65 / 125
Step7 旅行なの?仕事なの?新天地は波乱続き!
雪の女王降臨
しおりを挟む
ノクスが聖剣で吹き溜まりを浄化してくれた後、ゼクの情報を頼りに精霊の女王が奉られているという祠を探した。
見つけた祠はかなり綺麗に保たれており、周辺の木々もきちんと手入れされている。
おそらく、地域の人々が定期的に参拝しているのだろう。
ヴァリアやハドセンではあまり見られない光景だ。
郷に入っては郷に従えということで祠とその周辺を掃除した後、フィレオトールは祠の前に膝をついて頭を垂れる。
「フィレオトール・カランディア。偉大なる精霊の寵愛を受ける者として日々の加護に御礼を申し上げると共に、この地を治めし女王陛下にご挨拶いたします。」
厳かな口調で紡がれる口上。
それが空気に溶けて数秒後、祠に柔らかな光が宿った。
「ほう…。そなたが噂に聞いていた愛し子か。苦しゅうない故、面を上げて立つがよい。地面は冷たかろうて。」
「ありがとうございます。」
ひとまず、出向くのが遅くなったことに気分を害していなくてよかった。
ほっと胸をなで下ろしつつ、フィレオトールは言われたとおりに立ち上がって顔を前方へ。
「うわ、かっこいい…っ」
気付けば、素のトーンで呟いてしまった後だった。
身につけているドレスがそういうデザインだからか、すらりとした長身と綺麗に引き締まった体のラインがものすごく強調されている。
それを着こなすご尊顔も凛々しくお綺麗なことで、全体的にかっこいい女帝という印象だ。
何より目を引くのは、頭と腰下にある青みがかった白に紺色の斑が散ったふわふわそうな耳と尻尾。
もしかして、ユキヒョウの姿を取ることもあるのだろうか。
お許しいただけるなら、その毛並みを心行くまで堪能したいものである。
「これこれ、考えていることがダダ漏れであるぞ。」
「わっぷ!?」
苦笑した女王に、尻尾で柔らかく頬を叩かれる。
肌触り最高で、ものすごく気持ちよかった。
「まずは礼を言おう。瘴気の浄化、ご苦労であった。聖剣の威力は知っておったが、お主の魔法も驚異的だったぞ。」
「あ、あはは…。これもひとえに、女王様を筆頭に精霊の皆様が力を貸してくれたおかげです。これだけ広い空間ともなると、僕一人の力では蕾の全てを一気に開花させることはできないので……」
「よいよい。実に雅で、妾も目で楽しませてもらった。機会があれば、ぜひに他の魔法も捧げるがよいぞ。」
「はい、喜んで……ああっ、もふもふがすごい! 癖になっちゃいそう…っ」
「相変わらず、ノンタイムで愛されるなぁ……」
機嫌がいい女王に尻尾でなで回されるフィレオトールに、ノクスはなんとも言えない表情で溜め息を一つ。
さすがに、精霊の女王を相手に嫉妬はできないようだ。
「それにしても、数日前から周辺に魔族の気配が集まってきた時には驚いたぞ? 魔獣の動きを封じておるようだったから追い払わずにいてやったのだが、まさかお主があの魔族たちを従えておったとはな。」
「いや、別に従えてるわけじゃ……」
「十分に従えてるだろ。」
「異論を差し込む余地もなく従えてるな。新魔王の俺ですら頭が上がらないくらいだから。」
「もう、二人とも! 変な茶々を入れないで!!」
なんだか自分に対する印象がとんでもない方向に行きそうで、フィレオトールは思わず声を荒げる。
すると、女王が大きな笑い声をあげた。
「聖剣の勇者に新たな魔王とは、なかなかに愉快な者を引き連れているではないか。お主を見ているのは面白そうであるな。そこの魔王とやら。今回の働きとこやつの顔に免じて、こやつに協力している限りは魔族の存在に目をつむってやろうぞ。」
「寛大な対応、感謝する。この辺りで生活する魔族には常時目を光らせておくから安心してくれ。」
「……ああっ!! お前、これが目的で僕をここまでおびき寄せたんだな!?」
「何言ってる。〝これが目的〟じゃなくて〝これも目的〟だ。魔領を出た魔族が平穏に暮らすには、まだまだ課題が多くてな。ちなみにもう一つ言うが、俺はお前にブルペノンに来いなんて言ってねぇぜ? お前がブルペノンに来るって言ったから色々と便乗しただけだ。」
「新商会のオーナーに僕を据えといて、よくそう言えたもんだよ。……まあ、都合よく魔族の監視を押し付ける気はないみたいだから、今回は大目に見てあげるけどさ。」
「お前、会ってすぐに文句と制裁を叩きつけてきた割に、オーナーにノリノリだろ。そんなに暇を持て余してたのか?」
「それはそれ、これはこれ。」
やいのやいのと言い合いながらも、フィレオトールとゼクは普通に親しげ。
両者のやり取りが物珍しいのか面白いのか、女王は穏やかな微笑みを浮かべ、飽きることなく二人を見守っていたという。
見つけた祠はかなり綺麗に保たれており、周辺の木々もきちんと手入れされている。
おそらく、地域の人々が定期的に参拝しているのだろう。
ヴァリアやハドセンではあまり見られない光景だ。
郷に入っては郷に従えということで祠とその周辺を掃除した後、フィレオトールは祠の前に膝をついて頭を垂れる。
「フィレオトール・カランディア。偉大なる精霊の寵愛を受ける者として日々の加護に御礼を申し上げると共に、この地を治めし女王陛下にご挨拶いたします。」
厳かな口調で紡がれる口上。
それが空気に溶けて数秒後、祠に柔らかな光が宿った。
「ほう…。そなたが噂に聞いていた愛し子か。苦しゅうない故、面を上げて立つがよい。地面は冷たかろうて。」
「ありがとうございます。」
ひとまず、出向くのが遅くなったことに気分を害していなくてよかった。
ほっと胸をなで下ろしつつ、フィレオトールは言われたとおりに立ち上がって顔を前方へ。
「うわ、かっこいい…っ」
気付けば、素のトーンで呟いてしまった後だった。
身につけているドレスがそういうデザインだからか、すらりとした長身と綺麗に引き締まった体のラインがものすごく強調されている。
それを着こなすご尊顔も凛々しくお綺麗なことで、全体的にかっこいい女帝という印象だ。
何より目を引くのは、頭と腰下にある青みがかった白に紺色の斑が散ったふわふわそうな耳と尻尾。
もしかして、ユキヒョウの姿を取ることもあるのだろうか。
お許しいただけるなら、その毛並みを心行くまで堪能したいものである。
「これこれ、考えていることがダダ漏れであるぞ。」
「わっぷ!?」
苦笑した女王に、尻尾で柔らかく頬を叩かれる。
肌触り最高で、ものすごく気持ちよかった。
「まずは礼を言おう。瘴気の浄化、ご苦労であった。聖剣の威力は知っておったが、お主の魔法も驚異的だったぞ。」
「あ、あはは…。これもひとえに、女王様を筆頭に精霊の皆様が力を貸してくれたおかげです。これだけ広い空間ともなると、僕一人の力では蕾の全てを一気に開花させることはできないので……」
「よいよい。実に雅で、妾も目で楽しませてもらった。機会があれば、ぜひに他の魔法も捧げるがよいぞ。」
「はい、喜んで……ああっ、もふもふがすごい! 癖になっちゃいそう…っ」
「相変わらず、ノンタイムで愛されるなぁ……」
機嫌がいい女王に尻尾でなで回されるフィレオトールに、ノクスはなんとも言えない表情で溜め息を一つ。
さすがに、精霊の女王を相手に嫉妬はできないようだ。
「それにしても、数日前から周辺に魔族の気配が集まってきた時には驚いたぞ? 魔獣の動きを封じておるようだったから追い払わずにいてやったのだが、まさかお主があの魔族たちを従えておったとはな。」
「いや、別に従えてるわけじゃ……」
「十分に従えてるだろ。」
「異論を差し込む余地もなく従えてるな。新魔王の俺ですら頭が上がらないくらいだから。」
「もう、二人とも! 変な茶々を入れないで!!」
なんだか自分に対する印象がとんでもない方向に行きそうで、フィレオトールは思わず声を荒げる。
すると、女王が大きな笑い声をあげた。
「聖剣の勇者に新たな魔王とは、なかなかに愉快な者を引き連れているではないか。お主を見ているのは面白そうであるな。そこの魔王とやら。今回の働きとこやつの顔に免じて、こやつに協力している限りは魔族の存在に目をつむってやろうぞ。」
「寛大な対応、感謝する。この辺りで生活する魔族には常時目を光らせておくから安心してくれ。」
「……ああっ!! お前、これが目的で僕をここまでおびき寄せたんだな!?」
「何言ってる。〝これが目的〟じゃなくて〝これも目的〟だ。魔領を出た魔族が平穏に暮らすには、まだまだ課題が多くてな。ちなみにもう一つ言うが、俺はお前にブルペノンに来いなんて言ってねぇぜ? お前がブルペノンに来るって言ったから色々と便乗しただけだ。」
「新商会のオーナーに僕を据えといて、よくそう言えたもんだよ。……まあ、都合よく魔族の監視を押し付ける気はないみたいだから、今回は大目に見てあげるけどさ。」
「お前、会ってすぐに文句と制裁を叩きつけてきた割に、オーナーにノリノリだろ。そんなに暇を持て余してたのか?」
「それはそれ、これはこれ。」
やいのやいのと言い合いながらも、フィレオトールとゼクは普通に親しげ。
両者のやり取りが物珍しいのか面白いのか、女王は穏やかな微笑みを浮かべ、飽きることなく二人を見守っていたという。
5
あなたにおすすめの小説
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
異世界転生した双子は今世でも双子で勇者側と悪魔側にわかれました
陽花紫
BL
異世界転生をした双子の兄弟は、今世でも双子であった。
しかし運命は二人を引き離し、一人は教会、もう一人は森へと捨てられた。
それぞれの場所で育った男たちは、やがて知ることとなる。
ここはBLゲームの中の世界であるのだということを。再会した双子は、どのようなエンディングを迎えるのであろうか。
小説家になろうにも掲載中です。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった
水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。
そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。
ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。
フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。
ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!?
無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました!
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?
七角@書籍化進行中!
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。
その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー?
十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。
転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。
どんでん返しからの甘々ハピエンです。
ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。
【完結】白豚王子に転生したら、前世の恋人が敵国の皇帝となって病んでました
志麻友紀
BL
「聖女アンジェラよ。お前との婚約は破棄だ!」
そう叫んだとたん、白豚王子ことリシェリード・オ・ルラ・ラルランドの前世の記憶とそして聖女の仮面を被った“魔女”によって破滅する未来が視えた。
その三ヶ月後、民の怒声のなか、リシェリードは処刑台に引き出されていた。
罪人をあらわす顔を覆うずた袋が取り払われたとき、人々は大きくどよめいた。
無様に太っていた白豚王子は、ほっそりとした白鳥のような美少年になっていたのだ。
そして、リシェリードは宣言する。
「この死刑執行は中止だ!」
その瞬間、空に雷鳴がとどろき、処刑台は粉々となった。
白豚王子様が前世の記憶を思い出した上に、白鳥王子へと転身して無双するお話です。ざまぁエンドはなしよwハッピーエンドです。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる