こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step7 旅行なの?仕事なの?新天地は波乱続き!

雪の女王降臨

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 ノクスが聖剣で吹き溜まりを浄化してくれた後、ゼクの情報を頼りに精霊の女王がまつられているというほこらを探した。


 見つけたほこらはかなり綺麗に保たれており、周辺の木々もきちんと手入れされている。


 おそらく、地域の人々が定期的に参拝しているのだろう。
 ヴァリアやハドセンではあまり見られない光景だ。


 郷に入っては郷に従えということでほこらとその周辺を掃除した後、フィレオトールは祠の前に膝をついてこうべを垂れる。


「フィレオトール・カランディア。偉大なる精霊の寵愛ちょうあいを受ける者として日々の加護に御礼を申し上げると共に、この地を治めし女王陛下にご挨拶いたします。」


 厳かな口調でつむがれる口上。
 それが空気に溶けて数秒後、ほこらに柔らかな光が宿った。


「ほう…。そなたがうわさに聞いていた愛し子か。苦しゅうない故、おもてを上げて立つがよい。地面は冷たかろうて。」


「ありがとうございます。」


 ひとまず、出向くのが遅くなったことに気分を害していなくてよかった。


 ほっと胸をなで下ろしつつ、フィレオトールは言われたとおりに立ち上がって顔を前方へ。


「うわ、かっこいい…っ」


 気付けば、素のトーンで呟いてしまった後だった。


 身につけているドレスがそういうデザインだからか、すらりとした長身と綺麗に引き締まった体のラインがものすごく強調されている。


 それを着こなすご尊顔も凛々しくお綺麗なことで、全体的にかっこいい女帝という印象だ。


 何より目を引くのは、頭と腰下にある青みがかった白に紺色のまだらが散ったふわふわそうな耳としっ


 もしかして、ユキヒョウの姿を取ることもあるのだろうか。


 お許しいただけるなら、その毛並みを心行くまで堪能したいものである。


「これこれ、考えていることがダダ漏れであるぞ。」
「わっぷ!?」


 苦笑した女王に、しっで柔らかく頬を叩かれる。
 肌触り最高で、ものすごく気持ちよかった。


「まずは礼を言おう。瘴気の浄化、ご苦労であった。聖剣の威力は知っておったが、お主の魔法も驚異的だったぞ。」


「あ、あはは…。これもひとえに、女王様を筆頭に精霊の皆様が力を貸してくれたおかげです。これだけ広い空間ともなると、僕一人の力ではつぼみの全てを一気に開花させることはできないので……」


「よいよい。実にみやびで、わらわも目で楽しませてもらった。機会があれば、ぜひに他の魔法も捧げるがよいぞ。」


「はい、喜んで……ああっ、もふもふがすごい! 癖になっちゃいそう…っ」


「相変わらず、ノンタイムで愛されるなぁ……」


 機嫌がいい女王にしっでなで回されるフィレオトールに、ノクスはなんとも言えない表情で溜め息を一つ。


 さすがに、精霊の女王を相手にしっはできないようだ。


「それにしても、数日前から周辺に魔族の気配が集まってきた時には驚いたぞ? 魔獣の動きを封じておるようだったから追い払わずにいてやったのだが、まさかお主があの魔族たちを従えておったとはな。」


「いや、別に従えてるわけじゃ……」


「十分に従えてるだろ。」


「異論を差し込む余地もなく従えてるな。新魔王の俺ですら頭が上がらないくらいだから。」


「もう、二人とも! 変な茶々を入れないで!!」


 なんだか自分に対する印象がとんでもない方向に行きそうで、フィレオトールは思わず声を荒げる。


 すると、女王が大きな笑い声をあげた。


「聖剣の勇者に新たな魔王とは、なかなかに愉快な者を引き連れているではないか。お主を見ているのは面白そうであるな。そこの魔王とやら。今回の働きとこやつの顔に免じて、こやつに協力している限りは魔族の存在に目をつむってやろうぞ。」


「寛大な対応、感謝する。この辺りで生活する魔族には常時目を光らせておくから安心してくれ。」


「……ああっ!! お前、これが目的で僕をここまでおびき寄せたんだな!?」


「何言ってる。〝これ目的〟じゃなくて〝これ目的〟だ。魔領を出た魔族が平穏に暮らすには、まだまだ課題が多くてな。ちなみにもう一つ言うが、俺はお前にブルペノンに来いなんて言ってねぇぜ? お前がブルペノンに来るって言ったから色々と便乗しただけだ。」


「新商会のオーナーに僕をえといて、よくそう言えたもんだよ。……まあ、都合よく魔族の監視を押し付ける気はないみたいだから、今回は大目に見てあげるけどさ。」


「お前、会ってすぐに文句と制裁を叩きつけてきた割に、オーナーにノリノリだろ。そんなに暇を持て余してたのか?」


「それはそれ、これはこれ。」


 やいのやいのと言い合いながらも、フィレオトールとゼクは普通に親しげ。


 両者のやり取りが物珍しいのか面白いのか、女王は穏やかな微笑みを浮かべ、飽きることなく二人を見守っていたという。

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