こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step10 求婚事件で破局の危機!?

怒りの制裁炸裂

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「くそ…っ。大雨とは、ついてねぇな……」


 丘の頂上まで続く林の中、盗賊団の男たちは忌々いまいましげにぼやきながら道を進んでいた。


「あの野郎さえいなけりゃ、楽な仕事だったはずなのによ…っ」


 彼らの脳裏によぎるのは、とある黒髪の青年。


 狙った獲物はのがさないことで有名な自分たちだ。
 どんなに猛者もさを集められようとも、それを掻い潜るすべは熟知している。


 潜入、陽動、罠と。
 経験から得られた知識を総動員して、あらゆる手を尽くした。


 しかし、どんな手を使ってもあの青年は全てをお見通し。
 数人がかりで潰そうともしたが、まったく歯が立たなかった。


『とりあえず邪魔だ。盗みなら、おれがいねぇ時にやってくれ。』


 文字どおり宝物の守りさえできればいいのか、自分たちを追い払うだけで捕まえようとしないのも腹が立つ。


 そんなこんなで、彼に手こずっている間に時は流れてしまい、今日が勝負の最終日。


 最悪、宝物は奪えないにしても、パーティー会場だけは潰してこいとの指令を受けた。


「……お?」


 林を抜けたところで、彼らは懐疑的な声をあげる。


 林の終わりと屋敷の門との中間に、仁王立ちになってこちらを待ち構えている華奢きゃしゃな少年がいたのだ。


「ようやく来たねぇー? 馬鹿らしく真正面から来てくれて助かるよ。」


 瞳に宿る光を鋭くして、少年がそう言う。


 彼の周囲には、これまでいくとなくやり合ってきた屋敷の護衛たちが、何故か距離を置いて待機していた。


「……はっ。なんだ? 今日は、いつもの奴はいねぇのか?」


 盗賊団の先頭にいた男が笑う。


 今は新たな少年の登場への疑問よりも、面倒な奴がいないことへの嬉しさの方が大きかった。


「そこの坊っちゃん。ここは、坊っちゃんみたいな綺麗な子がいる所じゃ―――」


 男の言葉は途中で途切れる。


 少年が無言で腕を振ると同時に襲った暴風。
 それに、先頭の男以外の全員が吹き飛ばされたのだ。


「…………え?」


 木や地面に叩きつけられてうめく仲間の声を聞きながら、男は冷や汗を浮かべる。


「今のは、面倒事に巻き込まれたノクスの分……」


 いつの間にか現れていた杖を握り締め、低く呟く謎の少年。
 その姿を取り巻く空気が、ゆらりと陽炎かげろうのように揺れる。




「そして……これが、とばっちりでもやもやさせられた僕の分だ―――っ!!」




 大声で叫んだ少年が杖を地面に打ち付けた瞬間、いくつもの雷が男たちを襲った。

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