あなたの愛は、もういらない

蜜柑マル

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「戻ったな。サーラ、大丈夫か?」

「は、い、…?」

いったいなんだったのかよくわからないまま、夫に抱き上げられたままベッドに運ばれた。

「サーラ、キレイだ。可愛い。すごく似合う、想像以上だ。…俺も、脱いでいいかな。怖いこと、しないから」

私をベッドに横たえた夫は、下衣も脱ぎ捨て全裸になった。すでに勃ちあがっている昂りを見て、思わずカラダが震えると、

「サーラ、大丈夫、挿入れたりしないから。もう、あんなふうに無理矢理しない。たくさんサーラが気持ちよくなって、サーラが俺を受け入れられるようになるまでは挿入れないから。約束する。怖いことも、痛いこともしない。サーラ、愛してるよ」

夫の誠実な言葉に、私はさっきのように「ありがとうございます」と言えなかった。夫は柔らかく目を細めると、私に唇を重ねた。

「サーラ、好きだよ」

頬や耳や首筋にどんどん唇を落とされ、伝わってくる夫のカラダの熱さに胸がドキドキしてくる。

「…怖くないか?」

コクリ、と頷いてみせると、また嬉しそうに笑った。夫の指が、私の胸の突起に触れスリスリする。下着で擦れて気持ちいい。

「サーラのおっぱい、ずっと触ってみたかった…妄想の中では柔らかさとかわからないからな。これから先、サーラに抱かせてもらえなくなっても柔らかさも硬さもわかるから興奮できる…あー、透けるとこんなふうに見えるのか、サーラの乳首…勃ちあがって、布地を押し上げてる…エロい…」

指でツンツンしたあと、夫は下着の上からベロリと舐めた。

「…けっこう硬いな。周りはこんなにやわいのに」

横からたぷたぷ揺らされ、恥ずかしいことこの上ない。いちいち言葉にされるのも恥ずかしいし、やめてくれないだろうか。

「サーラ、直接見たい。透けてるのもエロいんだけど、サーラのおっぱい見せて。下着、捲って」

「え、」

「捲って?お願い」

またチュ、と口づけられ、耳元で「お願い、サーラ、自分で捲って」と囁かれ、怖くも痛くもないのに涙がじんわり滲んでくる。

「…いや?」

心配そうな夫に首を横に振ってみせ、私は震える手をなんとかなだめて下着を捲った。ふるり、と胸が露になる。

「…キレイだ。サーラ、そのまま下着もってて」

夫は私の上で、じっと観察するように見ている。恥ずかしい。恥ずかしい。

「あー…このサーラの格好を妄想で使ったら10回は抜けるな…エロい…フルフルしてる…」

夫は私をじっと見たまま、目を合わせながら胸に吸い付いた。恥ずかしいのに、目が離せない。チュパチュパといやらしい音をたてられ、もう片方はやわやわと揉みしだかれる。

「ラ、イアン、さま、」

「ん?痛い?」

「痛くないです、気持ちいい、」

「…怖くない?」

「怖く、ないです」

ほにゃり、と緩んだ夫の瞳から、涙がポタリと落ちた。

「…ライアン様」

夫は、震える手を私に回すと、ギュ、と抱きついてきた。カラダの重みをかけられて、でも怖さは少しもなかった。

「大事なことを、何も言わず、妄想の中だけでサーラと付き合ってきた。話も、こんなことを言ったら嫌われるんじゃないかと思ったら、勘繰りすぎて何を話していいかわからなくなった。触りたくても、触れなくて、自分で決めたくせに、サーラに八つ当たりした。ぜんぜん、嫉妬してくれなくて、俺のこと、好きじゃないんだ、って。俺と結婚をしないで、隣国に行く気なのかと思ったら、すぐに入籍だけでもしたくて、…全部、自分のためだった。ごめん」

震えながら、一言一言噛み締めるように話す夫に、私は何も言えなかった。私も、独りよがりだったから。ブリジットの話をされたとき、やめて、と言わなかった。捨てられるなら、と隣国に逃げようとした。

「わたしたち、なんにも向き合ってこなかったんですね」

私の言葉にガバッと顔を上げた夫は、ぐちゃぐちゃの顔をしていた。

「…別れたいか?…イヤだけど、サーラが望むなら受け入れる。サーラをずっと、傷つけてきてすまなかった…」

そう言いながら、夫は苦しそうに顔を歪め、「…喪いたくない…っ」と絞り出すように叫んだ。初めて聞く本音ではないだろうか。

「別れません。これから、向き合っていけばいいです。わたくしも、言うべきことを何も言わないでライアン様から逃げていました。ブリジット様が好きなら勝手にしろ、なんて、わかったふりをして、本当は逃げてただけでした。貴方が、わたくしを愛してくれないなら、もういい、って、諦めました。あんなふうに乱暴されて、怖くて、痛くて、どうでもよくなったけど、…ライアン様、さっき言いましたね。最悪の思い出を書き換える、って。これから、書き換えてください。わたくしを、たくさん抱いて、可愛がって、…愛して、くれますか」

夫はボタボタ涙を流し、眉をギュッとしかめると、私にそっと口づけた。言葉はなかったけど、その唇から夫の気持ちは伝わってきた。



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