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第一章 出会い編
27、私は隠します
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「ふむふむなるほど……、実際のところを聞いちゃうと詰まらないねえ。やっぱり面白い話っていうのは大体脚色ありきかあ。たまには国を揺るがすような一大スクープでも取り上げてみたいものだけれど、簡単にはいかないよねえ」
「私にどれだけ重い期待を寄せているのですか。そもそも噂されているような私とシユウ様の蜜月など本当に存在すると思っていたのですか? 貴女の事だから、また面白半分で首を突っ込んだのではなくて?」
「やだなあ。面白半分だなんてそんなわけないじゃないですかあ。本当にそんなものが存在したら私はそれをしっかりと然るべきところに報告しなくちゃいけないんだからあ。真剣も真剣。大まじですよ」
「口調を一定に保ってくださいませんか? 会話がし難くて堪りません」
現在この場、新聞部の部室には私とミラーしかいません。オーラは昨日と同じく廊下待機。この部屋も談話室と同じく防音加工は完璧です。だからこそ、ミラーの口調も砕けたものになっているわけです。まあ、砕けた口調で安定はしていませんが。
このままなあなあで済ませていくわけにも行かないので、この辺りで七か国の中間組織について少し振り返ってみましょうか。別に知っているからって取り締まられるほど機密性の高い情報ではありませんし。そもそも公になっていなければ抑止力としても機能しませんし。
中間組織、正式名称は『七か国公認取締及び刑罰執行機関』です。これでも短く纏めてある方です。もっと正式な名称に拘ろうと思ったら舌を噛みます。そもそも名前はそこまで重要ではないので、組織自体もあまり拘ってはいないようですし。あくまでも重要なのは果たしている役目だとの考えだそうで。
一般的に呼称される際には簡略化して『執行機関』と呼ばれます。あるいはもっと短く『機関』とも。まあこの機関というのが不透明な組織でして。どこに本拠地があるのか、人員は何名なのか、トップは誰なのかといった情報が一切開示されていません。各国の王族すらも知らないそうです。
ただ存在自体は明確になっていて、成り立ちもはっきりしていることから信頼できる組織として扱われているというわけです。私からすれば怪しいことこの上ありませんが、定期的にどういったことをしたかという報告をまとめた新聞が届くのですわ。
各国でそれなりの力を持つ貴族の家に配布しているそうで、そういった小まめな努力あってこそ、昔から今に至るまで信頼を得ているのだとか。そしてその新聞を製作している『執行機関報告新聞製作部』の若手のホープこそが彼女、ミラーなのです。
弱冠十歳にしてすでに五か国を巡り、見つけたスクープの数は二十を越す、らしいです。本人からの自己申告なのでどこまで信用したものかという感じですわね。この嘘くさい話し方で信用しろという方が無理ですが。
とはいえ、新聞に彼女の名前が載っていて、実際に機関の身分証明書を見せられては信じるしかないという話ではありますが。偽造という可能性を疑う必要はありません。偽造防止の工夫が何重にも凝らしてありますし、そもそも偽造自体が死罪に値する大罪です。リターンよりもリスクの方が大きいのです。
そして彼女がシーツァリアの学園で情報源として目を付けたのが私というわけですわ。出会ってから半年ほど経ちますが私が彼女に情報を提供したのは数えるほどで、しかもそのほとんどは噂にもならない程度のくだらない話。そうやってお茶を濁していればそのうち離れていくだろうと思っていたのですが、思いの外この子粘着質だったんですのよね。
そして久しぶりに面白そうな話題を聞きつけて私の所に来たのでしょう。なにせ噂の中心人物ですから。彼女にしてみれば蒔いた種がようやく芽吹いたというところでしょうか。水も貰っていないこちらからすると厄介なだけですが。
しかし残念でしたわね。私はこの件に関して一切を語りません。彼女に与える情報は昨日シユウ様と合わせた口裏だけです。婚約者を見限って他の男性に鞍替えしたなど、私の立場でそれが表沙汰になれば取り返しのつかない騒動になるのは必至ですもの。
「うーん、何か隠してるのは伝わってくるんだけど、そこまで本気出して隠されちゃうと分かんないなあ。言ったら色々と問題になるようなことなのか、あるいは何でもないことをあえて大袈裟にしてるとか? いや、それはないか」
「余計な詮索は後でにしてください。結局、鎮静化に協力してくれますの? 私としてはそこが果たされなければ貴女と関わる理由が無いので、今すぐにでも帰りたいのですが」
「焦らないでよ。焦る理由でもあるの? なんてね。情報は提供してもらったわけだし、そっちの方には協力するよお。ただ、方向性を決めなきゃね」
「噂の方向性ならば、根絶一択に決まっています。これ以上大事にするわけにはいきませんわ」
「根絶は無理だよ。これだけ周知されちゃうとね。私が言ってるのは、この騒ぎを有益なものにしちゃおうって話。悪評はちょっと見方を変えるだけで好評になるからねえ」
こういう上手い話には大抵裏があるというのは、私が疑いすぎなのでしょうか。彼女の日頃の行いからすると妥当な疑惑な気がしますが、この話は真面目に聞くべきなのでしょうかね。
「私にどれだけ重い期待を寄せているのですか。そもそも噂されているような私とシユウ様の蜜月など本当に存在すると思っていたのですか? 貴女の事だから、また面白半分で首を突っ込んだのではなくて?」
「やだなあ。面白半分だなんてそんなわけないじゃないですかあ。本当にそんなものが存在したら私はそれをしっかりと然るべきところに報告しなくちゃいけないんだからあ。真剣も真剣。大まじですよ」
「口調を一定に保ってくださいませんか? 会話がし難くて堪りません」
現在この場、新聞部の部室には私とミラーしかいません。オーラは昨日と同じく廊下待機。この部屋も談話室と同じく防音加工は完璧です。だからこそ、ミラーの口調も砕けたものになっているわけです。まあ、砕けた口調で安定はしていませんが。
このままなあなあで済ませていくわけにも行かないので、この辺りで七か国の中間組織について少し振り返ってみましょうか。別に知っているからって取り締まられるほど機密性の高い情報ではありませんし。そもそも公になっていなければ抑止力としても機能しませんし。
中間組織、正式名称は『七か国公認取締及び刑罰執行機関』です。これでも短く纏めてある方です。もっと正式な名称に拘ろうと思ったら舌を噛みます。そもそも名前はそこまで重要ではないので、組織自体もあまり拘ってはいないようですし。あくまでも重要なのは果たしている役目だとの考えだそうで。
一般的に呼称される際には簡略化して『執行機関』と呼ばれます。あるいはもっと短く『機関』とも。まあこの機関というのが不透明な組織でして。どこに本拠地があるのか、人員は何名なのか、トップは誰なのかといった情報が一切開示されていません。各国の王族すらも知らないそうです。
ただ存在自体は明確になっていて、成り立ちもはっきりしていることから信頼できる組織として扱われているというわけです。私からすれば怪しいことこの上ありませんが、定期的にどういったことをしたかという報告をまとめた新聞が届くのですわ。
各国でそれなりの力を持つ貴族の家に配布しているそうで、そういった小まめな努力あってこそ、昔から今に至るまで信頼を得ているのだとか。そしてその新聞を製作している『執行機関報告新聞製作部』の若手のホープこそが彼女、ミラーなのです。
弱冠十歳にしてすでに五か国を巡り、見つけたスクープの数は二十を越す、らしいです。本人からの自己申告なのでどこまで信用したものかという感じですわね。この嘘くさい話し方で信用しろという方が無理ですが。
とはいえ、新聞に彼女の名前が載っていて、実際に機関の身分証明書を見せられては信じるしかないという話ではありますが。偽造という可能性を疑う必要はありません。偽造防止の工夫が何重にも凝らしてありますし、そもそも偽造自体が死罪に値する大罪です。リターンよりもリスクの方が大きいのです。
そして彼女がシーツァリアの学園で情報源として目を付けたのが私というわけですわ。出会ってから半年ほど経ちますが私が彼女に情報を提供したのは数えるほどで、しかもそのほとんどは噂にもならない程度のくだらない話。そうやってお茶を濁していればそのうち離れていくだろうと思っていたのですが、思いの外この子粘着質だったんですのよね。
そして久しぶりに面白そうな話題を聞きつけて私の所に来たのでしょう。なにせ噂の中心人物ですから。彼女にしてみれば蒔いた種がようやく芽吹いたというところでしょうか。水も貰っていないこちらからすると厄介なだけですが。
しかし残念でしたわね。私はこの件に関して一切を語りません。彼女に与える情報は昨日シユウ様と合わせた口裏だけです。婚約者を見限って他の男性に鞍替えしたなど、私の立場でそれが表沙汰になれば取り返しのつかない騒動になるのは必至ですもの。
「うーん、何か隠してるのは伝わってくるんだけど、そこまで本気出して隠されちゃうと分かんないなあ。言ったら色々と問題になるようなことなのか、あるいは何でもないことをあえて大袈裟にしてるとか? いや、それはないか」
「余計な詮索は後でにしてください。結局、鎮静化に協力してくれますの? 私としてはそこが果たされなければ貴女と関わる理由が無いので、今すぐにでも帰りたいのですが」
「焦らないでよ。焦る理由でもあるの? なんてね。情報は提供してもらったわけだし、そっちの方には協力するよお。ただ、方向性を決めなきゃね」
「噂の方向性ならば、根絶一択に決まっています。これ以上大事にするわけにはいきませんわ」
「根絶は無理だよ。これだけ周知されちゃうとね。私が言ってるのは、この騒ぎを有益なものにしちゃおうって話。悪評はちょっと見方を変えるだけで好評になるからねえ」
こういう上手い話には大抵裏があるというのは、私が疑いすぎなのでしょうか。彼女の日頃の行いからすると妥当な疑惑な気がしますが、この話は真面目に聞くべきなのでしょうかね。
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