お飾り王太子妃になりました~三年後に離縁だそうです

蜜柑マル

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拗らせすぎる知事予定の夫妻たち(三男除く)

夕食後、蘇芳さんと共に英樹さんに付いていく。私が食事を終えるまで、結局陛下の妻である水仙さんは現れなかった。上総さんは食べようとするたび、陛下に「上総君、水仙を待ってるんでしょ」と言われてすごい顔をしていた。陛下にしろ英樹さんにしろ、上総さんにあんな対応してるのに…英樹さんなんて私の前で「バカ」呼ばわりしてるのに…それでも、未来の皇帝に一番近い朱雀州知事にしたのはなぜなんだろう。

「さ、どうぞ、ソフィアさん」

英樹さんにソファを勧められて腰をおろすと、すかさずお茶が運ばれてきた。この香りは…緑茶だ。

「いただきます」

…このホワッとくる苦味がまた美味しい。思わずジンッとする。

涙が出そうで慌てて瞬きしていると、「さて、蘇芳」と英樹さんが口を開いた。

「このまま離縁するなら聞かないつもりだったけど、解決しそうだというなら聞きたい。いったい何が原因だったの?いっつもあんなに仲良しなくせに。おまえのことを見て、撫子を嫌いだなんて誰も思わないし不思議で仕方なかったんだよ。心配したんだからね、たった何日であっても」

プンプンした調子でおどける英樹さん。

「申し訳ありませんでした、父上。実はその、僕…勃起不全で…」

「…え?」

「…ですから」

「いや、わかったけど!え、なんで?あんなに撫子にベタベタしてて勃起しない!?」

蘇芳さんは困ったような顔になると、

「ソフィアさんが言うには、肥満が原因ではないかと…ベタベタしてるとは言いますけど、その、…撫子の裸は、まだ、見たこともないですし…っ。む、胸とかも…っ」

と真っ赤になった。

「あの、英樹さん。私も気になったことがあって」

皇室の閨教育事情について先ほど蘇芳さんから聞いたことを話し、

「あんまり奔放なのはマズイでしょうけど、何にも知識がないのもマズイと思います。蘇芳さんなんて、前技なしに撫子さんに突っ込もうとしてたんですよ」

「え!?」

英樹さんは呆然とした顔になって、蘇芳さんを見た。

「蘇芳、それ、ほんとなの…」

「…僕、ナニをドコに挿入するかという知識はありましたけど、準備…女性のカラダを舐めたり触ったりしていいなんて知りませんでしたし、女性が気持ちよくならないと挿入できないことすら知りませんでした」

とたんに頭を抱えた英樹さんは、ガバッと顔を上げると、

「まさか、まさか羅刹と朝霧も…?あのふたりもまさか…?」

とブツブツ呟き、

「羅刹と朝霧にすぐ来るよう伝えてください」

と秘書に視線を移した。

秘書が出て行くと、「まさか、そんなことが原因だったなんて…」と力なく項垂れていた。

「英樹さん、撫子さんはある程度知識はあるみたいでした。漫画を読んだりして、性に対する知識はあったみたいなので…でも、夫である蘇芳さんは知らないわけですから、いざ行為をしようとしたらうまくいかないですし…お互い、不信感も生まれるかもしれませんよね。実践はないにしても、教科書みたいなのは必要なんじゃないでしょうか…このまま放置しておくと、皇室が成り立たなくなるのでは…」

「父上、僕も先ほどソフィアさんに漫画を読むように言われたんですが、セックスというのはああいうものなのかと…思ってた以上に、時間をかけてするものなのだと初めて知りました。普段から、甘い雰囲気も必要ですし、かなり勉強になりました」

英樹さんは疲れたように「…そうなんだ」と言うとまた項垂れ、「あんの腐れババア…っ」と呪いの言葉を吐いた。

「知事、羅刹様と朝霧様がいらっしゃいました」

「…通して」

ドアが開いて二人が入ってくる。

「父上、どうされたのですか」

二人に座るよう促した英樹さんは、座るのを待って切り出した。

「二人は、蘇芳が離縁したいって言ってたのは知ってる?」

「「離縁!?」」

見事に言葉が被った二人は、ブンブンと首を振りギッと鋭い目付きで蘇芳さんを見た。

「兄上、なぜ!?あんなに仲がいいくせに、なぜ…っ」

羅刹さんの言葉に引っ掛かりを覚える。仲がいい「くせに」?

「そうですよ、兄上!撫子様とあんなにベタベタしてるくせに!何を言い出すんですか!」

朝霧さんも「くせに」ときた。つまりは、蘇芳さんが撫子さんと仲良しなのが羨ましい、ってことだよね…?自分たちは違うの…?

当の蘇芳さんは、「いや、その、」と真っ赤になっている。言いづらいよね、わかります。

「聞きたいのはそこじゃなくて。あのさ、二人とも。セックスの仕方は知ってるんだよね」

英樹さんの言葉に部屋がシンッ…と静まりかえる。

「セックス…、ですか、なぜ、」

羅刹さんはそう呟くと、「まさか、」と英樹さんを見た。

「まさか、芙蓉から何かあったのですか!?お、俺が、無理矢理してしまったから…っ!で、でも、あれ以来、触れていません、誓ってしてません!」

「羅刹…説明して。無理矢理ってなに?」

とたんに英樹さんが魔王に変身した。

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