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Step8 縁切り魔族降臨!? 強制テレパシーで大混乱!
ご機嫌斜めの勇者様
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結局、気晴らしのつもりで計画したブルペノン旅行は、完全に仕事で埋め尽くされることになった。
ヴァリアではそこそこ名を馳せた大商会も、ブルペノンではまだ駆け出し。
今は豊富にある資金も、稼がなければ底を尽きてしまう。
今はグレイス商会で販売していたものでそれなりに利益が出ているが、輸入品はどうしても高くなりがちだし、物珍しさで購入してもらえるのも最初のうちだけ。
早いところ、自分たちの強みにブルペノンの文化や歴史を取り入れ、地元の人々に広く受け入れられる何かを生み出したいものである。
忙しさで悲鳴をあげそうになったのは久しぶりで、個人的には楽しかったりもしたのだけど、ノクスには悪いことをしてしまった。
仕事のせいで恋人時間が大幅に減ってしまったことに拗ねた彼は、八つ当たりのようにギルドの高難度討伐依頼をこなしたり、ブルペノン料理の研究に勤しんだり。
日々上がっていくノクスの評判と美味しさや豪華さを増していく料理に、複雑な気持ちにならざるを得なかった。
「ノクス、まだ拗ねてるのー?」
ブルペノンの仕事をあらかた片付けて魔領に戻ったその日、未だに不機嫌そうなノクスの腕を引きながら、フィレオトールは困惑顔でそう訊ねた。
「別に拗ねてない。おれのことは気にせずに、ブルペノンまでのテレポート魔法陣でも量産しろよ。」
「いや、めっちゃ拗ねてるじゃん。まあ、寄り道しまくった僕が悪いけどさ……」
遠慮なくゼクにテレポートで送ってもらうことにした帰り道。
本当なら数分で帰れたところなのだが、テレポートの中継点にと目をつけた場所に寄って魔法陣を仕込んだり、その近くで商会を立ち上げた元部下たちに挨拶をしたり……
自分の消費魔力がゼロであることにかこつけて、散々寄り道をしたのは事実。
それにノクスが臍を曲げてしまったなら、大変申し訳ないと思う。
「そんなに怒らないでよ。二週間に一度は顔を出すって約束した手前、テレポート魔法陣は早く準備しなきゃいけなかったんだから。」
「………」
「それに、家に帰ったらしばらくは仕事をしないつもりだったの。イチャイチャするなら、二人きりの方がいいじゃない。」
「………」
「だから……ね? そろそろ、機嫌を直してよ。」
「―――はあ。」
無言を貫いていたノクスが溜め息をついたのはその時。
ほんのりと頬を染めた彼は、上目遣いで自身を見上げてくるフィレオトールの額を指でつつく。
「お前な…。こんなに可愛く言い寄られたら、おれが勝てるわけねぇって分かってるか? そんな、捨てられた子犬みたいな顔をすんなよ。」
「だって、さすがに嫌われちゃったかなって不安で……」
「おい、片想い歴約十年を舐めんな。この程度で愛想を尽かすくらいなら、とっくの昔にお前への気持ちを諦めてるわ。」
そう告げながら不機嫌な雰囲気を取り下げたノクスは、額にやっていた指を頬へと滑らせる。
「覚悟しておけよ? マジで仕事させねぇから。明日なんか、食事の時以外はベッドから出られねぇかもな?」
「………っ」
恥ずかしげもなくそんなことを宣言されたフィレオトールは、顔を真っ赤にして唇をきゅっと結ぶ。
なんだか、付き合う時間が長くなるほどにノクスの表現がどんどんストレートになっていくような気がする。
それ以外にも、こちらの仕草一つで顔を赤らめたり言葉に詰まったり、ひどいと胸を押さえて何かをこらえたり。
これがずっと前からのことだったとするなら、ノクスの好意に気付かなかった自分は鈍感だと言われても仕方ない。
我ながら、なんとすばらしいシャットアウト能力か。
「……好きにして。」
自分からは、こう言うのが精一杯。
それでも満足なのか、ノクスは嬉しそうに笑みを深めた。
「じゃあ、とりあえずはお詫びのキスでももらおうかな。」
わざわざ耳元に口を寄せて、とびきり甘い声で囁いてくるノクス。
だから、あなたはどうして物言いがド直球なんですか。
これ、キスを受け入れたが最後、そのまま寝室に連れ込まれるパターンじゃん。
今日、寝かせてもらえるかな。
まあ、それが嫌じゃないと思っている自分も大概だけど……
吐息が触れ合うほどの近さで目が合って、体に小さな火が灯って。
細長い指が頬から顎先に滑れば、揺らいだ火が全身に甘い痺れを広げて。
じれったいほどゆっくりと近付いてくる唇を、熱に浮かされたような気持ちで―――
バンッ
ヴァリアではそこそこ名を馳せた大商会も、ブルペノンではまだ駆け出し。
今は豊富にある資金も、稼がなければ底を尽きてしまう。
今はグレイス商会で販売していたものでそれなりに利益が出ているが、輸入品はどうしても高くなりがちだし、物珍しさで購入してもらえるのも最初のうちだけ。
早いところ、自分たちの強みにブルペノンの文化や歴史を取り入れ、地元の人々に広く受け入れられる何かを生み出したいものである。
忙しさで悲鳴をあげそうになったのは久しぶりで、個人的には楽しかったりもしたのだけど、ノクスには悪いことをしてしまった。
仕事のせいで恋人時間が大幅に減ってしまったことに拗ねた彼は、八つ当たりのようにギルドの高難度討伐依頼をこなしたり、ブルペノン料理の研究に勤しんだり。
日々上がっていくノクスの評判と美味しさや豪華さを増していく料理に、複雑な気持ちにならざるを得なかった。
「ノクス、まだ拗ねてるのー?」
ブルペノンの仕事をあらかた片付けて魔領に戻ったその日、未だに不機嫌そうなノクスの腕を引きながら、フィレオトールは困惑顔でそう訊ねた。
「別に拗ねてない。おれのことは気にせずに、ブルペノンまでのテレポート魔法陣でも量産しろよ。」
「いや、めっちゃ拗ねてるじゃん。まあ、寄り道しまくった僕が悪いけどさ……」
遠慮なくゼクにテレポートで送ってもらうことにした帰り道。
本当なら数分で帰れたところなのだが、テレポートの中継点にと目をつけた場所に寄って魔法陣を仕込んだり、その近くで商会を立ち上げた元部下たちに挨拶をしたり……
自分の消費魔力がゼロであることにかこつけて、散々寄り道をしたのは事実。
それにノクスが臍を曲げてしまったなら、大変申し訳ないと思う。
「そんなに怒らないでよ。二週間に一度は顔を出すって約束した手前、テレポート魔法陣は早く準備しなきゃいけなかったんだから。」
「………」
「それに、家に帰ったらしばらくは仕事をしないつもりだったの。イチャイチャするなら、二人きりの方がいいじゃない。」
「………」
「だから……ね? そろそろ、機嫌を直してよ。」
「―――はあ。」
無言を貫いていたノクスが溜め息をついたのはその時。
ほんのりと頬を染めた彼は、上目遣いで自身を見上げてくるフィレオトールの額を指でつつく。
「お前な…。こんなに可愛く言い寄られたら、おれが勝てるわけねぇって分かってるか? そんな、捨てられた子犬みたいな顔をすんなよ。」
「だって、さすがに嫌われちゃったかなって不安で……」
「おい、片想い歴約十年を舐めんな。この程度で愛想を尽かすくらいなら、とっくの昔にお前への気持ちを諦めてるわ。」
そう告げながら不機嫌な雰囲気を取り下げたノクスは、額にやっていた指を頬へと滑らせる。
「覚悟しておけよ? マジで仕事させねぇから。明日なんか、食事の時以外はベッドから出られねぇかもな?」
「………っ」
恥ずかしげもなくそんなことを宣言されたフィレオトールは、顔を真っ赤にして唇をきゅっと結ぶ。
なんだか、付き合う時間が長くなるほどにノクスの表現がどんどんストレートになっていくような気がする。
それ以外にも、こちらの仕草一つで顔を赤らめたり言葉に詰まったり、ひどいと胸を押さえて何かをこらえたり。
これがずっと前からのことだったとするなら、ノクスの好意に気付かなかった自分は鈍感だと言われても仕方ない。
我ながら、なんとすばらしいシャットアウト能力か。
「……好きにして。」
自分からは、こう言うのが精一杯。
それでも満足なのか、ノクスは嬉しそうに笑みを深めた。
「じゃあ、とりあえずはお詫びのキスでももらおうかな。」
わざわざ耳元に口を寄せて、とびきり甘い声で囁いてくるノクス。
だから、あなたはどうして物言いがド直球なんですか。
これ、キスを受け入れたが最後、そのまま寝室に連れ込まれるパターンじゃん。
今日、寝かせてもらえるかな。
まあ、それが嫌じゃないと思っている自分も大概だけど……
吐息が触れ合うほどの近さで目が合って、体に小さな火が灯って。
細長い指が頬から顎先に滑れば、揺らいだ火が全身に甘い痺れを広げて。
じれったいほどゆっくりと近付いてくる唇を、熱に浮かされたような気持ちで―――
バンッ
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