こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step8 縁切り魔族降臨!? 強制テレパシーで大混乱!

動揺だらけの1回戦

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 とにかく、このまま黙ったら心の声が垂れ流しになってまずい!!


 全く同じことを考えた二人は、動揺したままでもとにかく口を開き続けることを選んだ。


「つーか、フィル! かっこいいとか嬉しいとか、そんなの普通に口で言えよ!! 何が恥ずかしいんだ!?」


「だって! そんなことを逐一口にしてたら、一日に何回も同じことを言うことになっちゃうもん!! 心の中で思うだけならタダじゃん!!」


「なんじゃそりゃ!? お前まさか、おれを見る度にかっこいいとか思ってんのか!?」


「うっ…。そ、それは…っ」


「そうなのかよ!?」


 まさかの事実に、ノクスはたまらず赤面する。


 いや、確かにな?
 フィルはおれと目が合う度にものすごく可愛い顔をして、目をキラキラと輝かせるけども!
 嬉しがっているのは、確認するまでもなく十分に分かっていたけども!!


「っていうか、ノクスが考えてることも何さーっ!!」


 これ以上掘り下げられたらたまらないと思ったのか、今度はフィレオトールの方から先ほどのことに言及があった。


「ノクスもノクスで、僕を見る時にあんなことばっか考えてるの!? ジノンがドン引きされろって言うわけだよ!!」


「しゃあねぇだろ!? お前が可愛いのが悪い!!」


「僕、なんもしてないもーん!!」


「してんだっつーの!! お前、さっきおれの手にすり寄ってきた自覚あるか!?」


「ええっ!?」


 青天の霹靂へきれきと言わんばかりに両目を大きくするフィレオトール。
 やっぱりという話であるが、あれは無意識でやっていた行動だったようだ。




 そうだよな……
 そうだよな!!
 自覚なんて、あるわけないよな!!


 幼かった時も、爆睡してる時じゃないとこうしてすり寄ってこなかったもんな!!
 だから、身内では抱っこの取り合いが日常茶飯事だったんだし。


 ……って言ったって、知るわけねぇよな!
 だって、寝てんだからよぉっ!!


 くそ!
 どうすりゃいいんだ、このド天然!!




「ええぇーっ!? 僕、そんなことしてたのーっ!?」


 時を超えて知る衝撃の事実に、フィレオトールは声を裏返してしまった。


 キシムに住んでいた頃、母や祖父がやたらと抱っこや添い寝を求めてきたのは、そういう理由だったのか!!


 そういえば、ノクスに初めてベッドに連行された時も、自分が彼にすり寄ってきたと言っていたっけ。


 あれから意識するようにしていたのに……あの癖、もしかして全然直ってないの!?


 そこに思い至ったフィレオトールは、恥ずかしさで叩きのめされることに。




 うああっ!
 どうしよーっ!?
 全然改善できてないとなると、僕はどうすればいいの!?


 でも、ノクスにくっつかないようにってのも、今さら無理な話だし……
 じゃあ、どうやって自制すれば……




「だから、自制するなーっ!!」


 その瞬間、ノクスが渾身の力で叫ぶ。


「お前なぁ! 旅行の時にもっとおねだりしてこいって言ったの、もう忘れたのか!? その程度の可愛いお願い、どんどんしてこいってんだ!!」


「で、でも! ノクスはいつも僕を気遣って遠慮してることも多いだろうし、僕ばっかりベタベタに甘えるのは……」


「全然足りないっつっただろうがよ!! この甘え下手がーっ!!」


「うえーん! そんなこと言われても、分かんないよおぉっ!! そんなに言うなら、ノクスがお手本を見せてよ!!」


「いいのか!? おれが遠慮をやめたら、お前ガチでベッドから出られねぇぞ!?」 


「ううっ…」


 隠しそうとしたところで無意味なので、躊躇ためらいなく本音をぶちまけるノクス。


 その発言に、一度は気まずげに固まったフィレオトールだったが……




 あ、でも……
 そしたら、ノクスがずっと傍にいてくれる…?




 ぽんと浮かんだ考えに、心がそわっと揺れる。
 当然、それはノクスに筒抜けなわけで……


「お前、普段あんなにセーブかけろって頼んでくるくせに、実は嫌がってなかっただと!?」


 ノクスが悲鳴のようにそう言ったことで今の状況を思い出させられることになり、フィレオトールは瞬く間に顔をでダコ状態にした。


「ひーっ!! でもでも! 体がもたないっていうのは本当なんだってばあぁーっ!!」




 でもでもでも、嬉しいし幸せなんだから仕方ないじゃん!!


 へとへとになっちゃっても、ノクスが求めてくれるなら頑張らなきゃって、そう思っちゃうんだもん!!


 嫌われたくないもーん!!




「ぬわーっ!! やめろーっ!!」


 ノクスが狂ったように髪を掻きむしる。




 だああぁぁぁっ!!
 どこまで健気なんだよ、この無自覚天然天使!!


 おれを殺す気なのか!?
 心臓がいくつあっても足りんわ!!


 これで本当に誘ってるつもりねぇのか!?




 誘ってなーい!!
 僕はただ、ノクスに少しでも応えられたらって……
 だって、ノクスが幸せそうな顔をするから…っ




 それが誘ってるっていうんだよおぉっ!!
 煽りまくるんじゃねえぇっ!!
 今すぐベッドに強制連行されてぇのか!?




「いやあぁぁぁっ!!」
「やめてくれえぇーっ!!」


 表でも裏でも叫びまくり。


 フィレオトールは顔を覆って床に倒れ込み、ノクスは頭を抱えてうずくまり、それぞれ悶絶するしかない。


「はあ……はあ…っ。ちょっと……距離を置こう。」


 激しい運動をした後のように肩で息をしながら、ノクスがそんな提案をした。


「一旦、お互いにクールダウンしよう。おれ、街の方に買い物に行ってくるわ。距離が離れれば声も聞こえなくなるかもしれないし、その間に落ち着こう。」


「そ、そうだね…。僕も、結界魔法をいじって心の声に対処できる効果を作れないか試してみる……」


「よし。」


 互いに頷き合う二人。


 かくして、ノクスは魔領の外へ、フィレオトールは自室へと。
 お互いに、逃げるようにしてリビングから去っていったのだった。

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