カードワールド ―異世界カードゲーム―

イサデ isadeatu

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王総御前試合編

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 次の日も練習につきあう約束していたのだが、男の子はその店にこなかった。なにかあったんだろうかと心配になったが、すぐにその理由はわかった。
 その晩、不穏なニュースを目にした。
 町民がとつぜんいなくなる連続失踪事件。こんどはまた別の地区だ。
 
 もう夜もふけてきている。フォッシャは寝ていたが、かまわず肩を揺さぶって起こす。

「フォッシャ、わるいな起こして」

 彼女は寝ぼけ眼をこすり、

「どうしたワヌ?」

「失踪事件が相次いでるらしい。また別の地区だ」

「また!? やっぱり……呪いのカード!?」

 わからない。だが可能性は高い。
 クソッ。いやな予感が当たったか。今日こなかったあの男の子まで巻き込まれたんじゃないだろうな。
 おちつけ。冷静に考えるんだ。

 俺は手帳をとりだし急いでページをめくり続ける。行方不明、失踪、とつぜん消えるなどのワードを探した。

「あった。これか。【覚めない悪夢】カードに触れたものを異空間に閉じ込める」

 文言をきいただけでもそのカードのヤバさ恐ろしさがわかる。おそらく失踪した町民はこれに巻き込まれたんじゃないか。
 だがもっと問題なのは……

「本当にだれかが……持ち込んだワヌ?」

「なにかの拍子にまぎれこんだってことはありうる。だけど2枚……ぐうぜん2枚も呪いのカードが王都に同時にでるなんてこと、ありえるのか」

 俺とフォッシャは、顔を見合わせた。フォッシャの顔がいつになく緊張している。俺もおなじ表情をしているんだろう。
 もうおたがい言わんとすることはわかる。
 俺はそれを言葉にできなかった。そんな風なことが冗談でも起きてほしくないからだ。

「カードゲームみたいに、だれかが裏であやつってることワヌか」

 十中八九、そうだと仮定するのが自然だろう。

「なんの目的があっても、こんなことをするなんて……そんなやつ許せんワヌ!」

 フォッシャの考えているとおりならこれはもう緊急事態だ。あの流行病のカードが巫女の占ったカードではない可能性まで出てきた。大会中にもう1枚災厄が出てくるのか。だとしたらどうなるんだ。
 なんにしろ今はこの事件に対応しなければ。犯人がいるならフォッシャの力をつかってつかまえるしかない。

「……ならこっちもカードで応じるまでだ」

 ホルダーをひらいて、手持ちのカードを確認する。試合さながらの態勢(たいせい)だ。

「受けて立つ」



 事件のあった地区に到着した。このあたりで行方不明者がでている。つまり大きく移動していなければ犯人もしくは原因はこの地点にあるはずだ。

「エイト! 嫌な感じがしたワヌ!」

「呪いのカードだな?」

「ほぼまちがいなく。かなり強いワヌ」

 目標までの距離はちかいってことか。フォッシャのあとをついていくと工場のとなりの廃屋に行き着く。
 あたりをみまわして進んでいくフォッシャを、いったん俺は呼び止める。

「待てフォッシャ! それより犯人をさがそう。だれかちかくになかったか」

「それが、人っ子一人いないワヌ。鳥も虫もここいらの空気をこわがってよりつかないワヌ」

 犯人が……いない!?
 予想がひるがえされ、戸惑(とまど)いがしょうじる。

 いや、まだだ。呪いのカードのなかに犯人がかくれているかもしれない。
 目標は廃屋のなかにあった。机のうえに、気味の悪いオーラを放ちながら浮いている。

「やっぱりそうワヌ」

 俺は手帳を片手にひらき、

「直接さわるか、ちかくで眠ってなければ閉じ込められることはないらしい。あれを破ればなかのひとたちももどってくる」

 俺がベボイのカードを手に持ったとき、とつぜんフォッシャが声をあげた。

「ん……? エイト、変ワヌ!」

「どうした」

「もう1枚……感じるワヌ! あのカードのほかにっ」

 そう言うのと同時に、強烈な頭痛がおそってきた。ふつうの痛みではなく刺すような力が働いている。一瞬で意識がとびそうになるのをなんとかこらえるが、体がふらついて視界もよどんでいく。

「くッ…………シャ……!」

 頼みの綱のフォッシャも、頭をかかえて座り込んでしまっていた。状況がのみこめないまま、とにかくなにかしなくてはとあてずっぽうにカードを取り出したが、間に合わず俺は地面に崩れ落ちた。


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