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第一章 出会い編
22、私は慰めます
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「……それで、私はその告白を受けたというわけ。別に私にとって不利益な話というわけでもなかったし、すがってもいいかなと、思ったのよ。愚かにもね」
「……なるほど。胡散臭いですね! その人!」
「私もそれは分かってるから改めて言わなくてもいい。分かってて受けたのよ。文句でもあるの?」
「情報源が明かされてない段階で詐欺みたいな話じゃないですか! なんで知ってるのかは言えないけど貴女は七年後に処刑される? そんな話あります?」
「あったのよ。そして私が愚かにもそれを信じた。それが全てよ」
「……うーん……」
話し始めるまではあんなにうきうきわくわくといった感じの表情だったのに、話し終わった今、リーデアの瞳に浮かんでいる感情は疑惑のみです。シユウ様に対する不信感が尋常ではありません。それが正常な反応という気はしないでもないわけですが。私のことを心配しているのは伝わってきます。
この人本当は騙されやすい人なのかな、などと考えているのもお見通しです。誰が詐欺師のカモですか。メイドならばもう少し感情を隠す努力をなさい。目に全部出ています。今からでも追い出してやりましょうか。
「いえ、完全に疑ってるってわけではないんです。そもそも、他国の第二王子が、わざわざ留学してきて一番にすることとしてはおかしいですし。詐欺と考えるには難しいです。でも、そこまで当人に話しておいて、どうやって未来を知ったかを話すことはできないっていうのは少し引っ掛かりませんか?」
「引っ掛かるわよ。でも、いつか教えると言ってくれたから。それでいいのよ」
「良くないでしょう!? 円滑な人間関係、もとい、円満な恋人関係に必要なのは相互理解です! すれ違いが起こらないようにすることこそ肝要なんです! そこをなあなあで済ましておくと、いつか想像もしていなかったような悲劇が起こるんです!」
「……随分熱心に語るけど、もしかして最近振られたの?」
「……屋敷のお仕事が忙しいのが悪いんです。私だって会いたくなくて毎回誘いを断っていたわけじゃ……」
「ごめんなさい。地雷踏んだわね。私が悪かったわ」
つい一月くらい前に恋人が出来たと嬉々として報告してくれたばかりだったのだけれど、まさかもう別れていたとは思いませんでした。その原因の一つとして私が関わっていることは否定しないけれど、私にそれを言えるということは、やはりあの三人に対する鬱憤なのでしょうね。
生活能力というものを完全に喪失しているあの三人の面倒はかなり大変なのです。食べたら食べっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなし、散らかしたら散らかしっぱなしと、分別のついていない幼児並で、それらを全て片付けている皆を見ていると謝罪しなければと思うのです。
私の最低限の家事の腕は、その手伝いで磨かれたものです。最初の頃はメイド達に、そんなことをしないでくれと何度も言われましたが、無視しているうちに諦めました。あの三人に見付からなければ構わないという言葉まで引き出したのは、私の泣き落としの賜物でしょう。
「いいんです、彼のことはもう吹っ切れています。私のことを待っていてくれないような人との未来なんて最初からなかったんです。リーフだって、もっとお似合いの人が絶対に現れるって言ってくれましたし」
「……そう。あんまりお酒飲みすぎないようにね? 貴女、ストレス溜まるとすぐお酒で解消しようとするから……」
「飲まなきゃ寝れないんですよ……、私だって、これが逃げなんてことくらい分かってて……」
「大丈夫。貴女は絶対に幸せな結婚ができるから。だからね、顔を上げて? もうこの話は止めましょう?」
「はい……」
過去最高に追い詰められていますわね。今まではお酒を飲んで愚痴を吐いていれば精神的に安定していたのですが、飲まないと寝れないまで到達したことはありませんでした。まあ、お酒に頼った精神安定が健康に良いとは思っていませんでしたが、私の家族が原因ですし、強く言えなかったところはあります。
二十六歳ですものね。焦る気持ちが分からないわけではないけれど、私がいくら気持ちは分かると言ったところでなんの慰めにもならないでしょう。十歳の小娘ですもの。それでもこのままではまずいということだけは分かります。リーフに報告して何か手を打たないと。
「……アンナ様」
「なに、どうしたの?」
「いつか、いつかでいいです。いい感じの人がいたら私に紹介してください。アンナ様の見る目は確かなので、その人となら上手くやっていける気がするんです……。駄目でしょうか……?」
「分かったわ。リーデアを大切にしてくれそうな人を見付けたら、絶対に貴女に紹介する。約束するわ。愚痴があったら私に言って。だからもう少しお酒を控えて? 身体によくないから、ね?」
「はい……、ありがとうございます……」
おかしいですわね、いつから話す側から話を聞く側になったのでしょうか。私は別にカウンセラーではないのですが。まあ、悪い気分ではないので構いませんが。
「……なるほど。胡散臭いですね! その人!」
「私もそれは分かってるから改めて言わなくてもいい。分かってて受けたのよ。文句でもあるの?」
「情報源が明かされてない段階で詐欺みたいな話じゃないですか! なんで知ってるのかは言えないけど貴女は七年後に処刑される? そんな話あります?」
「あったのよ。そして私が愚かにもそれを信じた。それが全てよ」
「……うーん……」
話し始めるまではあんなにうきうきわくわくといった感じの表情だったのに、話し終わった今、リーデアの瞳に浮かんでいる感情は疑惑のみです。シユウ様に対する不信感が尋常ではありません。それが正常な反応という気はしないでもないわけですが。私のことを心配しているのは伝わってきます。
この人本当は騙されやすい人なのかな、などと考えているのもお見通しです。誰が詐欺師のカモですか。メイドならばもう少し感情を隠す努力をなさい。目に全部出ています。今からでも追い出してやりましょうか。
「いえ、完全に疑ってるってわけではないんです。そもそも、他国の第二王子が、わざわざ留学してきて一番にすることとしてはおかしいですし。詐欺と考えるには難しいです。でも、そこまで当人に話しておいて、どうやって未来を知ったかを話すことはできないっていうのは少し引っ掛かりませんか?」
「引っ掛かるわよ。でも、いつか教えると言ってくれたから。それでいいのよ」
「良くないでしょう!? 円滑な人間関係、もとい、円満な恋人関係に必要なのは相互理解です! すれ違いが起こらないようにすることこそ肝要なんです! そこをなあなあで済ましておくと、いつか想像もしていなかったような悲劇が起こるんです!」
「……随分熱心に語るけど、もしかして最近振られたの?」
「……屋敷のお仕事が忙しいのが悪いんです。私だって会いたくなくて毎回誘いを断っていたわけじゃ……」
「ごめんなさい。地雷踏んだわね。私が悪かったわ」
つい一月くらい前に恋人が出来たと嬉々として報告してくれたばかりだったのだけれど、まさかもう別れていたとは思いませんでした。その原因の一つとして私が関わっていることは否定しないけれど、私にそれを言えるということは、やはりあの三人に対する鬱憤なのでしょうね。
生活能力というものを完全に喪失しているあの三人の面倒はかなり大変なのです。食べたら食べっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなし、散らかしたら散らかしっぱなしと、分別のついていない幼児並で、それらを全て片付けている皆を見ていると謝罪しなければと思うのです。
私の最低限の家事の腕は、その手伝いで磨かれたものです。最初の頃はメイド達に、そんなことをしないでくれと何度も言われましたが、無視しているうちに諦めました。あの三人に見付からなければ構わないという言葉まで引き出したのは、私の泣き落としの賜物でしょう。
「いいんです、彼のことはもう吹っ切れています。私のことを待っていてくれないような人との未来なんて最初からなかったんです。リーフだって、もっとお似合いの人が絶対に現れるって言ってくれましたし」
「……そう。あんまりお酒飲みすぎないようにね? 貴女、ストレス溜まるとすぐお酒で解消しようとするから……」
「飲まなきゃ寝れないんですよ……、私だって、これが逃げなんてことくらい分かってて……」
「大丈夫。貴女は絶対に幸せな結婚ができるから。だからね、顔を上げて? もうこの話は止めましょう?」
「はい……」
過去最高に追い詰められていますわね。今まではお酒を飲んで愚痴を吐いていれば精神的に安定していたのですが、飲まないと寝れないまで到達したことはありませんでした。まあ、お酒に頼った精神安定が健康に良いとは思っていませんでしたが、私の家族が原因ですし、強く言えなかったところはあります。
二十六歳ですものね。焦る気持ちが分からないわけではないけれど、私がいくら気持ちは分かると言ったところでなんの慰めにもならないでしょう。十歳の小娘ですもの。それでもこのままではまずいということだけは分かります。リーフに報告して何か手を打たないと。
「……アンナ様」
「なに、どうしたの?」
「いつか、いつかでいいです。いい感じの人がいたら私に紹介してください。アンナ様の見る目は確かなので、その人となら上手くやっていける気がするんです……。駄目でしょうか……?」
「分かったわ。リーデアを大切にしてくれそうな人を見付けたら、絶対に貴女に紹介する。約束するわ。愚痴があったら私に言って。だからもう少しお酒を控えて? 身体によくないから、ね?」
「はい……、ありがとうございます……」
おかしいですわね、いつから話す側から話を聞く側になったのでしょうか。私は別にカウンセラーではないのですが。まあ、悪い気分ではないので構いませんが。
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