記憶喪失のフリをして婚約者から逃げるはずがどうしてこうなった

蜜柑マル

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「ナタリー…」

私の名前を呼びながらキスを繰り返す浮気王子に、私は抵抗もできずにカラダを委ねてしまっていた。

すごく気持ちいい。キスしてるだけなのに。あの時とぜんぜん違う。あの時と…

ハッと気付いて起き上がろうとする私に、「ナタリー、イヤなのか?やっぱり、俺では…」という力の抜けた浮気王子をグイッと逆に押し倒した。

「ナ、ナタリー!?」

「ねぇ、カラダ鍛えたんでしょ。腹みせてよ。腹筋見せて」

その前に胸を触って確認する。ほんとだ。肌触りぜんぜん違う。触ってるだけで気持ちいい。

「すごい。前はただ厚いだけだったけど、大胸筋の形が素敵!よく頑張ったね、あんた、すごいじゃん!でも、腕は太くなりすぎてないし。最高!ほどよいこの太さ!」

私は興奮のあまり、浮気王子の胸にはむっと噛み付いた。うわー、この硬さ。たまらん。

「あ…っ!ナタリー、おまえ…っ」

浮気王子が熱い吐息を洩らしたが、私はそれどころじゃなかった。

「次は腹筋ね、腹筋見せて!ちょっと、これ邪魔じゃん!早く脱いでよ!下着は脱いじゃダメ。やだ!ボクサーパンツ!?よくわかってるじゃん!筋肉を魅せるのに最高よね、私大好物なの!ギリギリ、ギリギリ、そう、これよ、これ!見えるか見えないかのギリギリのところに下着を、…いやぁぁぁぁぁ!!色っぽい!なに、このライン!すごい!レオンたん、すごい!」

「レ、レオンたん!?」

大興奮の私は、もうたぶん正気じゃなかった。「レオンたん!ペロペロさせて!素敵!何この腹筋!」

浮気王子の上に跨がり、腹筋をペロペロ舐める。はぁ、たまらん。なにこれ。あんなに浮気臭が漂ってたのに、すんごいいい匂いになってる!!

「レオンたん、好き!大好き!結婚して!」

「ナタリー、いいのか、本当にいいのか!?」

「うん、いいよ!できればミアちゃんにはセックスするときも腹筋は触らせないで欲しいんだけど…」

と言った私のお尻を浮気王子がキュッとつねった。

「キャッ」

「ナタリー、俺はモンデール伯爵令嬢の名前を出してくれるなと言ったはずだぞ!俺が愛してるのはおまえだけだ!なんであれだけのことをやってるのにわからないんだ!」

「…へ?」

何を言われてるのかわからない私をまた押し倒した浮気王子は、「俺のこの愛情がわからないとは…キツい仕置きが欲しいんだな、ナタリー。わかるまでやってやる」と私を妖艶な顔で見下ろした。最高!三白眼、最高!素敵、その視線で射抜いて!

「レオンたん、お願い、お仕置きしてぇ!」

「ナタリー!もう離さないからな!子どもも一人なんてなしだぞ!いいか!」

「いい、なんでもいい、早く!その素敵な腹筋舐めさせて!レオンたん、好きっ」

その日、浮気王子はレオンたんになった。

レオンたんは絶倫だったらしく、毎日毎日何回したら気が済むんだよ、ってくらいにするんだけど、そのたんびにあの鍛え上げられたカラダを拝めるので文句はない。むしろご褒美。私もカラダ鍛えてて良かった。体力勝負だからね、マジで。

学園にいる間は子ども作るのなしね、とどうにかレオンたんに納得させるのが一苦労だった。早く私を閉じ込めたい…意味わからん。なんなの、犯す発言の次は監禁発言なの。やめてよ。

「ナタリー…俺のこと好きか?」

今日も素敵な三白眼が、蕩けるように私を見つめる。

「もちろん好き!レオンたん!」

特にレオンたんの腹筋をね、

「愛してる!」







【了】



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