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第一章 出会い編
5、私は納得します
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「うーん、あらためて説明しようと思うと難しいな。何から聞きたいとかある? 聞き手の要望には可能な限り応えるのが俺の流儀だからな」
「自分の説明下手を私にフォローさせないでくれます? しかも何を自分にとって良い印象になるような言葉に言い換えているのですか。自己保身に必死なのは醜いですわよ」
「はい、ごめんなさい……」
素直に謝ることが出来るのは美徳ではありますが、王子としては少々風格に欠けますわね。勿論、謝罪しないのは論外ですが、こうも情けなく背中を曲げているのはいくらなんでもみっともないですわ。これは誰に対してもこうなのか、素を出している今だからこうなのか。まさか、私に言われたから、なんてことはないと思いますが。
ですが、成程とも思いますわね。ロデウロは聞いた話によると平和な国だそうです。その国で王族がこの性格だったら、まあ信頼されていても不思議ではありません。いえ、ずっとこの性格だったらそれ以上に怒られていそうですが。
「……私が処刑される原因。一番に聞きたいのはそこですわね」
「そこ一番に聞くのか。勇敢だな。俺だったらなるべく後回しにしそう」
「貴方のことはどうでもいいので早く説明してくださいませんか? 私にも我慢の限界がございますので」
「あ、はい……。……この国の第一王子、クリス・フウグ・ノースコードは、正直言って人の上に立つ器じゃない。お前が一番よくわかってるだろうけど、その愚かさについてはこっちにまで噂が流れてくるくらいだ。ぶっちゃけ聞いてるだけで不快」
第一王子の愚かさなど、今更喧伝するまでもなく大勢に広まっていることですが、まさかロデウロまで届いていたとは。となると、他の国にも流れていそうですわね。もう取り返しがつかないところまで来てしまった感じでしょうか。やはり王妃になる前に自殺すべきですわね。
次期王だから誰も注意が出来ないだけで、あの愚か者の悪いところなど文字にしたら軽く本に出来ますわ。笑える物語にしたら売れそうですわね。売り上げを受けとる前に殺されそうですが。いえ、書いたらこの国ではなく近隣国に出荷すればいいのでは。
「近々、ロデウロとシーツァリアとの貿易関係を破棄しようって話まで持ち上がってるくらいでな。こっちに大した痛手もないし。昔から引きずってるだけの関係だから、丁度いいんじゃないかって」
「ですわね。この国の産業はもう死んでいますもの。優秀な人材は次々と他国に行ってしまって、シーツァリアの内情は無惨の一言。もはや、この国がロデウロに出来ることはありませんわ」
「そこまで自分の国を扱き下ろすのもどうよ」
「本当のことですもの。真実は否定できません」
半世紀ほど前までは、シーツァリアもまともな国だったらしいのですが、二代前の王から少しずつ狂っていったそうですわ。民衆から税を徴収し、自分だけが城で楽に生きる。歴史を変えた愚王ですわね。そしてそれが現国王にも、第一王子にも受け継がれてしまっているわけです。この世の地獄ですわ。
優秀な職人たちは今よりも待遇の良い職場を求めて他国へと出ていき、今やこの国の産業は半壊滅状態。他国に輸出できる物がなければ自然な流れとして国は枯渇します。つまり、この国は現状、滅亡への一途を辿っています。やはり自殺すべきですわね。
「話がずれた。五年後、俺達が高等部に進学する年。その年に、その愚かな王子が一人の平民に惚れる。そりゃあもう惚れる。そいつのためなら誰だって殺すって程度には惚れる」
「愚かですわね……。それが本当ならば、もう言葉もありません」
「問題はその二年後、つまり今から七年後だ。お前が処刑される。理由は、その平民と結婚するためにお前が邪魔だったからだ」
ここに来て一気にこの話の信憑性が薄くなってきましたわね。そんなことできるわけがないでしょうに。いくら滅ぶ一歩手前の国とはいえ、次期王にはしてはいけないことがあります。それがそれですわ。王族が平民と結婚して、一体国にどのような利益をもたらすというのでしょうか。
いくらあの愚か者とはいえ、そのくらいのことは流石に心得ているはずですわ。いえ、心配になってきましたわね。そもそもあの王子は私と結婚することの意味すら理解していない節がありますわ。となれば、平民と結婚するという暴挙に走ってもおかしくないのでは。本当だとしたら滅亡まで一直線ですわね。
「……まさか、邪魔だから処刑、なんてふざけた理由そのままではありませんわよね?」
「そこまでの職権乱用じゃない。まあ、婚約者を処刑の段階で職権乱用なんだけど。処刑の理由は、お前から平民に対しての嫌がらせだ。それを王子の権限で拡大解釈して、強引に処刑に結びつけるっていう、うん……まあ、そんな感じ」
「最後だけ急に雑になりましたわね。まあ気持ちが分からないわけではありませんが……、ですが、私が嫌がらせというのがどうにも納得いきませんわ。私は王子が誰と引っ付いていようがどうでもいいのですが」
「そう、お前の意思じゃないんだよ。俺が納得出来ないのはそこだ。お前がその平民に嫌がらせをしたのは、城の奴らの指示だ」
「…………なるほど」
それで私が処刑ですか。絶望的ですわね。やはり自殺が最適解なのではないでしょうか。
「自分の説明下手を私にフォローさせないでくれます? しかも何を自分にとって良い印象になるような言葉に言い換えているのですか。自己保身に必死なのは醜いですわよ」
「はい、ごめんなさい……」
素直に謝ることが出来るのは美徳ではありますが、王子としては少々風格に欠けますわね。勿論、謝罪しないのは論外ですが、こうも情けなく背中を曲げているのはいくらなんでもみっともないですわ。これは誰に対してもこうなのか、素を出している今だからこうなのか。まさか、私に言われたから、なんてことはないと思いますが。
ですが、成程とも思いますわね。ロデウロは聞いた話によると平和な国だそうです。その国で王族がこの性格だったら、まあ信頼されていても不思議ではありません。いえ、ずっとこの性格だったらそれ以上に怒られていそうですが。
「……私が処刑される原因。一番に聞きたいのはそこですわね」
「そこ一番に聞くのか。勇敢だな。俺だったらなるべく後回しにしそう」
「貴方のことはどうでもいいので早く説明してくださいませんか? 私にも我慢の限界がございますので」
「あ、はい……。……この国の第一王子、クリス・フウグ・ノースコードは、正直言って人の上に立つ器じゃない。お前が一番よくわかってるだろうけど、その愚かさについてはこっちにまで噂が流れてくるくらいだ。ぶっちゃけ聞いてるだけで不快」
第一王子の愚かさなど、今更喧伝するまでもなく大勢に広まっていることですが、まさかロデウロまで届いていたとは。となると、他の国にも流れていそうですわね。もう取り返しがつかないところまで来てしまった感じでしょうか。やはり王妃になる前に自殺すべきですわね。
次期王だから誰も注意が出来ないだけで、あの愚か者の悪いところなど文字にしたら軽く本に出来ますわ。笑える物語にしたら売れそうですわね。売り上げを受けとる前に殺されそうですが。いえ、書いたらこの国ではなく近隣国に出荷すればいいのでは。
「近々、ロデウロとシーツァリアとの貿易関係を破棄しようって話まで持ち上がってるくらいでな。こっちに大した痛手もないし。昔から引きずってるだけの関係だから、丁度いいんじゃないかって」
「ですわね。この国の産業はもう死んでいますもの。優秀な人材は次々と他国に行ってしまって、シーツァリアの内情は無惨の一言。もはや、この国がロデウロに出来ることはありませんわ」
「そこまで自分の国を扱き下ろすのもどうよ」
「本当のことですもの。真実は否定できません」
半世紀ほど前までは、シーツァリアもまともな国だったらしいのですが、二代前の王から少しずつ狂っていったそうですわ。民衆から税を徴収し、自分だけが城で楽に生きる。歴史を変えた愚王ですわね。そしてそれが現国王にも、第一王子にも受け継がれてしまっているわけです。この世の地獄ですわ。
優秀な職人たちは今よりも待遇の良い職場を求めて他国へと出ていき、今やこの国の産業は半壊滅状態。他国に輸出できる物がなければ自然な流れとして国は枯渇します。つまり、この国は現状、滅亡への一途を辿っています。やはり自殺すべきですわね。
「話がずれた。五年後、俺達が高等部に進学する年。その年に、その愚かな王子が一人の平民に惚れる。そりゃあもう惚れる。そいつのためなら誰だって殺すって程度には惚れる」
「愚かですわね……。それが本当ならば、もう言葉もありません」
「問題はその二年後、つまり今から七年後だ。お前が処刑される。理由は、その平民と結婚するためにお前が邪魔だったからだ」
ここに来て一気にこの話の信憑性が薄くなってきましたわね。そんなことできるわけがないでしょうに。いくら滅ぶ一歩手前の国とはいえ、次期王にはしてはいけないことがあります。それがそれですわ。王族が平民と結婚して、一体国にどのような利益をもたらすというのでしょうか。
いくらあの愚か者とはいえ、そのくらいのことは流石に心得ているはずですわ。いえ、心配になってきましたわね。そもそもあの王子は私と結婚することの意味すら理解していない節がありますわ。となれば、平民と結婚するという暴挙に走ってもおかしくないのでは。本当だとしたら滅亡まで一直線ですわね。
「……まさか、邪魔だから処刑、なんてふざけた理由そのままではありませんわよね?」
「そこまでの職権乱用じゃない。まあ、婚約者を処刑の段階で職権乱用なんだけど。処刑の理由は、お前から平民に対しての嫌がらせだ。それを王子の権限で拡大解釈して、強引に処刑に結びつけるっていう、うん……まあ、そんな感じ」
「最後だけ急に雑になりましたわね。まあ気持ちが分からないわけではありませんが……、ですが、私が嫌がらせというのがどうにも納得いきませんわ。私は王子が誰と引っ付いていようがどうでもいいのですが」
「そう、お前の意思じゃないんだよ。俺が納得出来ないのはそこだ。お前がその平民に嫌がらせをしたのは、城の奴らの指示だ」
「…………なるほど」
それで私が処刑ですか。絶望的ですわね。やはり自殺が最適解なのではないでしょうか。
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