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前回と異なること
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「それではまた」
そう挨拶をすると、私を横抱きにしたままハロルド殿下は歩き出した。ハロルド殿下の肩越しにそっと見ると、アデル様がニコニコしながら手を軽く振ってくれている。慌てて手を振り返すと、頭上から「ふ、」と笑う声が聞こえた。
見上げると、柔らかく目を細めて私を見つめるハロルド殿下と目が合う。
「セシリア、可愛いな」
「…やめてください」
私は可愛くなんてない。可愛くないから、あんなに頑ななほど私の存在を無視し続けたのでしょう。未来の貴方は。…どのように言ってみてもしっくり来ないのが癪に触る。
あの時の気持ちを思い出して、またジクジクと胸が疼き始める。この人は、まだあの男ではない、それはわかる、けれど、ハロルド殿下であることに違いはない。もう、関わりたくないの。関わりたくない…。
「…セシリア、なぜ泣く?可愛いは褒め言葉にならなかったか?子ども扱いのようで怒ってしまったのか?悪かった、しかし、」
「…違います。ハロルド殿下、」
するとまた指を唇に当てられ、スルリと撫でられた。
「セシリア、さっきも言ったが殿下は無しだ。ハロルド、できればハルと呼んで欲しい」
「無理です。殿下、私は殿下と結婚するつもりはありません、無理なのです」
「セシリア、もう決まったんだ」
その他人事のような言葉に頭がカァッとなる。
「私は、もう、貴方と関わりたくない!あんな風にバカにされて、あんな風に苦しい思いをして、ひとりで死ぬなんてまっぴらなの!離して!他の女が良かったなら、その女を選べば良かったのに、私は、なんであんな嫌がらせを受けなくちゃいけなかったの!答えてよ!だいっきらい!私のことは放っておいて!」
風呂場でひとり、手首に刃物を当てたときのあの絶望と恐怖。冷たさに震えているのか、それとも悲しみからくる震えか、わからないほどカラダが震えた。それでももう、これ以上惨めな人生を送りたくなくて、
「セシリア!」
ギュウッと、痛いくらいにカラダを抱き締められ、涙が次から次へと溢れ出す瞼にそっと口づけられる。その温もりが優しくて、切なくて、あんなに焦がれても私には見向きもしなかったくせに、なんでこんな、
「イヤ、もう、私は、貴方が、」
「セシリア、俺を見て。頼むから、見てくれ、セシリア」
頬にそっと触れる手の感触に、また胸が切なく疼く。求めたくても、求めることを許されなかったこの温もりをなぜ今私に教えるのか。
「酷い…」
知らないままにして欲しかった。知らないままに、して欲しかったのに。
そう挨拶をすると、私を横抱きにしたままハロルド殿下は歩き出した。ハロルド殿下の肩越しにそっと見ると、アデル様がニコニコしながら手を軽く振ってくれている。慌てて手を振り返すと、頭上から「ふ、」と笑う声が聞こえた。
見上げると、柔らかく目を細めて私を見つめるハロルド殿下と目が合う。
「セシリア、可愛いな」
「…やめてください」
私は可愛くなんてない。可愛くないから、あんなに頑ななほど私の存在を無視し続けたのでしょう。未来の貴方は。…どのように言ってみてもしっくり来ないのが癪に触る。
あの時の気持ちを思い出して、またジクジクと胸が疼き始める。この人は、まだあの男ではない、それはわかる、けれど、ハロルド殿下であることに違いはない。もう、関わりたくないの。関わりたくない…。
「…セシリア、なぜ泣く?可愛いは褒め言葉にならなかったか?子ども扱いのようで怒ってしまったのか?悪かった、しかし、」
「…違います。ハロルド殿下、」
するとまた指を唇に当てられ、スルリと撫でられた。
「セシリア、さっきも言ったが殿下は無しだ。ハロルド、できればハルと呼んで欲しい」
「無理です。殿下、私は殿下と結婚するつもりはありません、無理なのです」
「セシリア、もう決まったんだ」
その他人事のような言葉に頭がカァッとなる。
「私は、もう、貴方と関わりたくない!あんな風にバカにされて、あんな風に苦しい思いをして、ひとりで死ぬなんてまっぴらなの!離して!他の女が良かったなら、その女を選べば良かったのに、私は、なんであんな嫌がらせを受けなくちゃいけなかったの!答えてよ!だいっきらい!私のことは放っておいて!」
風呂場でひとり、手首に刃物を当てたときのあの絶望と恐怖。冷たさに震えているのか、それとも悲しみからくる震えか、わからないほどカラダが震えた。それでももう、これ以上惨めな人生を送りたくなくて、
「セシリア!」
ギュウッと、痛いくらいにカラダを抱き締められ、涙が次から次へと溢れ出す瞼にそっと口づけられる。その温もりが優しくて、切なくて、あんなに焦がれても私には見向きもしなかったくせに、なんでこんな、
「イヤ、もう、私は、貴方が、」
「セシリア、俺を見て。頼むから、見てくれ、セシリア」
頬にそっと触れる手の感触に、また胸が切なく疼く。求めたくても、求めることを許されなかったこの温もりをなぜ今私に教えるのか。
「酷い…」
知らないままにして欲しかった。知らないままに、して欲しかったのに。
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