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「…まったく。オパールは、おまえの婚約者だったことすら記録から消えたんだぞ。何が妻だ、頭腐ってんのか?」
あっはっは、と嗤うフェルナンド。
「オパールが…っ、そんなに、そんなに美しいなんて、知らなかったんです…っ!香水が臭すぎて近寄れないし、ドレスだってゴタゴタ飾りがついてて、スタイルがすっかり隠されていて、化粧も酷かったし!でも、今のオパールなら大丈夫です、俺にオパールを戻してください…っ」
「却下だな」
そう言ったフェルナンドは、またあの目でニタリとすると、「パルは、なんで俺がこんなふうにしたのか知りたいか?」とボソリと呟いた。知りたい…なんでバカ息子の愚行を放置してたにも関わらず、その罪を今になって暴くような真似をしたのか…。でも、この顔…頭の中で警告音がする。
「知りたくないです、」
「俺がパルを妻にするためだよ」
「…は?」
私をじっと見詰めたフェルナンドは、「…ふふ」と嬉しそうに笑って、…私の胸をギュッと鷲掴みにした。
「…イタッ」
ちょっと、なにしてんのよ!
ギッ、と睨み付けると、「ああ…その目…堪んねぇな…」とまた嬉しそうに嗤った。…なんか怖いんだけど…。
「…オパールは俺に興味がないから知らないだろうが、俺はこいつ…ユージーンの母親に逃げられてねぇ。愛が重いんだと。そんなつもりはさらさらないんだけど、すっかり怯えられちゃってねぇ。離縁届置いて、いなくなっちゃったんだ。そこまで嫌われちゃったら、無理矢理連れ帰るわけにもいかないしねぇ…いまは、俺の元護衛の男と再婚してる。その男が俺の手引きで出会ったとは夢にも思わないだろうけどね」
またニタリとするその瞳に底知れぬ深淵を見て、カラダが無意識に震え出した。…逃げられた?愛が重い?…王妃に逃げられる国王って、しかも、理由が、…愛が重すぎるから?
「そんなとき、オパールがユージーンの婚約者として城に来て、ユージーンへの執着を見て、ああ、この子なら俺を受け入れてくれるかもしれない、俺と同じくらい愛が重いこの子なら、って、…そこから、パルを手に入れたくて手に入れたくて、ずっと機会を窺ってたんだ。ユージーンは早々にオパールの執着に根を上げて、リリアに目を向けた。俺の手前オパールと仕方なく結婚したが、リリアと愛を育んでいた。こいつが一方的に、だけど。リリアはリリアで王妃になりたくてユージーンに迫った。…面白いくらいにうまく事が進んだよ。俺は何もしてないよ?ただ黙って事の成り行きを見守っただけだ…オパール、おまえを手にするために」
ギュウッ、と私を胸に抱き込んだフェルナンドは、「やっと邪魔がなくなって手に入った、最高の形で」と耳元で囁く。その低い声に背中が痺れたようにゾクゾクとする。ていうか、そんな前から…何年も前からオパールを狙ってた、ってこと?そしてそれを今まさに実行しようとしている?…怖い!
「わ、たしは、」
断ろうと口を開くものの、怖くて声が震える。ちょっとー!オパールぅぅぅぅっ!!なんて危険な男に目ぇつけられてんのよぉーっ!!ヤバい絶対逃げないと!
「父上っ!オパールは俺の妻です、返してください!」
その時ユージーンが突然叫んだ。いいぞ、アホだけどなんとか時間を稼いでくれ!心の中で応援していたら、なぜかフェルナンドは私を見て「…お仕置きするよ?」と呟いた。目が、目が怖い、マジのやつ、これぇ…!なに?このおっさん、読心術できちゃうの!?怖いーっ!!
無表情のフェルナンドはまたもやユージーンを蹴りあげた。
「俺の妻の名前を軽々しく呼ぶな、穢らわしい。きさまになんぞ返さん、これからは俺がオパールを、…パルを、甘やかしてデロデロにして可愛がって、愛して愛して愛してやるんだ。おまえの母親で失敗したから、オパールのことは絶対に逃がさない。幸いセザールたちも協力してくれるし、兄上も、…そうだ、パル。俺も愛が重いらしいが兄も重くてねぇ。いまや公爵家を実質動かしてるのは君の兄だ。君の父…シェイドは、兄の目の届く範囲に留め置かれていて、他人と接触はほぼない。君が実家に帰りたくても、もう帰る場所はないんだ…ごめんね?」
…謝ってるわりには、まったく悪そうに思ってないよね、あんた。嬉しそうなのが丸わかりだよ…!そしてこいつの兄ちゃんとやら、おまえもか…!
「だ、いじょぶ、です、実家に帰らなくても、」
「うんうん、俺と結婚するからね!ずーっとここで幸せに暮らそうね!」
ちがーうっ!そうじゃなーいっ!
否定しようとした口を、またフェルナンドに塞がれてしまう。もう、もうやめてぇーっ!!
息も絶え絶えになった私を見て嬉しそうにしたフェルナンドは、「ふふ、かわい…」と呟くと、
「イーグル、ユージーンとリリアをドギーの所に連れて行け。処置が済んだら隣にぶちこんでおけ」
「かしこまりました」
…イーグルさんを見る気力すらない。どうしたらいいのよ、私…?
「フェルナンド様、オパール様はハジメテなのですから自重されませよ。また逃げられるなんて真っ平ですぞ」
…この声はセザールさんだ…?
「わかってるよ、一年後の戴冠式と結婚式までには俺から離れられないカラダにしちゃうから安心して」
結婚式?
「わ、私、結婚しません、」
「ごめんねぇ、パル。もう決まっちゃったの。あのボンクラはリリアと共に国王を退位するから、俺がまた国王に返り咲く…パルという美しく聡明な可愛いしかも若くておっぱいが大きい素晴らしい女性を妻として!前の妻に逃げられてからこっち、なんかやる気もでなくてさ…パルを手に入れるためにどうするか考えるためにもさっさとユージーンに王位を譲っちゃったんだけど、パルが手に入ったからこれからは心置きなく仕事に打ち込めるよ!」
あっはっは、って、あっはっは、じゃねぇよ!なんで人の人生勝手に決めてんのよぉ!!
「やだ、絶対にイヤ!」
「…なんで?」
とたんに低い声を出されて息が止まりそうになる。…怖いぃ!
「…まさかまだユージーンに心を残してるの?だとしたら、今夜から教え込まないといけないなぁ、…パルが誰のものなのか?」
無理無理無理、そんなのもっと無理ぃ!
「…結婚、しますっ!」
「うん、じゃあ教えるのは明日の夜からね。…一週間は出さないよ、パル」
…あれ?どっちにしても私、やられちゃうかんじ…?
あっはっは、と嗤うフェルナンド。
「オパールが…っ、そんなに、そんなに美しいなんて、知らなかったんです…っ!香水が臭すぎて近寄れないし、ドレスだってゴタゴタ飾りがついてて、スタイルがすっかり隠されていて、化粧も酷かったし!でも、今のオパールなら大丈夫です、俺にオパールを戻してください…っ」
「却下だな」
そう言ったフェルナンドは、またあの目でニタリとすると、「パルは、なんで俺がこんなふうにしたのか知りたいか?」とボソリと呟いた。知りたい…なんでバカ息子の愚行を放置してたにも関わらず、その罪を今になって暴くような真似をしたのか…。でも、この顔…頭の中で警告音がする。
「知りたくないです、」
「俺がパルを妻にするためだよ」
「…は?」
私をじっと見詰めたフェルナンドは、「…ふふ」と嬉しそうに笑って、…私の胸をギュッと鷲掴みにした。
「…イタッ」
ちょっと、なにしてんのよ!
ギッ、と睨み付けると、「ああ…その目…堪んねぇな…」とまた嬉しそうに嗤った。…なんか怖いんだけど…。
「…オパールは俺に興味がないから知らないだろうが、俺はこいつ…ユージーンの母親に逃げられてねぇ。愛が重いんだと。そんなつもりはさらさらないんだけど、すっかり怯えられちゃってねぇ。離縁届置いて、いなくなっちゃったんだ。そこまで嫌われちゃったら、無理矢理連れ帰るわけにもいかないしねぇ…いまは、俺の元護衛の男と再婚してる。その男が俺の手引きで出会ったとは夢にも思わないだろうけどね」
またニタリとするその瞳に底知れぬ深淵を見て、カラダが無意識に震え出した。…逃げられた?愛が重い?…王妃に逃げられる国王って、しかも、理由が、…愛が重すぎるから?
「そんなとき、オパールがユージーンの婚約者として城に来て、ユージーンへの執着を見て、ああ、この子なら俺を受け入れてくれるかもしれない、俺と同じくらい愛が重いこの子なら、って、…そこから、パルを手に入れたくて手に入れたくて、ずっと機会を窺ってたんだ。ユージーンは早々にオパールの執着に根を上げて、リリアに目を向けた。俺の手前オパールと仕方なく結婚したが、リリアと愛を育んでいた。こいつが一方的に、だけど。リリアはリリアで王妃になりたくてユージーンに迫った。…面白いくらいにうまく事が進んだよ。俺は何もしてないよ?ただ黙って事の成り行きを見守っただけだ…オパール、おまえを手にするために」
ギュウッ、と私を胸に抱き込んだフェルナンドは、「やっと邪魔がなくなって手に入った、最高の形で」と耳元で囁く。その低い声に背中が痺れたようにゾクゾクとする。ていうか、そんな前から…何年も前からオパールを狙ってた、ってこと?そしてそれを今まさに実行しようとしている?…怖い!
「わ、たしは、」
断ろうと口を開くものの、怖くて声が震える。ちょっとー!オパールぅぅぅぅっ!!なんて危険な男に目ぇつけられてんのよぉーっ!!ヤバい絶対逃げないと!
「父上っ!オパールは俺の妻です、返してください!」
その時ユージーンが突然叫んだ。いいぞ、アホだけどなんとか時間を稼いでくれ!心の中で応援していたら、なぜかフェルナンドは私を見て「…お仕置きするよ?」と呟いた。目が、目が怖い、マジのやつ、これぇ…!なに?このおっさん、読心術できちゃうの!?怖いーっ!!
無表情のフェルナンドはまたもやユージーンを蹴りあげた。
「俺の妻の名前を軽々しく呼ぶな、穢らわしい。きさまになんぞ返さん、これからは俺がオパールを、…パルを、甘やかしてデロデロにして可愛がって、愛して愛して愛してやるんだ。おまえの母親で失敗したから、オパールのことは絶対に逃がさない。幸いセザールたちも協力してくれるし、兄上も、…そうだ、パル。俺も愛が重いらしいが兄も重くてねぇ。いまや公爵家を実質動かしてるのは君の兄だ。君の父…シェイドは、兄の目の届く範囲に留め置かれていて、他人と接触はほぼない。君が実家に帰りたくても、もう帰る場所はないんだ…ごめんね?」
…謝ってるわりには、まったく悪そうに思ってないよね、あんた。嬉しそうなのが丸わかりだよ…!そしてこいつの兄ちゃんとやら、おまえもか…!
「だ、いじょぶ、です、実家に帰らなくても、」
「うんうん、俺と結婚するからね!ずーっとここで幸せに暮らそうね!」
ちがーうっ!そうじゃなーいっ!
否定しようとした口を、またフェルナンドに塞がれてしまう。もう、もうやめてぇーっ!!
息も絶え絶えになった私を見て嬉しそうにしたフェルナンドは、「ふふ、かわい…」と呟くと、
「イーグル、ユージーンとリリアをドギーの所に連れて行け。処置が済んだら隣にぶちこんでおけ」
「かしこまりました」
…イーグルさんを見る気力すらない。どうしたらいいのよ、私…?
「フェルナンド様、オパール様はハジメテなのですから自重されませよ。また逃げられるなんて真っ平ですぞ」
…この声はセザールさんだ…?
「わかってるよ、一年後の戴冠式と結婚式までには俺から離れられないカラダにしちゃうから安心して」
結婚式?
「わ、私、結婚しません、」
「ごめんねぇ、パル。もう決まっちゃったの。あのボンクラはリリアと共に国王を退位するから、俺がまた国王に返り咲く…パルという美しく聡明な可愛いしかも若くておっぱいが大きい素晴らしい女性を妻として!前の妻に逃げられてからこっち、なんかやる気もでなくてさ…パルを手に入れるためにどうするか考えるためにもさっさとユージーンに王位を譲っちゃったんだけど、パルが手に入ったからこれからは心置きなく仕事に打ち込めるよ!」
あっはっは、って、あっはっは、じゃねぇよ!なんで人の人生勝手に決めてんのよぉ!!
「やだ、絶対にイヤ!」
「…なんで?」
とたんに低い声を出されて息が止まりそうになる。…怖いぃ!
「…まさかまだユージーンに心を残してるの?だとしたら、今夜から教え込まないといけないなぁ、…パルが誰のものなのか?」
無理無理無理、そんなのもっと無理ぃ!
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…あれ?どっちにしても私、やられちゃうかんじ…?
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