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王総御前試合編
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しおりを挟む通りをあるきながら、あやしいやつがいないかあたりに注意をはらう。
「エイトとふたりで仕事するのも、ひさびさワヌ」
女の子の姿でフォッシャが言う。こうしてならんでいるとなんだか二人ででかけているみたいで照れる。
「だな。まえはたしか、迷宮に巨大なオド結晶の塊をさがしにいったんだっけ」
「そうそう! 街でうわさをきいて、カダデルが何回も回せる! ってエイト目の色変えちゃって」
「けっきょくひどいめにあったんだよな」
「今日はああならないことを祈るワヌ」
「ああ」
そんなことを話しながら、目的の地区へとつく。フォッシャも俺も用意していたマスクを着用する。
「フォッシャは呪いのカードについて、くわしくしってるの?」
「うーん、呪いのカードっていうのは……。ふつう、オドの制限があるから安全なカードだけ世に出回ってるんだけど、たまにそういう危険なのがどっからか沸いてくるみたいなんワヌよねぇ」
「災害みたいなもんか」
たしかによく思い出すと、カードゲームにでてくる魔法とかモンスターって中にはものすごく危なさそうなやつもいたもんな。平和とはほど遠いというか。この世界であんなのばっかりだったら大変なことになってるよな。ふつうに考えて。
となると呪いのカードはそういう危ないカードって認識でいいんだよな、とりあえず。手帳にもそういう風に書かれていた。
「だれかが呪いのカードを王都に持ち込んだ可能性もある。気をぬくなよ、フォッシャ」
「エイトこそ、ワヌ」
冒険士集会所にはいり、巫女の使いだと名のって職員から街の患者たちがいる場所の情報をもらう。
町外れに緊急隔離病棟(きんきゅうかくりびょうとう)があるらしくそこに向かった。
病棟には家族やスタッフもおとずれており、みなマスク等つけて対策をしていた。病人たちはベッドの上で、くるしそうにしながら時折もがいている。
患者のそばに見慣れた少女が寄り添っており、それをみつけておもわず大きな声をあげてしまった。
「ラトリー!? なにしてんだ」
「お兄さん……フォッシャちゃん。友だちの看病を……」
「看病って。おまえまで感染したらどうするんだよ」
「でもこういうときのために、私はいるんです……!」
自分の胸に手をあてて、まっすぐな目をむけてくるラトリー。
まずいな。まずいことになってきたぞ。人の移動があるから、感染症は猛烈なはやさで広まっていくだろう。その未来が容易に想像できた。
「まずいワヌね」
「ああ。とにかく早く手を打とう。ラトリー、この病気について知ってることをぜんぶ話してくれ」
「えっと。だいたいおとといくらいかな。友だちが風邪で学校をやすんで。このあたりで病気がはやってるそうなんですが治療法がまったくわからないみたいで、どんどん患者さんが増えていく一方なんです」
「治療法がない、か」
たしかに患者さんたちはどう見ても薬がきいているようには見えない。
いったん隔離施設を出て、情報をまとめる。
「オドの加護は病からも身を守ってくれるそうだな」
「うん」
「それでかえってみんな気をぬいて、対策不足ですごい勢いで感染が拡大してるんじゃないか。このままだと……」
「王都中にひろがるワヌね」
そうなれば当然、大会どころではなくなるし、俺たちも身があぶない。
「これが巫女の言ってた呪いのカードなのか?」
手帳には病をもたらす災厄カードの存在が数個書かれてあるが、今回の件がどれなのかしぼりこむのは難しそうだ。
なんにせよ、ほうっておくわけにいかないだろう。
「実体化のカードも、ほっといたらいずれ大変なことになるな」
「うん。それこそカードぜんぶを呪いのカードみたいにあぶないものに変えちゃうからね」
もはや想像したくもないな。まいにち天変地異ってレベルじゃねえぞ。
「本当はあんまり力を乱用しちゃいけないって決まりがあるワヌ。フォッシャの一族のスキルを……だけどこういうことのためなら、使っていいはずワヌ」
「……よし」
俺はふところから冒険士カードをとりだし、キゼーノに遠隔通話をかける。
「キゼーノか? あんたなら知ってると思うんだけど、病気によく効く魔法のカードってあるかな」
「よく効く? 病気をなおせるカードということか。それならいくつかある」
「例の感染症の件で、それがほしい。巫女にたのんで取り寄せられないか」
「フム。それは可能だが……しかし、なかには制限があって使えない薬も……」
「制限かかってもいいから、ウィルスに効きそうなやつを何枚かおくってくれ。あとで返す」
「制限がかかっていては、使えんぞ。どうするつもりなんだ」
「専門家だって言ったのはあんただろ。まかせとけ」
「……了承した。準備ができ次第転送する」
納得してくれたらしい。これで薬の入手はなんとかなりそうだな。
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