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王総御前試合編
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しおりを挟む呪いのカードによって異世界に飛ばされてしまった俺、スオウザカエイト。元カードゲーマー。そこはカードが魔法の役割を果たす不思議な世界だった。
相棒とともに呪いのカードを探す旅に出る。俺は元の世界に戻るためのカードを、そして相棒もまた、実体化という危険なカードをさがしていた。
やみくもに探しても呪いのカードはまったく見つからなかった。そうして『探索』の魔法カードを手に入れるため王都へ。
王総御前試合という大会で優勝することができればそのカードを手に入れることができる。しかし、一回戦からとんでもない猛者と当たり、俺はカードをかばって重傷を負う。
その相手の話ではこの大会には呪いのカードがまぎこんでいるらしい。めんどうなことになってきた。
早朝に退院し、車椅子をハイロに押してもらってカード研究室へとついた。
「ケガの容態は?」
ゴスロリ服をまとう美女ローグが俺にきいてくる。彼女は一緒に大会にでているチームの一員だ。
「全身打撲。何個か骨にヒビが入ってる。すこしの距離なら歩けるけど、試合は……」
「ムリね。早くて、決勝に間に合うかどうかってところかしら」
「エイトさんは出れませんね……」
チームのリーダー、ハイロが残念そうにいう。
「すまん……」
「あやまることじゃないでしょう。あなたはよくやったわ。私たちは、あのキゼ選手に勝ったんだもの」
あやまる俺をローグがフォローしてくれた。
キゼーノは大したカードの使い手だった。なんとか試合には勝てたが、俺はテネレモをかばってこのありさまだ。
「いまでも、信じられません……!」
声をはずませるハイロ。
「さすがにあれ以上の壁はこの大会にはもうないだろうな。そうじゃなきゃ困る」
「そう願いたいですけどね……」
「でもこうなるとだれかもうひとり、チームにいれなくてはね。最低3人は必要だから、スカウトしなければ……」
「フォッシャじゃだめなのか? ずいぶんカードゲームのうでも上達したぞ」
「問題は腕じゃないわぁ。呪いのカードが関わっている以上、フォッシャを不用意に出すのは得策と思えない」
「……」
フォッシャには実体化の力がある。ウォリアーを実際に召喚したり、かくされた力を解放したり、とにかく強力すぎるスキルを持っている。今まで何度かフォッシャの力で呪いのカードを破ってきたが、フォッシャの力のせいで危険な事件が起きることもあった。
ローグが危惧しているのはそのあたりだろう。
「特訓のおかげで、フォッシャもずいぶんその力をコントロールできるようになったんだけどな」
「だからこそ奥の手としてとっておきたい。まず衆目にフォッシャの力をさらすわけにはいかない。フォッシャにはいざというときのために試合の外から事態を収拾してほしいの」
「なるほど~……」
うなずいたのがそのフォッシャだ。タヌキのような小動物系の不思議な姿をしているが、なかみは女の子だ。
「呪いのカードが関わってるなら、大会を中止にしたほうがいいんじゃないの?」と俺はたずねる。
「ええ。だけど巫女がそうしていないということは、むしろ呪いのカードを破る好機だと考えているのでしょうね。大会を中止にすれば、そのカードは野放しのまま。その後どうなるかわからない。しかし逆に考えれば、大会を開催していれば呪いのカードがあらわれる可能性が高い」
「……逆に考えれば、な」
表向きは開催しておいて、裏ではかなり厳重な警備体制を敷いておくとかそういうことなんだろうな。占いどおり呪いのカードが大会にまぎれこんでいれば、危険はともなうがたしかに破るチャンスではある。
「なに考えてんだ? 俺たちにどうにかしろってことかよ」
狙いはわかるがそうだとしても観客や一般人に被害がでるかもしれない、リスクのある賭けだ。
「こういうことをどうにかするために冒険士や兵士がいるのよ。期待しているのでしょう。ゼルクフギアを倒した存在に……ね」
ローグにそう諭(さと)されても、ため息をつかずにはいられない。
おかしいと思ったぜ。巫女様とやらがわざわざ俺たちを呼びつけたのは実力を見定めるためか。
ハイロは事態をなんとなく察しているようだが、フォッシャはきょとんとしていて会話の内容がよくわかっていないらしかった。
「で、けっきょくあたらしいメンバーはどうするワヌ?」
フォッシャがそう言って、俺たちはそれぞれ顔を見合わせる。
ふと見ると、ローグが机に教科書をひろげているラトリーに視線をおくっていた。
「……え? わ、私ですか? むむむムリですう! 私がエンシェント式なんて……! 普通のヴァーサスだって全然できないのに!」
ラトリーはそれに気づくと、全力で顔のまえで両手をふる。
……さすがにラトリーは無理があるだろ。
「ムリでもきゅうりでもなんとかしないといけないんだわぁ」
「……」
さりげなくよくわからないことを言ったローグに、俺は冷たい目をむける。
「……な、なによ。とにかく、私とハイロでカバーすれば、ラトリーの安全は守られるわ」
「きゅうりだって! アハハハ!」無邪気にフォッシャが笑う。
「笑ってる場合じゃないわぁ……さすがにラトリーにやってもらうっていうのは冗談だけど」
「助っ人……だれかいるかなぁ」
さすがのハイロもないだろと思ったのか、すでにほかの案を模索していた。
「うーん」
ちら、とハイロが見たのは、妹のミジルのほうだった。
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