82 / 125
Step8 縁切り魔族降臨!? 強制テレパシーで大混乱!
動揺だらけの1回戦
しおりを挟むとにかく、このまま黙ったら心の声が垂れ流しになってまずい!!
全く同じことを考えた二人は、動揺したままでもとにかく口を開き続けることを選んだ。
「つーか、フィル! かっこいいとか嬉しいとか、そんなの普通に口で言えよ!! 何が恥ずかしいんだ!?」
「だって! そんなことを逐一口にしてたら、一日に何回も同じことを言うことになっちゃうもん!! 心の中で思うだけならタダじゃん!!」
「なんじゃそりゃ!? お前まさか、おれを見る度にかっこいいとか思ってんのか!?」
「うっ…。そ、それは…っ」
「そうなのかよ!?」
まさかの事実に、ノクスはたまらず赤面する。
いや、確かにな?
フィルはおれと目が合う度にものすごく可愛い顔をして、目をキラキラと輝かせるけども!
嬉しがっているのは、確認するまでもなく十分に分かっていたけども!!
「っていうか、ノクスが考えてることも何さーっ!!」
これ以上掘り下げられたらたまらないと思ったのか、今度はフィレオトールの方から先ほどのことに言及があった。
「ノクスもノクスで、僕を見る時にあんなことばっか考えてるの!? ジノンがドン引きされろって言うわけだよ!!」
「しゃあねぇだろ!? お前が可愛いのが悪い!!」
「僕、なんもしてないもーん!!」
「してんだっつーの!! お前、さっきおれの手にすり寄ってきた自覚あるか!?」
「ええっ!?」
青天の霹靂と言わんばかりに両目を大きくするフィレオトール。
やっぱりという話であるが、あれは無意識でやっていた行動だったようだ。
そうだよな……
そうだよな!!
自覚なんて、あるわけないよな!!
幼かった時も、爆睡してる時じゃないとこうしてすり寄ってこなかったもんな!!
だから、身内では抱っこの取り合いが日常茶飯事だったんだし。
……って言ったって、知るわけねぇよな!
だって、寝てんだからよぉっ!!
くそ!
どうすりゃいいんだ、このド天然!!
「ええぇーっ!? 僕、そんなことしてたのーっ!?」
時を超えて知る衝撃の事実に、フィレオトールは声を裏返してしまった。
キシムに住んでいた頃、母や祖父がやたらと抱っこや添い寝を求めてきたのは、そういう理由だったのか!!
そういえば、ノクスに初めてベッドに連行された時も、自分が彼にすり寄ってきたと言っていたっけ。
あれから意識するようにしていたのに……あの癖、もしかして全然直ってないの!?
そこに思い至ったフィレオトールは、恥ずかしさで叩きのめされることに。
うああっ!
どうしよーっ!?
全然改善できてないとなると、僕はどうすればいいの!?
でも、ノクスにくっつかないようにってのも、今さら無理な話だし……
じゃあ、どうやって自制すれば……
「だから、自制するなーっ!!」
その瞬間、ノクスが渾身の力で叫ぶ。
「お前なぁ! 旅行の時にもっとおねだりしてこいって言ったの、もう忘れたのか!? その程度の可愛いお願い、どんどんしてこいってんだ!!」
「で、でも! ノクスはいつも僕を気遣って遠慮してることも多いだろうし、僕ばっかりベタベタに甘えるのは……」
「全然足りないっつっただろうがよ!! この甘え下手がーっ!!」
「うえーん! そんなこと言われても、分かんないよおぉっ!! そんなに言うなら、ノクスがお手本を見せてよ!!」
「いいのか!? おれが遠慮をやめたら、お前ガチでベッドから出られねぇぞ!?」
「ううっ…」
隠しそうとしたところで無意味なので、躊躇いなく本音をぶちまけるノクス。
その発言に、一度は気まずげに固まったフィレオトールだったが……
あ、でも……
そしたら、ノクスがずっと傍にいてくれる…?
ぽんと浮かんだ考えに、心がそわっと揺れる。
当然、それはノクスに筒抜けなわけで……
「お前、普段あんなにセーブかけろって頼んでくるくせに、実は嫌がってなかっただと!?」
ノクスが悲鳴のようにそう言ったことで今の状況を思い出させられることになり、フィレオトールは瞬く間に顔を茹でダコ状態にした。
「ひーっ!! でもでも! 体がもたないっていうのは本当なんだってばあぁーっ!!」
でもでもでも、嬉しいし幸せなんだから仕方ないじゃん!!
へとへとになっちゃっても、ノクスが求めてくれるなら頑張らなきゃって、そう思っちゃうんだもん!!
嫌われたくないもーん!!
「ぬわーっ!! やめろーっ!!」
ノクスが狂ったように髪を掻きむしる。
だああぁぁぁっ!!
どこまで健気なんだよ、この無自覚天然天使!!
おれを殺す気なのか!?
心臓がいくつあっても足りんわ!!
これで本当に誘ってるつもりねぇのか!?
誘ってなーい!!
僕はただ、ノクスに少しでも応えられたらって……
だって、ノクスが幸せそうな顔をするから…っ
それが誘ってるっていうんだよおぉっ!!
煽りまくるんじゃねえぇっ!!
今すぐベッドに強制連行されてぇのか!?
「いやあぁぁぁっ!!」
「やめてくれえぇーっ!!」
表でも裏でも叫びまくり。
フィレオトールは顔を覆って床に倒れ込み、ノクスは頭を抱えてうずくまり、それぞれ悶絶するしかない。
「はあ……はあ…っ。ちょっと……距離を置こう。」
激しい運動をした後のように肩で息をしながら、ノクスがそんな提案をした。
「一旦、お互いにクールダウンしよう。おれ、街の方に買い物に行ってくるわ。距離が離れれば声も聞こえなくなるかもしれないし、その間に落ち着こう。」
「そ、そうだね…。僕も、結界魔法をいじって心の声に対処できる効果を作れないか試してみる……」
「よし。」
互いに頷き合う二人。
かくして、ノクスは魔領の外へ、フィレオトールは自室へと。
お互いに、逃げるようにしてリビングから去っていったのだった。
5
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。
=================
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる