こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step6 事件発生!思いつきの船旅で大ピンチ!?

暴れる本能

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 もう、どのくらいの時間が経ったのだろう。


 あれからのノクスは、こちらが望むままに綿菓子のような甘いキスをくれて、いつくしむように体に触れてくれる。


 もしかしたら、今頃自分に触れていたのはあの男性だったかもしれない。


 そんなもしもを思うと、ノクスに触れてもらえていることが嬉しくてたまらないのだけど……


「あっ……んん……ふっ……」


 熱いあいの中をノクスの指がほぐしていく感覚に、フィレオトールは切ない表情で身を震わせる。


 目がくらむような快楽が全てを支配している。


 こんなに気持ちよくて、こんなに嬉しいはずなのに……どうしても足りない。


 そんな気持ちが心の奥底から無尽蔵にあふれてきて、脳内を埋め尽くしていく。


 完全に熱に浮かされて現実がよく分からなくなっている状態では、その衝動を止めることはできなかった。


「ノクス……」


 愛しい人の名前を呼んだのは、ほとんど無意識でのこと。


「どうした?」


 一度手を止めて、ノクスが顔を覗き込んでくる。


 穏やかなすれみ色の瞳を見ていると、胸にくすぶっている衝動が自分を突き動かしてきて……


「もう、来て……」


 うつろな声で、フィレオトールはそう口にしていた。


「え…」


 それにノクスは、心底面食らった顔をする。


「いや……そ、それはちょっと……」
「無理……もう待てない……」


「で、でもまだ……」
「いいの。」


 焦るノクスに、フィレオトールは駄々をこねるように首を振る。


「苦しくてもいいから、早くノクスが欲しい……」


 だめなんだ。
 過剰なほどにうずいた体が、もどかしさでもだえている。


 違う。
 欲しいのはこんなものじゃない。
 これくらいじゃ満たされない。


 早く、深く繋がりたい―――


 そんな本能の叫びに、頭がおかしくなりそうだ。


「お願い……」


 ノクスの腕にすがりつき、必死に懇願する。


「―――っ!!」


 すると、ノクスの顔が一瞬で耳まで赤く染まった。


「わっ……分かった! 分かったからタイム!!」


 フィレオトールをきつく抱き締め、ノクスはその髪に顔をうずめて深呼吸を繰り返す。


(ノクスの香り……)


 やっぱり、今は距離が近いほど深く安心するみたいだ。
 一度こうしてもらえたら、離れていってほしくなくなる。


 フィレオトールはノクスの首に両腕を回すと、その腕にきゅっと力を込めた。
 そして、ノクスの存在を確かめるようにそっと頭をすり寄せる。


「―――はぁ…」


 しばらくして、ノクスが深い溜め息をついて身を起こした。


「きつかったら言えよ?」


 そう言ってくるノクスは、ちょっぴり不安げ。


 頼んだのはこっちなんだから、苦しかったところでノクスのせいじゃないのに。


 どんな時でも、こちらへの思いやりを失わない。


 たまに意地悪になって遊んでくることはあるけど、こちらが本気で嫌がることは絶対にしない。


 今さらだけど、こんなに甘やかされていていいのだろうか。


 そんなことを思ったところで、どうせもう手放すことなんてできやしないけど……


「大丈夫。」


 フィレオトールは、微笑んで小さく頷く。


 少しでも苦しさがやわらぐようにと配慮してくれたのだろう。


 ノクスがそっと唇を塞いできた。


 忍び込んできた舌に意識をさらわれて、視界がぼんやりとにじむ。


 そのタイミングを見計らって、自分からねだった熱が勢いよくあいの中に押し入ってきた。


 欲しくてたまらなかったそれを受け入れた感覚は、自分でもびっくりしてしまうくらい幸せで……


「ああっ、あっ……~~~~~っ!!」


 あまりに強すぎる快感の津波に、あえぎ声は音にすらならなかった。


「え……待った。おれ、まだ動いてないんだけど……」


 たったこれだけのことで達してしまったフィレオトールに、ノクスは狼狽ろうばいと混乱から大焦り。


 そんなノクスを、フィレオトールはほとんど力の入らない腕で抱き締める。


「ノクス―――もっと。」
「………へっ!?」


 素っ頓狂な声をあげて、ノクスが肩を震わせる。


 なんだか、いつものノクスらしくない。


 ふと脳裏をかすめたちょっとした違和感も、薬の熱で溶けて快楽の深海に沈んでしまっている頭では、まともに認識することができなかった。


「まだ足りない……もっと、ノクスを感じていたい。」


 とにかく、今は深く繋がっていられるこの幸せにしがみついていたいんだ。


 一瞬でも離れていたくない。
 もっと満たされていたい。
 そのためなら、なんでもできるような気がした。


「おまっ……そんなこと言われたら、止められなくなるだろうが…っ」
「いつも止めないくせに……」


 なんでノクスはこんなに慌てているんだろう。
 それはよく分からないけど、別に止める必要がないことが伝わればいいか。


 そう思ったフィレオトールは、ノクスの頬に軽く口づけを落とした。
 そして、無意識でノクスのリミッターを外す言葉をささやく。




「ノクス、大好き……」



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