31 / 169
ラジトバウム編
15話 エンシェントヴァーサス
しおりを挟む
廊下で待っていれば係の人がやってくると思っていたが、いつまでたってもこない。
そのうちに、会場へとつながる階段の先から、「スオウザカ・エイト選手」とアナウンスが入り、俺は会場へと向かった。
会場はスタジアムだ。舞台には広い更地が広がり、そのまわりを観客席が囲んでいる。
更地のスペースは運動場かというくらい広いが、観客席のせいかかなりの圧迫感がある。また、地下だからだろう、観客の他愛ない会話や声までよく聞こえてくる。空席ばかりであまり観客の人数はいないが、こんなところにいるくらいだからかなりのカード狂のはずだ。
練習のつもりだったのだが、ギャラリーがいるのではいやに緊張してくる。
奇遇なことに、初戦の相手はさきほどの男だった。
ジャン・ボルテンス。フォッシャの首飾りを持っている張本人。
にらみあう俺たちの前に、審判が割ってはいる。
「ルールはエンシェント3on3。予選ではウォリアーカード2枚とトリックカード2枚で戦っていただきます。予選とはいえ、エンシェントの誇り高く、オドに対して礼儀の心を持ち、マナーをよく守るように」
互いに頭を下げて一礼し、背を向けて定位置に向かう。ここまでは、モニターで見ていたからわかる。
「まさか予選から当たるとはな」
負けるつもりはない。モニター越しで試合を見ていたおかげで、このゲームのおおまかなルールは頭に入っている。
「きっとカードが導いてくれたんだ。この勝負、負けるわけにはいかない」
「……ほう……いくぞ!」
先にボルテンスがカードを引き放つ。一瞬あたりが暗くなり、青い閃光と共にカードのモンスター、ウォリアーが召喚される。
あらわれた屈強な黒ずくめの男が、拳をかまえて臨戦態勢(りんせんたいせい)をとる。遠目からでも異様な殺気をまとっているのがわかる。
フォッシャが言っていたことを俺は思いだす。
カードには二種類ある。結闘でしか使えない古代のものと、いつでも使える現代のもの。
通常戦闘では現代型の魔法カードしか使えないが、エンシェントルールでは古代の戦士を召喚できる。
カードに描かれた戦士がその世界から飛び出てくる。本来なら興奮するような状況だが、そんな悠長なことも言っていられない。
なぜならこのルールでは、自分も闘わなきゃいけない。
俺が知ってるカードゲームとはだいぶちがうな。
ボルテンスが俺をにらみながら言う。
「本来、戦闘行為はオドの法則により禁止されている。そのなかで、冒険士や結闘士だけが特別に闘うことを許されている。それは人間もモンスターも同じ……なのにお前からは、まるでオドに対し敬意(けいい)と忠誠(ちゅうせい)が感じられない。生半可な覚悟でやってもらっちゃあ、こまるんだよ」
ボルテンスは早速攻撃をしかけてきた。黒ずくめの殺し屋がおそろしい速さでこちらに突進してくる。
あのカード、名前はわからないが接近戦が得意なタイプなのだろう。対応が遅れれば命取りになる。
「俺の知ったことかよ」
俺はカードを引き放ち、地面にたたきつける。カードは空中で制止し、光をはなつと共に戦士を召喚した。
宿命の魔審官。高貴な衣装とたたずまいだが、背中には力強さがある。
どれだけのチカラがあるのか、魅せてくれ。
「宿命の魔審官レコードアビリティ。【反逆の双弾丸<ダークディバインブレット>】」
俺が手に持っていたカードがふたたび光る。審官の背後に二丁の拳銃が出現し、羽のように空中に漂っている。
審官がフッと手をかざしただけで銃はそれぞれの方向を向き発砲した。ひとつは殺し屋の動きを封じ、もう一方はボルテンスをめがけていた。
相手はたまらず二枚目のウォリアーカードを切り、なにか戦車のようなカードを召喚したが、弾丸が先にボルテンスに命中した。
一瞬の出来事だったが、興奮で自分の呼吸が速くなっているのがわかる。まるでリアルタイムで行うカードゲームという感覚だ。
俺が先制するのは意外だったようで、会場がざわめく。
「あのカードは!?」
「見たことないわね……」
「それだけじゃねえ、強い……! あんなカード持ってるなんて、何モンだあいつ!?」
地下のため、小声でさえよく聞こえてくる。
ボルテンスのほうを見ると、先制されたことよりも審官の存在に驚いているらしかった。
ボルテンスは顔をおさえ、くっくと愉快そうに笑う。
「いいぜ、いいねえ! そうこなくちゃな。これでこそヴァーサスだ! なんなんだ……そのカードは!?」
やたらとテンションが高いが、彼の反応をみるに、やはりかなり珍しいカードだということがわかる。
「これか? これは『宿命の魔審官』。コスト6、AS2600。スキルは【反逆の双弾丸<ダークディバインブレット>】」
審官、審官だってよ、と観客も俺の声を拾って波のようにざわめきがひろがっていく。
なぜか、ボルテンスはさらに不思議そうな顔をうかべた。
「な、なんで説明してくれたんだ……?」
そこで俺も気づく。
「えっ。あっ……」
し、しまった。説明してやらないでも別によかったのか。ついカードゲームの癖で。
まあいいや、適当にハッタリかましとこう。
「ま、まあ、そのほうがフェアかとおもってね……」
オドとやらがなにか作用しているのか結闘士本体の傷は衝撃程度に軽減されるようで、ボルテンスにダメージはなさそうだった。だが今ので確実にオドライフは減り、俺の勝利は近づいたはずだ。
「まさかそれだけの火力カードを持ってるとは思わなかったぞ。こいつを用意しておいて正解だったな」
声に熱がこもっている。見かけによらず暑苦しいタイプのカードゲーマーだな。
ボルテンスは一枚のカードを額の上にかかげた。
あの歯車と蒸気機関が描かれたハードボイルドな絵柄、カードショップで見た覚えがある。
たしか『<蒸気革命>スチームパンク』とかいうカード。場のすべての機械族ウォリアーの攻撃力を1ターンにつき100加算する。
おそらくエンシェントルールの場合だと時間が経つごとに強化されていく、といったところだろうか。
考えているうちに、戦車の砲撃がすぐ近くに炸裂する。砂埃が舞い、俺は衝撃波と飛んでくる土からとっさに顔を守る。しかしその間に殺し屋が間合いを詰めてきて、拳を振りかぶった。
「テネレモ、レコード【薮盾(やぶたて)】!」
間一髪、テネレモのスキル発動が間にあい、薮でできた盾が敵の正拳突きを防いでくれた。
すぐに審官を近くに戻し、ボルテンスも殺し屋男を下げる。
植物の苗のような外見をしたモンスター、テネレモ。こうして対面するのは初めてだが、なんだかおっとりゆったりしていてあまり頼りはなさそうだ。
だが薮の盾、ヤブというくらいだからあまり役に立たないのかと思っていたが、いい意味で裏切られた。しっかりと攻撃を防いでくれる。
ただの弱いカードなんかじゃない。ちゃんと使い道があるんだな。
あの戦車のカードのほうは遠距離から砲撃を放ってくることはわかった。あの威力が時間が経つごとに増せば厄介(やっかい)だ。
こっちはまだトリックカードを温存しているが、このまま受け身でいるのは、あまり得策ではないかもしれない。
相手が全開でくるなら、こちらも迎え撃つ。
「よし! 行けテネレモ!」
俺は様子見として、テネレモを先行させた。
って遅ォッ!?
あまりに遅い。何度かまばたきしても一歩も進めていない。
さすがにすこし期待しすぎたか。知的好奇心をくすぐられてもうすこしなにができるか見たかったけど、防御タイプのキャラってことか。
「なんだよあいつのカード!」
会場の一部の観客が笑い声をあげているのがわかった。やはり弱いカードとして認知されているのだろうか。俺の使い方が悪いせいで、テネレモに申し訳ないことになった。早く手元に戻そう。
「テネレモ、もどってこい!」
そう号令をかけても、戻ってくるそぶりはみせずに、テネレモはのろのろと前に進もうとしている。
ってオオオオオイイ!! ちがうよ!?
こいつぜんぜん言うこと聞かねえよ……!
てか……あまり目を合わせてくれないんだけど。なんか俺きらわれてるのかな!?
この隙をつかれ、砲撃がさっきよりも近くに落ちて、衝撃で俺は後方に吹き飛ばされた。
だめだ。思っていた以上にエンシェントはモンスターとの戦闘に近い。考える時間がない。
カードゲームの要素のある戦闘だと考えるべきなのだろう。もうすこし柔軟に、かつ迅速に動かないと。
立ち上がったとき、ボルテンスが困惑の表情を浮かべているのがわかった。
会場がすっと静まり、次にはどよめきが起きる。審判も俺の顔を見つめ戸惑っている。
「は……ハハ! どうやらオドのアクシデントがあったみたいだな。棄権したほうがいいんじゃないか?」
ボルテンスにそういわれたと同時に、右目にヒヤリとする感覚があった。液体が目のあたりをつたっていき、俺は出血したことに気づく。
血をふさぐものがないので、骨折している左腕を固定していた布を外し、右目に巻く。巻くといっても片手ではムリなので、布の端を歯で噛んでおさえながらやった。
さっきボルテンスに攻撃が通ったが、傷は負っていなかった。しかしなぜか俺には攻撃がそのまま通っている。なにかオドとやらが関係しているのか。
原因はわからないが、あまりいい状況じゃないのはたしかだ。
「いいや……まだ終わっていない」
血の気が抜けて、頭が冷静になっている。
自分でも不思議と落ち着いてきている。
情報は整理できた。
この神経が研ぎ澄まされていく感覚、久方ぶりだ。まるで100年ぶりにさえ感じられるが、脳内物質がハジけたかのような集中力は、鈍っちゃいない。
頭脳(ずのう)と精神(せいしん)の闘い。この感じ、俺はよく知っている。
そのうちに、会場へとつながる階段の先から、「スオウザカ・エイト選手」とアナウンスが入り、俺は会場へと向かった。
会場はスタジアムだ。舞台には広い更地が広がり、そのまわりを観客席が囲んでいる。
更地のスペースは運動場かというくらい広いが、観客席のせいかかなりの圧迫感がある。また、地下だからだろう、観客の他愛ない会話や声までよく聞こえてくる。空席ばかりであまり観客の人数はいないが、こんなところにいるくらいだからかなりのカード狂のはずだ。
練習のつもりだったのだが、ギャラリーがいるのではいやに緊張してくる。
奇遇なことに、初戦の相手はさきほどの男だった。
ジャン・ボルテンス。フォッシャの首飾りを持っている張本人。
にらみあう俺たちの前に、審判が割ってはいる。
「ルールはエンシェント3on3。予選ではウォリアーカード2枚とトリックカード2枚で戦っていただきます。予選とはいえ、エンシェントの誇り高く、オドに対して礼儀の心を持ち、マナーをよく守るように」
互いに頭を下げて一礼し、背を向けて定位置に向かう。ここまでは、モニターで見ていたからわかる。
「まさか予選から当たるとはな」
負けるつもりはない。モニター越しで試合を見ていたおかげで、このゲームのおおまかなルールは頭に入っている。
「きっとカードが導いてくれたんだ。この勝負、負けるわけにはいかない」
「……ほう……いくぞ!」
先にボルテンスがカードを引き放つ。一瞬あたりが暗くなり、青い閃光と共にカードのモンスター、ウォリアーが召喚される。
あらわれた屈強な黒ずくめの男が、拳をかまえて臨戦態勢(りんせんたいせい)をとる。遠目からでも異様な殺気をまとっているのがわかる。
フォッシャが言っていたことを俺は思いだす。
カードには二種類ある。結闘でしか使えない古代のものと、いつでも使える現代のもの。
通常戦闘では現代型の魔法カードしか使えないが、エンシェントルールでは古代の戦士を召喚できる。
カードに描かれた戦士がその世界から飛び出てくる。本来なら興奮するような状況だが、そんな悠長なことも言っていられない。
なぜならこのルールでは、自分も闘わなきゃいけない。
俺が知ってるカードゲームとはだいぶちがうな。
ボルテンスが俺をにらみながら言う。
「本来、戦闘行為はオドの法則により禁止されている。そのなかで、冒険士や結闘士だけが特別に闘うことを許されている。それは人間もモンスターも同じ……なのにお前からは、まるでオドに対し敬意(けいい)と忠誠(ちゅうせい)が感じられない。生半可な覚悟でやってもらっちゃあ、こまるんだよ」
ボルテンスは早速攻撃をしかけてきた。黒ずくめの殺し屋がおそろしい速さでこちらに突進してくる。
あのカード、名前はわからないが接近戦が得意なタイプなのだろう。対応が遅れれば命取りになる。
「俺の知ったことかよ」
俺はカードを引き放ち、地面にたたきつける。カードは空中で制止し、光をはなつと共に戦士を召喚した。
宿命の魔審官。高貴な衣装とたたずまいだが、背中には力強さがある。
どれだけのチカラがあるのか、魅せてくれ。
「宿命の魔審官レコードアビリティ。【反逆の双弾丸<ダークディバインブレット>】」
俺が手に持っていたカードがふたたび光る。審官の背後に二丁の拳銃が出現し、羽のように空中に漂っている。
審官がフッと手をかざしただけで銃はそれぞれの方向を向き発砲した。ひとつは殺し屋の動きを封じ、もう一方はボルテンスをめがけていた。
相手はたまらず二枚目のウォリアーカードを切り、なにか戦車のようなカードを召喚したが、弾丸が先にボルテンスに命中した。
一瞬の出来事だったが、興奮で自分の呼吸が速くなっているのがわかる。まるでリアルタイムで行うカードゲームという感覚だ。
俺が先制するのは意外だったようで、会場がざわめく。
「あのカードは!?」
「見たことないわね……」
「それだけじゃねえ、強い……! あんなカード持ってるなんて、何モンだあいつ!?」
地下のため、小声でさえよく聞こえてくる。
ボルテンスのほうを見ると、先制されたことよりも審官の存在に驚いているらしかった。
ボルテンスは顔をおさえ、くっくと愉快そうに笑う。
「いいぜ、いいねえ! そうこなくちゃな。これでこそヴァーサスだ! なんなんだ……そのカードは!?」
やたらとテンションが高いが、彼の反応をみるに、やはりかなり珍しいカードだということがわかる。
「これか? これは『宿命の魔審官』。コスト6、AS2600。スキルは【反逆の双弾丸<ダークディバインブレット>】」
審官、審官だってよ、と観客も俺の声を拾って波のようにざわめきがひろがっていく。
なぜか、ボルテンスはさらに不思議そうな顔をうかべた。
「な、なんで説明してくれたんだ……?」
そこで俺も気づく。
「えっ。あっ……」
し、しまった。説明してやらないでも別によかったのか。ついカードゲームの癖で。
まあいいや、適当にハッタリかましとこう。
「ま、まあ、そのほうがフェアかとおもってね……」
オドとやらがなにか作用しているのか結闘士本体の傷は衝撃程度に軽減されるようで、ボルテンスにダメージはなさそうだった。だが今ので確実にオドライフは減り、俺の勝利は近づいたはずだ。
「まさかそれだけの火力カードを持ってるとは思わなかったぞ。こいつを用意しておいて正解だったな」
声に熱がこもっている。見かけによらず暑苦しいタイプのカードゲーマーだな。
ボルテンスは一枚のカードを額の上にかかげた。
あの歯車と蒸気機関が描かれたハードボイルドな絵柄、カードショップで見た覚えがある。
たしか『<蒸気革命>スチームパンク』とかいうカード。場のすべての機械族ウォリアーの攻撃力を1ターンにつき100加算する。
おそらくエンシェントルールの場合だと時間が経つごとに強化されていく、といったところだろうか。
考えているうちに、戦車の砲撃がすぐ近くに炸裂する。砂埃が舞い、俺は衝撃波と飛んでくる土からとっさに顔を守る。しかしその間に殺し屋が間合いを詰めてきて、拳を振りかぶった。
「テネレモ、レコード【薮盾(やぶたて)】!」
間一髪、テネレモのスキル発動が間にあい、薮でできた盾が敵の正拳突きを防いでくれた。
すぐに審官を近くに戻し、ボルテンスも殺し屋男を下げる。
植物の苗のような外見をしたモンスター、テネレモ。こうして対面するのは初めてだが、なんだかおっとりゆったりしていてあまり頼りはなさそうだ。
だが薮の盾、ヤブというくらいだからあまり役に立たないのかと思っていたが、いい意味で裏切られた。しっかりと攻撃を防いでくれる。
ただの弱いカードなんかじゃない。ちゃんと使い道があるんだな。
あの戦車のカードのほうは遠距離から砲撃を放ってくることはわかった。あの威力が時間が経つごとに増せば厄介(やっかい)だ。
こっちはまだトリックカードを温存しているが、このまま受け身でいるのは、あまり得策ではないかもしれない。
相手が全開でくるなら、こちらも迎え撃つ。
「よし! 行けテネレモ!」
俺は様子見として、テネレモを先行させた。
って遅ォッ!?
あまりに遅い。何度かまばたきしても一歩も進めていない。
さすがにすこし期待しすぎたか。知的好奇心をくすぐられてもうすこしなにができるか見たかったけど、防御タイプのキャラってことか。
「なんだよあいつのカード!」
会場の一部の観客が笑い声をあげているのがわかった。やはり弱いカードとして認知されているのだろうか。俺の使い方が悪いせいで、テネレモに申し訳ないことになった。早く手元に戻そう。
「テネレモ、もどってこい!」
そう号令をかけても、戻ってくるそぶりはみせずに、テネレモはのろのろと前に進もうとしている。
ってオオオオオイイ!! ちがうよ!?
こいつぜんぜん言うこと聞かねえよ……!
てか……あまり目を合わせてくれないんだけど。なんか俺きらわれてるのかな!?
この隙をつかれ、砲撃がさっきよりも近くに落ちて、衝撃で俺は後方に吹き飛ばされた。
だめだ。思っていた以上にエンシェントはモンスターとの戦闘に近い。考える時間がない。
カードゲームの要素のある戦闘だと考えるべきなのだろう。もうすこし柔軟に、かつ迅速に動かないと。
立ち上がったとき、ボルテンスが困惑の表情を浮かべているのがわかった。
会場がすっと静まり、次にはどよめきが起きる。審判も俺の顔を見つめ戸惑っている。
「は……ハハ! どうやらオドのアクシデントがあったみたいだな。棄権したほうがいいんじゃないか?」
ボルテンスにそういわれたと同時に、右目にヒヤリとする感覚があった。液体が目のあたりをつたっていき、俺は出血したことに気づく。
血をふさぐものがないので、骨折している左腕を固定していた布を外し、右目に巻く。巻くといっても片手ではムリなので、布の端を歯で噛んでおさえながらやった。
さっきボルテンスに攻撃が通ったが、傷は負っていなかった。しかしなぜか俺には攻撃がそのまま通っている。なにかオドとやらが関係しているのか。
原因はわからないが、あまりいい状況じゃないのはたしかだ。
「いいや……まだ終わっていない」
血の気が抜けて、頭が冷静になっている。
自分でも不思議と落ち着いてきている。
情報は整理できた。
この神経が研ぎ澄まされていく感覚、久方ぶりだ。まるで100年ぶりにさえ感じられるが、脳内物質がハジけたかのような集中力は、鈍っちゃいない。
頭脳(ずのう)と精神(せいしん)の闘い。この感じ、俺はよく知っている。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる