体が無条件に熱を上げるんだもの。


 その状況でノクスに触れられると、もう慣れなきゃとか、そういうことを考える余裕もなくなってしまう。


 正直、自分としては逃げ出さないだけで大健闘なんです。


 そりゃ、ノクスに触れられるのは嬉しいし、そういう行為が嫌だってわけではないけれど。


 あまりにも過剰に反応してしまう自分の体に、どうしても気持ちが追いつけないというか……


(……って、僕は何を言わされてるの…っ)


 どうしよう、ものすごく恥ずかしい。


 部外者の立場で話を聞いている分にはスルーするのも簡単なのに、当事者になるとこんなにもいたたまれなくなるのか。


 穴があったら入りたい気分。
 これ以上話が長引くなら、一旦外にでも逃げよう。


 そんな風に、フィレオトールが羞恥心しゅうちしんで震えていると……


「―――ほう?」


 キラリ、と。
 ノクスの双眸が光った。


 ノクスはフィレオトールを引き寄せると、その体を軽々と持ち上げて自身の足の間に座らせる。


「へ…?」


 突然後ろから抱き寄せられるような体勢になり、フィレオトールは戸惑った声をあげるしかない。


 そんなフィレオトールの耳元で……




「じゃあ、ここは一つ―――実験といってみようか。」




 ノクスはそうささやいた。

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