こんなスローライフは想定外!~いつの間にか、親友を虜にしてしまっていたようで!?~

うみくも

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Step10 求婚事件で破局の危機!?

それはもうガチのやつ

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 そこは、もはや阿鼻叫喚の地獄と化していた。


 たくさんの雷音と悲鳴が飛び交う中、護衛の人々は顔を真っ青にして立ちすくみ、盗賊団の男たちは右往左往と逃げ惑う。


「あー…。見てのとおりだが……あいつ、怒ったらおれ以上に強ぇからな?」


 少女とその父親を連れて表に出たノクスは、平坦な口調で断言。
 その視線の先では……


「た、助けてくれーっ!!」
「悪人にかける情けは無用ーっ!!」


 逃げるやからを追いかけては制裁を与えるフィレオトールの姿があった。


「なんで……なんで逃げられねぇんだよ!?」
「僕を怒らせて、何も償わずに逃げられるとでも~?」


 結界に阻まれてその場から逃げ出すことも叶わない男の後ろに、お怒りモードのフィレオトールが立つ。


 たった一蹴りで男を昏倒させたフィレオトールは、肩にかけていたロープで男をぐるぐる巻きに。


 そいつを粗雑に投げ捨てたかと思うと、休む間もなく次のターゲットへ突撃していく。


 おいおい、今回は随分と大立ち回りだな。
 あの杖で殴られたり突かれたりすると、結構痛いんだぞ。


 しかも、しれっと発動句の詠唱を割愛して魔法を連発しとる。
 ここにそちらの専門家がいたら、問答無用で魔塔にしょっぴかれるぞ。


 というか、大丈夫か?
 怒り心頭で動きが雑になってるけど、勢いあまって変装具を壊すなよ?


 内心でハラハラするノクスだが、一方のフィレオトールはやりたい放題。
 そして、どんどん積み上げられていく男たちの様子は、まさに死屍累々。


 結果、二十分ほど経つ頃には盗賊団の全員が縛り上げられていた。


「ほらほら。どうせ、別の場所に仲間を待機させてるんでしょ? アジトの情報、一つ残らず吐きな?」


 男たちの中でも責任者らしき奴の胸ぐらを掴み、尋問のように迫るフィレオトール。


 とはいえ、吐けと言ったのは口先だけ。
 フィレオトールは問答無用で魔法を使い、男の記憶を勝手に覗く。


「さて……」


 ものの数秒で男を離すフィレオトール。
 次の瞬間、彼は猛スピードで屋敷から離れていく。


「あー……全滅コースだわ、これ。」


 全てを悟ったノクスは渋い顔。


 数分待っていると、ここから数キロ離れた場所で。
 次は遥か遠くで。


 雷が落ちては、微かに地面が揺れる。


「ふんっ!」


 やがて、一人の男を担いできたフィレオトールが、そいつを気絶した連中の山に追加した。


 おそらく、各アジトを潰しながらボスだけ連れ帰ってきたのだろう。




「―――あーっ! すっきりしたぁ!!」




 そして、この笑顔である。


「すげぇ…。大嵐なのに、あいつの周りだけピーカンに見せるぜ……」
「やっぱり、フィルを怒らせたらだめだよね……」


 皆で腕を組み、ノクスと精霊たちはうんうんと頷き合う。


 フィレオトールを怒らせたが最後、破滅待ったなし。


 ヴァリアにいた時も、卑怯な手で邪魔立てしてくる相手は完膚なきまでに叩き潰してきた。


 その手腕によって潰れた商会や失脚した貴族は数知れず。
 おかけで、皇宮では〝怒らせたら皇帝よりやべぇ奴〟として名が通っていた。


「よーし。アジトには警察をどやして向かわせたし、こいつらも回収しに来させてるし、あとは……」


 くうを見上げたフィレオトールは、すいっと杖を振る。


 すると、彼の足元に巨大な魔法陣が現れ、そこから拡散していった魔力が瞬く間に屋敷と丘全体を包み込んでいった。


 確かに、何度も盗賊に狙われるんじゃ堂々巡りが続くだけだし、結界で守った方が手っ取り早い。


 自分も最後にはこうするつもりだったので、ノクスは何も言わずにフィレオトールの作業を見守っていた。


 しかし……


「そーれ。」
「!?」


 まさかの結界二層目。
 驚くノクスをしりに、フィレオトールはさらに杖を振る。


「よいしょー♪」
「待て待て待て待て!!」


 三層目の結界が展開され始めたところで、ノクスはたまらずフィレオトールを後ろから羽交い締めにした。


「お前、どんだけ守りを強くする気だ!?」


「止めないで! いっそ呪いの地にしてやる!! ここに立ち入る奴は全員、天罰でも食らえーっ!!」


「お前がそれをやると、ガチの天罰になるんだよ!! とにかく落ち着けーっ!!」


 お前、ブルペノンでは自然様の化身として神認定されかねない立場だってことを忘れるなよ!?


 あんまり派手にやらかすと、せっかく隠してもらえてるステータスをフルオープンにせざるを得なくなるからな!?


 わめくフィレオトールを必死に止めるノクス。
 交渉とお説教の結果、結界の数は二つで手打ちとなった。

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