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庭園に用意された椅子にオーウェンを座らせたソフィアは、向かいではなくオーウェンの隣に椅子を寄せて腰を降ろした。
「…ソフィア、あの、」
「お隣でもいいですか?それとも、はしたないですか」
オーウェンはまた顔を赤くすると、「ううん、隣がいい」と呟き、はあ、とため息をついた。
「…僕、ほんとカッコ悪いな。全部、ソフィアに助けてもらってる。自分が婚約したい、って言ったくせに。初めてのプレゼントも、こんなだし」
ソフィアはキュッ、と眉をしかめると、「殿下」とオーウェンに視線を向けた。その真剣な強い瞳にオーウェンの胸がドクリと大きく音をたてる。
「…は、い」
「せっかくの可愛らしい花を、こんな、だなんて仰らないでください。私が大好きなお花を、貶めないでください。ガーベラ、大好きなんです。可愛らしいですよね。しかもピンクで、とても嬉しいんですよ、私。嬉しいんです、殿下。嬉しい。ありがとうございます」
何度も嬉しい、と繰り返し、ソフィアはオーウェンをじっと見つめた後微笑んだ。
「殿下、教えてください。なんで、恥ずかしいと思ったのにお花を贈ってくださったのですか」
オーウェンはソフィアの微笑みに見とれたようにポーッとしたが、ハッ、と頭を振って、「…うん」と頷いた。
「…僕は、ソフィアが好きなものをまだ何も知らなくて、でも顔合わせの日にジェンキンス侯爵がソフィアは花が好きだ、って言ってたでしょう。だから、城の庭園で花を探そうと思って。この花が、初めて会ったあの日のソフィアのように可愛らしくて、これをプレゼントしたい、って、…そう思って」
そのあと黙ってしまったオーウェンの言葉をソフィアはじっと待った。ためらうように口を何度か開けたり閉じたりしたオーウェンは、やっと意を決したように口を開いた。
「でも、弟に、…すぐ下の弟に、『そんなみすぼらしい花』って嗤われて、…なんか、恥ずかしくなっちゃって、浮かれてた自分が」
また俯いてしまったオーウェンの手を、ソフィアはそっと握った。
「…ソフィア、あの、」
「お隣でもいいですか?それとも、はしたないですか」
オーウェンはまた顔を赤くすると、「ううん、隣がいい」と呟き、はあ、とため息をついた。
「…僕、ほんとカッコ悪いな。全部、ソフィアに助けてもらってる。自分が婚約したい、って言ったくせに。初めてのプレゼントも、こんなだし」
ソフィアはキュッ、と眉をしかめると、「殿下」とオーウェンに視線を向けた。その真剣な強い瞳にオーウェンの胸がドクリと大きく音をたてる。
「…は、い」
「せっかくの可愛らしい花を、こんな、だなんて仰らないでください。私が大好きなお花を、貶めないでください。ガーベラ、大好きなんです。可愛らしいですよね。しかもピンクで、とても嬉しいんですよ、私。嬉しいんです、殿下。嬉しい。ありがとうございます」
何度も嬉しい、と繰り返し、ソフィアはオーウェンをじっと見つめた後微笑んだ。
「殿下、教えてください。なんで、恥ずかしいと思ったのにお花を贈ってくださったのですか」
オーウェンはソフィアの微笑みに見とれたようにポーッとしたが、ハッ、と頭を振って、「…うん」と頷いた。
「…僕は、ソフィアが好きなものをまだ何も知らなくて、でも顔合わせの日にジェンキンス侯爵がソフィアは花が好きだ、って言ってたでしょう。だから、城の庭園で花を探そうと思って。この花が、初めて会ったあの日のソフィアのように可愛らしくて、これをプレゼントしたい、って、…そう思って」
そのあと黙ってしまったオーウェンの言葉をソフィアはじっと待った。ためらうように口を何度か開けたり閉じたりしたオーウェンは、やっと意を決したように口を開いた。
「でも、弟に、…すぐ下の弟に、『そんなみすぼらしい花』って嗤われて、…なんか、恥ずかしくなっちゃって、浮かれてた自分が」
また俯いてしまったオーウェンの手を、ソフィアはそっと握った。
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