【完結】あなたのことが好きでした

蜜柑マル

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「い、痛い…っ」

「突然しなだれかかられた兄上も痛い思いをしたよ。キミ、名前は?」

冷たく見据えられ、ギクリとしたクリスティーナは助けを求めるようにオーウェンに目を向けたが、そのオーウェンはまったくの無表情でクリスティーナを見ていた。まるで無機物でも見るような無関心さで…。

「…クリスティーナ・ロックと申します」

「ロック伯爵家の令嬢か。…来たな」

侍従に連れられやって来た職員は王子が二人揃っているのを見て顔を青くしたが、今までの雰囲気とはガラリと変わってベンジャミンがニコリと微笑んだ。

「先生、こちらの女子学生が気分が悪いそうです。保健室に連れて行っていただけますか?」

そう言ってクリスティーナをオーウェンから完全に引き剥がし、職員に押し付けたベンジャミンは、その後は振り返ることなく「兄上、お話があります」とオーウェンの腕を掴み歩き出した。

「…ベンジャミン、」

まったく止まる様子のないベンジャミンを見て、オーウェンは引き摺られながらため息をつくと、

「ソフィア!あとで、家に行くから!」

と叫び、ベンジャミンの隣にカラダを向ける。何かを囁かれたオーウェンが思い切り顔を歪めるのを、ソフィアは呆然と見送った。

「ソフィア様」

「…オリザ様」

声をかけられ振り向くと、そこには一年先輩のオリザ・ブルーム公爵令嬢が微笑んでいた。オリザは第2王子、ベンジャミンの婚約者だ。ソフィア同様に城で教育を受けている立場の令嬢だが、ベンジャミンは2つ歳上のオリザをあまり快く思っていないと聞いている。第3王子のパーシヴァルの婚約者がひとつ年下の令嬢に代わった時に大荒れして、自分もオリザではない令嬢を婚約者にすると一悶着あったとか。オリザとも、ほとんど没交渉らしい。

「ご無沙汰しておりました、今日からよろしくお願いいたします」

頭を下げるソフィアに、オリザは柔らかく目を細める。

「こちらこそ、よろしくお願いいたしますね、ソフィア様」

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