【完結】あなたのことが好きでした

蜜柑マル

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学園に到着し、オーウェンのエスコートでソフィアが馬車から姿を現すと、周りで感嘆の声が上がる。学園に新しく入学する者だけでなく在校生にも、第1王子とその婚約者の仲睦まじさ、それ以上にオーウェンのソフィアに対する執着ともとれる愛情の深さは周知の事実だったため、特に女子学生からは羨望の眼差しを受けていた。オーウェン殿下のような愛情を向けてくれる相手に嫁ぎたい、と。

その中に、同じ様に羨望の眼差しながら異なる心情でオーウェンを熱く見つめる女子学生がいた。彼女の名前はクリスティーナ・ロック。ロック伯爵がメイドに手をつけ生ませた娘で、実母であるメイドはロック伯爵の妻に追い出されたが、生まれた赤子に罪はないからと伯爵家の娘として大事に育てられた。そのクリスティーナは転生者で、自分が大好きだったゲームの世界に降り立った、と気付き歓喜に包まれた。

(ライトノベルでよく描かれてるざまぁされるヒロインにはならない…あんな、電波系みたいなバカな真似はしないわ…。幸いにも私は伯爵家の令嬢だから王族に嫁ぐことも可能だし…学園に入学するまでに完璧な淑女になってみせる)

ライトノベル的展開にはしない、と言いながらクリスティーナは自分がヒロインなのだから、自分に都合のいい展開がきっと訪れると信じて疑わなかった。まだ攻略対象者には出会っていないからわからないけれど、あのやりこんだゲームのようにきっとみんなが私を好きになってくれるはず、と。

だから学園に入る前に、攻略対象である第1王子たちに婚約者がいてもなんとも思わなかった。むしろゲームの設定通りでホッとした。攻略対象たちの婚約者は、ゲームを盛り上げるためのスパイスだ。なくてはならないものなのだ。私が選んだ攻略対象の婚約者だけは婚約破棄をされてしまうが、元々がいい家柄なのだし恵まれた生活を送ってきたのだし、そもそも、私がいるからこそ存在していたのだから、私の幸せのために消え去るのは致し方ないことなのだ。

オーウェンの隣にエスコートされて立つソフィアを見てほくそ笑む。

(あと3年で、貴女はオーウェンから捨てられてしまうのよ…可哀想な悪役令嬢さん)

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