7 / 57
7
しおりを挟む
ふたりで泣きながらくっついていたら、なんだか頭がぼんやりとして…気付いたら寝落ちしていたオーウェンとソフィアは、生温い目でニヨニヨする周りにいたたまれなかった。オーウェンはギクシャクとソフィアを膝から降ろしてベンチに腰掛けさせると、徐にひざまづいた。
「ソフィア嬢、…僕と婚約してください。貴女が好きだ。貴女が僕の妻になってくれたら、どんなに素晴らしい人生になるかと思う…貴女の、そのお日様のような笑顔を、お日様のような優しさを、お日様のような匂いを、生涯かけて僕が守る。大切にします、だから、…僕の婚約者に、…お願いします」
そっと握られたオーウェンの手がとても冷えていて、カラダがカタカタと震えている様子を見てしまったら、「イヤです」と言えなくなった。こうして真剣に自分の想いを伝えてくれたオーウェンを知る努力をする前に、「釣り合わないから」と断るのはなんだか自分勝手な気がしたのだ。
「…殿下のことを、知りたいと思います。私を政略で選ぶのではなく、余り物だけど仕方なく選ぶのではなく、私を好きだから選んでくださるというのなら、私も、逃げません。殿下に私は相応しくないと思いますが、そう卑下することがなくなるよう、自分に自信を持てるよう、努力します。…婚約者に、なります。よろしくお願いいたします」
ソフィアの言葉に弾かれたように顔を上げたオーウェンの瞳から、涙が零れ落ちた。
「…ほ、んとう、に…?」
「本当です、殿下も私を、今の私を知ってください、…二人で同じ時間を共有して、ダメそうならば解消するということでもいいですか…」
コクコクと頷いたオーウェンは、「…嬉しい」と呟くとまた涙を零したが、その瞳は歓喜で輝いていた。
「私はひとつ知りましたよ。…殿下が、泣き虫なんだ、って」
ソフィアは微笑むと、オーウェンの隣にしゃがみこみ目線を合わせた。ハンカチを取り出し、オーウェンの目元を優しく拭う。
「…恥ずかしいな。ごめん…。キミのことになると抑えがきかなくて…。嬉しくて…。夢じゃないよね、本当に婚約者になってくれるんだよね、ソフィア嬢、…ソフィア」
ギュ、とソフィアを抱き込み耳元で囁く。その掠れた低音に、ソフィアの背中には感じたことのない痺れが走った。
「…っ、ひゃ…っ、」
思わず出てしまった声にハッ、として口を抑えると、同じく顔を勢いよく離したオーウェンとバッチリ目が合い、お互いの顔が一気に赤く染まった。
「ソフィア嬢、…僕と婚約してください。貴女が好きだ。貴女が僕の妻になってくれたら、どんなに素晴らしい人生になるかと思う…貴女の、そのお日様のような笑顔を、お日様のような優しさを、お日様のような匂いを、生涯かけて僕が守る。大切にします、だから、…僕の婚約者に、…お願いします」
そっと握られたオーウェンの手がとても冷えていて、カラダがカタカタと震えている様子を見てしまったら、「イヤです」と言えなくなった。こうして真剣に自分の想いを伝えてくれたオーウェンを知る努力をする前に、「釣り合わないから」と断るのはなんだか自分勝手な気がしたのだ。
「…殿下のことを、知りたいと思います。私を政略で選ぶのではなく、余り物だけど仕方なく選ぶのではなく、私を好きだから選んでくださるというのなら、私も、逃げません。殿下に私は相応しくないと思いますが、そう卑下することがなくなるよう、自分に自信を持てるよう、努力します。…婚約者に、なります。よろしくお願いいたします」
ソフィアの言葉に弾かれたように顔を上げたオーウェンの瞳から、涙が零れ落ちた。
「…ほ、んとう、に…?」
「本当です、殿下も私を、今の私を知ってください、…二人で同じ時間を共有して、ダメそうならば解消するということでもいいですか…」
コクコクと頷いたオーウェンは、「…嬉しい」と呟くとまた涙を零したが、その瞳は歓喜で輝いていた。
「私はひとつ知りましたよ。…殿下が、泣き虫なんだ、って」
ソフィアは微笑むと、オーウェンの隣にしゃがみこみ目線を合わせた。ハンカチを取り出し、オーウェンの目元を優しく拭う。
「…恥ずかしいな。ごめん…。キミのことになると抑えがきかなくて…。嬉しくて…。夢じゃないよね、本当に婚約者になってくれるんだよね、ソフィア嬢、…ソフィア」
ギュ、とソフィアを抱き込み耳元で囁く。その掠れた低音に、ソフィアの背中には感じたことのない痺れが走った。
「…っ、ひゃ…っ、」
思わず出てしまった声にハッ、として口を抑えると、同じく顔を勢いよく離したオーウェンとバッチリ目が合い、お互いの顔が一気に赤く染まった。
70
あなたにおすすめの小説
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―
鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。
泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。
まだ八歳。
それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。
並ぶのは、かわいい雑貨。
そして、かわいい魔法の雑貨。
お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、
冷めないティーカップ、
時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。
静かに広がる評判の裏で、
かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。
ざまぁは控えめ、日常はやさしく。
かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。
---
この文面は
✔ アルファポリス向け文字数
✔ 女子読者に刺さるワード配置
✔ ネタバレしすぎない
✔ ほのぼの感キープ
を全部満たしています。
次は
👉 タグ案
👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字)
どちらにしますか?
婚約破棄されたので、戻らない選択をしました
ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた
貴族令嬢ミディア・バイエルン。
だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、
彼女は一方的に婚約を破棄される。
「戻る場所は、もうありませんわ」
そう告げて向かった先は、
王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。
権力も、評価も、比較もない土地で、
ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。
指示しない。
介入しない。
評価しない。
それでも、人は動き、街は回り、
日常は確かに続いていく。
一方、王都では――
彼女を失った王太子と王政が、
少しずつ立ち行かなくなっていき……?
派手な復讐も、涙の和解もない。
あるのは、「戻らない」という選択と、
終わらせない日常だけ。
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので
ふわふわ
恋愛
「婚約破棄?
……そうですか。では、私の役目は終わりですね」
王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、
国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢
マルグリット・フォン・ルーヴェン。
感情を表に出さず、
功績を誇らず、
ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは――
偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。
だが、マルグリットは嘆かない。
怒りもしない。
復讐すら、望まない。
彼女が選んだのは、
すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。
彼女がいなくなっても、領地は回る。
判断は滞らず、人々は困らない。
それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。
一方で、
彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、
「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。
――必要とされない価値。
――前に出ない強さ。
――名前を呼ばれない完成。
これは、
騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、
最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。
ざまぁは静かに、
恋は後半に、
そして物語は、凛と終わる。
アルファポリス女子読者向け
「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる