こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step8 縁切り魔族降臨!? 強制テレパシーで大混乱!

これは幻聴か…?

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「くそ…っ。あいつ、逃げやがって……」


 去っていくジノンを止められなかったノクスは、ぶつくさとぼやいて肩を落とした。


 やれやれ。
 ゼクのせいで、よく分からないとばっちりを受けてしまった。


 過激派の魔王を倒したことはエルフや人間の都合だったかもしれないけど、自らそれに賛同して協力したなら、その後の身内問題は自分たちでどうにかしろっての。


 まあ、ゼクにしろジノンにしろ、消えてしまった相手に何を言っても時間の無駄。


 早々に諦めたノクスは、くるりときびすを返してフィレオトールを見る。


「どうしよう…。ばれた……ばれちゃった……」


 フィレオトールはというと、がっくりとうなだれて念仏を唱えているところだった。


 どうやら、ジノンたちが去って落ち着いてきたかと思ったら、途端に恥ずかしさが舞い戻ってきたようだ。


 とりあえず、今はゼクやジノンへの愚痴ぐちを言う前に、フィレオトールをフォローした方がいいか。


 そう判断したノクスは、すぐにジノンのことを思考から追い出してフィレオトールに集中することにした。


「ほらほら。そんなに気落ちするな。今さらだけど、精霊たちはもうおれらの関係を知ってるんだし、ゼクだって多分気付いてるぞ? 遅かれ早かれこうなってたから。」


「でも、ゼクたちと違って、ジノンは根掘り葉掘り聞く気満々だったじゃん。また質問攻めにあったら、僕はどうすれば…っ」


 こりゃだめだ。
 完全に目を回してる。


 まあ、あの爆弾発言の数々には、さすがの自分も度肝を抜かれたけども。


 そんなことを思いつつも、切り替えが早いノクスはある意味すでに開き直っていた。


 へたり込んだままのフィレオトールの前に膝をつき、ノクスはぽんぽんとその頭をなでる。


「ここはもう、考え方を変えちまおうぜ? 堂々と突っ込まれたってことは、あいつの前では下手に隠さなくていいってことだろ?」


「ううぅ……」


「それにあいつ、おれらができてることに気付いても、特に軽蔑とかはしてこなかったじゃん。おれのことで困った時とかに、いい相談相手になってくれるんじゃねぇか?」


「そんなこと言っても…。僕、ノクスのことで困ることってないし、多分相談事っていっても、誕生日プレゼントはどうしようとか、いつも大事にしてもらってるお礼に何したら喜ぶかなぁとか、そんなことくらいしか……」


「健気な嫁かよ。頼むから、その可愛さはおれ以外の前ではしまっとけ…っ」


 ノクスは片手で顔を覆って悶絶。


 恋仲になったら煩悩が悪化しているじゃないか、と。


 ジノンはそう呆れていたが、フィレオトールと恋仲として三日くらい一緒に過ごしてみろ。


 自分がこうなる理由が身にみて分かると思うぞ?


 まあ、こんなに可愛い恋人を他人に譲るなんて、死んだって許せないけども。


 という独占欲はひとまず置いておき、ノクスはフィレオトールの髪に滑らせていた手をそっと頬に添えた。


「ほら、顔をあげてみ?」


 そう言うと、フィレオトールが紅潮した頬のまま素直に顔を上げた。


「久々の二人きりなのに、いつまでもしょげてたらもったいないぞ。気を取り直して、向こうでゆっくりしようぜ。今度あいつが爆弾を放り込んできたら、おれが全部受けて弾き返してやるから。な?」


 フィレオトールを安心させるように笑いかけてやる。


 すると、フィレオトールがぐっと唇を噛み締めて、少しねたような表情で視線をらした。




 ああもう……
 いっつも意地悪ばっかのくせに、こういうところではいちいちかっこいいんだよなぁ……
 別に嫌じゃないし、嬉しいけどさぁ……




「―――んっ!?」


 脳裏に響いたフィレオトールの声に、思わず息がつまってしまった。


 今、なんて!?
 かっこいいって……
 嬉しいって……
 こいつ、もしかしなくてもそう言ったか!?


「どうしたの?」


 こちらの異変を察知したフィレオトールが、純粋な瞳で見上げてくる。


 どうやら、今の動揺は聞こえていなかったらしい。
 じゃあ、先ほどの声は自分に都合のいい幻聴か。


「いや、なんでもない……」


 なんだか嫌な予感はするが、とりあえずそう思い込むことにして、ノクスは動揺を胸の内に引っ込めた。


「ちょっとは落ち着いたか?」
「うん…。ちょっとだけ……」


 小さく頷いたフィレオトールは、頬に触れるこちらの手に自分の両手をそっと重ねる。




 ほんとはもうちょっとなでていてほしいけど、ここでわがまま言ったらだめだよね。
 よし、あと三秒だけ……




 音にならない声で爆裂的に可愛いことを呟いたかと思うと、フィレオトールはこちらの手にすりすりと頬をすり寄せる。


 その瞬間、理性も何もかも綺麗に吹き飛んだ。


「わっ…」


 急にこれでもかというくらい頭をなでられ、フィレオトールは素っ頓狂な声をあげる。


「ノ、ノクス…?」


 一体、何があったのだろう。


 どうにかこうにか目線だけを上に上げると、ノクスは片手で頭を抱えて深くうつむいていた。


 そして―――




 こんのアホ―――っ!!




 脳内に爆音がとどろいてくる。




 分かってんのか!?
 ほんと、そういうとこだよ!!


 いつどこを切り取っても可愛いって、何なんだよ!?
 こんなんで理性を保てるわけねぇだろうが!!


 ああもう、いちいちベッドに連れていくのもめんどくせぇから、素っ裸にひんむいてベッドの中に一生閉じ込めておいてやろうかな、こいつ!!




「ええ……」


 ノーフィルターで流れてくるノクスの声に、フィレオトールは思わずドン引き。


 心だけではなく体も引いてしまい、ノクスの手がすかっとフィレオトールの頭を空振った。


 それでハッと我に返ったらしいノクスが、ぎこちなく固まった表情でフィレオトールを見る。


「………」


 目を合わせること数秒。




「本当に聞こえてるーっ!?」




 ジノンの八つ当たりがガチだと痛感する二人だった。

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