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12 元部下
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「なっ……あなたは?」
「敵ではないとだけ言っておくわ」
落ち着いた様子で、そう返してくる。迷ったが外にいてもいずれ捕まるのは見えていたので、すがる思いで空き家らしきその家に飛び込んだ。そうして荷物や家具などの後ろに隠れる。
やがて窓の外で、俺たちを血眼になって探している警兵が景色を通り過ぎていった。
もうもどってはこないだろう。息を整えてから、助けてくれた女性に目を向けた。
俺たちとあまり変わらないくらい若い。しかしそのわりには表情がずっとおとなびている。なんというか、お気楽に生きられる普通の学生とは違う、べギルたち上級ハンターと似たような戦う者の目をしている。
「あなたたち、さっき通りで裏切りの英雄のことを調べてたわよね」
彼女に言われてはっとなる。どこかで見ていたのか。
「はい。かくまってくれて、ありがとうございます」
とまずはお礼を述べた。
「なにを考えているのか知らないけど、この町ではそれは自滅行為だわ。早くここから出ていくことね」
肩をすくめてため息をつき、心底あきれるように彼女は言う。
「……でも、アルスデュラントのことを知りにここへきたんです。なにか知りませんか」
「……なんのために裏切りの英雄のことを調べるの?」
「それは……ダンジョンのためです」
「ダンジョン……? アルスのことを知って、ダンジョンのことになにか役立つということかしら」
「はい」
真面目に答えているが、彼女はさほど真剣には受け止めていないようだった。俺たちのことは善意で助けてくれたんだろう。
「おかしな人達ね。もう警兵は行ったわ。早く街を出なさい。ここには裏切りの英雄の資料はまずないわよ。よその国にいったほうがたぶんまだいいと思うわ」
「……そうですか。とにかく助かりました」
ノパを先に外に出して、確認してもらったからその小屋を出る。萌音たちもぺこぺこと助けてくれた女性に一礼していた。
住宅街から離れて、馬車の出ている城壁のほうへと人目を気にしながら移動する。
「手がかりなし、か……」
肩を落として思わずぼやいてしまう。ここに来ると言う判断を出したのは俺だ。落胆せざるをえない。が、そこであることを思い出す。
「そうだ、精霊の里とかいうとこはどうなんだよ。アル……裏切りの英雄がいたんだよな。記録ならあるはずだ」
「あそこは一年に一度しかひらきませんよ。常識です」
ノパではなくヨサラが教えてくれた。そのあとにノパが付け足す。
「僕が出てきたのがつい最近だしね。精霊たちみんなで協力して、遠い場所に転送する魔法を使ってアルスを迎えにいったんだ」
そんな紆余曲折があったのか。初めて知った。
「精霊王に会えたら一番良かったのかもしれないけど……もうどこにいるのかさっぱり」ノパもさすがにぼやく。
「だめかぁ」
俺は顔を手で覆う。
住宅街を抜けて、城壁の前まで来た。ちょうどそこの境目には芝生の広場があり、なにかかなりの人だかりができている。多くはハンターらしき武装した者たちと軍服を着た兵士だが、野次馬で眺めているような民衆もちらほらといる。
「あのーなんの集まりですか?」
萌音が近くにいた女性に声をかける。
なんでもその人の話によれば、軍がいよいよダンジョン攻略のため大兵団を編成するそうで、そのためにハンターも集まっているようだとのことだった。
俺の前に立っている屈強な男二人もそんなことを話していた。
「傭兵を合わせた大兵団か。報酬も悪くねえ。だが、ウワサじゃダンジョンてのは大人数で入るとなぜかブラムと遭遇しやすくなると聞いたぜ。だいじょうぶなのか」
「トラップ回避のためいくつかのグループに別れて一斉に入るのだそうだ」
彼らの話をきいて、俺も考えをまとめる。
「俺たちも参加してみるか?」
萌音たちに確認をとる。特に反対する者はおらず、萌音だけが「いいと思うけど、どうして?」ときいてくる。
「ダンジョンの中はデタラメに広い。固まりさえしなければ、一斉にそれぞれ探索した方がだれかがコアにたどりつくかもしれないってことなんだろうな。俺たちも便乗させてもらおう」
「けっきょくアルスの力は取り戻せてないから、こうするのが一番かもね」
ノパが俺の説明につけたしてくれる。しかしそういうことだ。
レンガでできた門のなかから、前髪を後ろに反らせた隊長格らしき威厳のある若い兵士が出てくる。まわりには兵をしたがえ、芝生広場にいるハンターたちに号令を飛ばす。
その内容はやはり大兵団をつくっていよいよダンジョンを攻略するということだった。これだけの数を集めたのだから、軍の方もかなり準備をしてきたのだろう。兵士たちの顔からもそのことと緊張感が伝わる。
「あいつ使えそうだな」
後ろにいたハンターの一人がぼそりと言った。フードを深くかぶっている。こいつら、どこかで見たことあるような気がする。
二人組のようで、隣の男が返す。
「ま、コアまで連れてってくれりゃそれでいいですがね」
「おい」
「おっと、つい。誰も聞いてやしませんよ」
なんの話をしているんだ、あいつら。
気になったが師団長の演説がはじまり、そちらに意識をとられる。
ナズウェンのダンジョンを攻略しに向かうらしい。これだけいれば攻略の実現も夢ではないかもしれない。
そう思った矢先、うなるような激しい声が俺たちの背後から聞こえた。
振り返るとあの警兵が息を荒げて人並みをかきわけつつこちらに向かってきている。
「あいつまだあきらめてなかったのか」
ノパが言う。まわりは町民の目だらけであり、ましてや城壁の近くであるため逃げ道が限られている。
焦るも、手段がない。固まっていると、ヨサラが意を決した表情になり自ら警兵のほうへと歩み出た。
「逃がさんぞ」
警兵が手縄を取り出す。そこにヨサラが声をかける。
「あの人たちは付き人で、主犯は私です。捕らえるなら私を」
ヨサラがそんなことを言いだした。そんなはずはないのだが、彼女は自らが犠牲になるつもりなのだろうとすぐにわかった。
「な……巫女か……しかし……」
「アルスの名を口に出したのも、調査していたのも私です。あの方たちは関係がありません」
不満げだったが警兵はしぶしぶと言った表情でヨサラの身体を縄で縛りとらえる。
「ヨサラは……巫女だから自分は罪が軽くなるだろうと考えて、囮になったみたいだね。僕たちを助けたかったようだ。どうする、ソウ」
「どうするって……別にヨサラに任せておけばいいだろ」
「君、ひどすぎるとおもわないの」
「警兵をあの二人に倒してもらったほうがいいって言うのか?」
「そうは言ってないけどさ」
ヨサラの目論見(もくろみ)通り警兵はこちらには手を出してこない。しかしヨサラはどうなるんだ? このケラの街はアルスを憎んでいる。だとするとろくなことにならない気がする。
幼い少女が捕縛されているのを見て、ざわつく傭兵たち。やりすぎじゃないのかという声をあげる者もいた。
ハンターだけでなく民衆もそういう目を向けている。
警兵も相手が巫女であるということは気にしているのか、
まわりの視線を気にしていた。
もしかしたら注意で済んでなあなあに終わるかもしれない、そう思ったとき、そこに師団長だというさっきの兵士がハンターたちの群れをしりぞけて姿をあらわした。
「なんだ?」
師団長がたずねる。
「裏切りの英雄の支持者が出たとか」
側近らしき兵士が教える。
「ベルッヘ殿、あいつ知ってますよ。巫女のくせに裏切りの英雄に熱心だとかで、よく子供に石を投げられてました」
たまたまその近くにいたハンターの一人が余計なことを言っていた。機嫌でもとるつもりか。
「おろかな。あの者たちは?」
師団長ベルッヘは冷たくそう言い、こちらを見て他の兵にきく。
「兵団に加わる気のようですが……」
「待て」
ベルッヘが警兵を呼び止める。
「規律を乱した者が見逃され、さらには兵団に加わるというのは、兵の士気に関わる。ましてやそれが巫女ではな。捕らえて、独房を見学させてやれ。すこしはおとなしくなるだろう」
「……了解」
直々に行為への正当な許可が出て、警兵の口元に笑みが浮かぶ。さらに縄がきつくしめられたように見える。
ベルッヘは厳しい調子で続ける。
「もしくはひざまずき、この場で懺悔(ざんげ)すれば特別にゆるそう。アルスデュラントは精霊にうつつを抜かし故郷を見捨てた大罪人ですと、はっきり言え」
ベルッヘが出てきてはさきほどまで文句を言っていた者もだまってしまう。こちらの味方はいない。
ヨサラは警兵になかば無理やりにひざまづかされるも、地面をにらんだまま口を固く閉ざしている。
「おい。ベルッヘ殿の慈悲に感謝するんだな」
警兵はそう言っていたが、ヨサラはついぞ自分から言うことはなかった。
ノパがその名を聞いて声をあげる。
「ベルッヘだって? 代々武官の一族で、アルスの部下だったやつの子孫じゃないか」
「そうなのか?」
「何度もあぶないところを助けてやった。アルスがそうしてなかったらあんなガキ今頃生まれてないよ。それがアルスをこんなあつかいするなんて……あの恩知らずめ!」
まあいまいち俺にはピンと来ないが、めんどうな状況だ。
警兵がとうとう怒りだし、腰につけていた警棒をとりだしてヨサラの顔をかるくたたく。
師団長ベルッヘもあきれ顔になり、
「言えぬか。これから戦いにおもむくというときに天下の臆病ものの名を口にし、兵たちの士気を下げているのがわからんか。もういい、さっさと消えろ」
警兵にあごで合図し、本人はきびすを返して門の階段へともどろうとする。
しかし英雄だと持ち上げて、いざ自分たちの思い通りにならなかったら大罪人か。どこの世界の人間も変わらないな。
アルスが見捨てた気持ちもわかる気がする。
「人間って、おろかだな……」
そんなやつら、死んだってかまわないよな?
「そのへんでいいじゃないですか」
俺は警兵の前に割って入り、縄を素手でつかんだ。すると、意志に呼応するかのよう火が燃え縄を焦がした。縄だけが消え、ヨサラには傷一つつかない。
「こんなことが士気に関わるはずもありませんよ」
相手は人間だ。ブラムではない。だからこそ話し合うことはできるはず。そう考えていた。
「付き人の私が代わりに申し上げます。アルスは大罪人です。……俺たちは即刻退散します。それでご容赦(ようしゃ)いただけませんか」
言い終わり、俺は深々とお辞儀をした。民衆たちはおどろいていたが、彼らは敵にも味方にもついていない。それだけでありがたい。
顔をあげてベルッヘ師団長を見る。彼は目を細め、じっとこちらを見つめた。なにかを考えているような瞳だった。
「レスタノから、巫女とその従者が無傷で帰ってきた、生還したという噂をきいている。貴様か」
問われて、返答に困る。
「……」
伝達が早いな。それともここにハンターがいるのか。
「……はい。運良く」
とだけ答えておいた。品定めするかのように師団長は俺から目を離さない。
「ふうむ。戦力としては、惜しいな。話は変わるが、その首の三日月のアザ」
指摘され、俺は思わずその部分をさわる。生まれたときからあるものだ。
「裏切りの英雄の伝承と似ているな。かの者も、同じものがあったという」
言われて、思わず目を見開く。初耳だ。
だが動揺してはいけない。平静を装えと自らに言い聞かす。今はヨサラを助け出せればそれでいい、余計なことはするな。
しかしハンターたち、民衆たちがざわつく。アザがどうしたというんだ。いや、よくないか。アルスを調べる一味のなかに同じアザを持つものがいるんだ。目立つのは避けられない。
「付き人か。主(あるじ)の罪を代わりにかぶろうとする志(こころざし)はよい。……が」
ベルッヘはなにか別の考えが浮かんだのか、自らのひげを撫で、ふっと微笑む。
「歯向かった罰を与えねばな。術に自信があるなら見せてみろ。それによってはすべて許し、参加も認めてやる。……少々痛めつけてもかまわん」
やれ、という合図で、まわりにいた兵士たちが俺の前にぞろぞろと出てくる。
銃に着剣する兵たち。腰のサーベルを抜く者もいる。
「な、なんでこうなるんだ……」
「腕が立つなら軍に参加させようってことなんでしょ」ノパが他人事のように言う。
騒動の観客たちは誰も止めてくれない。いや、むしろ俺がなにかするのを期待して眺めているようにさえ感じる。
「こんなやつら……死んだってかまわないよな?」
「なにいってんの!? よく考えてよソウ。目立てば変なうたがいもかかってくるよ。アルスの生まれ変わりなんじゃないか……とかね。ま、そうなったらなったで、力を誇示してしめしちゃえばいいんだけどね」
剣を取り出そうとしたが、ノパの言葉でぴたっとそれを止めた。
「アルスの力を手に入れる方法はわかっている……そうだろ? そして彼らの認識を改めさせればいい」
ノパは俺の顔の前を飛び回って、どこか楽しそうに言い聞かせてくる。
兵たちが武器をかまえているのに、俺は一向に思考したまま動けない。
そこに、だれかが後ろから俺の腰に手をまわして抱き着いてきた。
顔を反らして見ると、ヨサラが俺を止めるかのようにしがみついている。
「ムチャしないで」
俺が考えていたことを見透かしていたのかもしれない。あるいは、目立てばろくなことにならないと心配してくれているのか。
しかし俺はそこで、割り切って結論を出すことができた。
そう簡単なことじゃないか。なにをすべきか。
こんな人たちがどうなろうが知ったことじゃない。面倒な事態を終わらせるため、さっさとダンジョンを攻略しよう。ほかのすべてはささいなことだ。
無言で彼女から離れ、兵たちの前にゆっくりと歩み出た。
そうして地面に出現した魔法陣に両手をつきあて、魔法を発動させる。
芝生のなかに石畳のようにあったレンガや石、そして土が檻(おり)のように隆起し兵たちを鳥かごに入れるごとく閉じ込める。
遠くから魔法を飛ばそうとしていた師団長もとらえていた。一瞬のことで観衆はおどろき声を失っていたが、自分自身も知らない魔法が勝手に出たことに戸惑った。だが、この選択をすればこういうことが起きると言うような気はしていた。
すぐにベルッヘは立派なサーベルでもって、檻(おり)の格子(こうし)を切って出てくる。その頃ようやくどよめきがあがった。
「なんだこの魔術は……!?」
それとは対照的に師団長は俺を見て、満足したかのように口元を吊り上げる。
しかしこれとは関係なく、ここからすこし離れた場所でまたちがうどよめきが起きた。城壁内から出てきた白髪の老兵がその注目を浴びている。
「どうした、このさわぎは」
と老兵が言う。かなり偉い人なのだろうか。
師団長がつかつかとその前に出てかしづく。
「腕の立つ者がいたので試しておりました」
「お前らしくもない」
「……裏切りの英雄と同じアザを持つ者でしたので」
「ほう。それはなんとも……。デュラントの親族か」
「どうでしょう。血縁者はごくわずかで、途絶えているはずですが……魔法の使い方がよく似ている。伝承と」
「……それで、その者はどこに?」
彼らが話しているうちに、俺たちは人ごみにまぎれてすでに退却していた。面倒ごとに巻き込まれてはかなわない。
「敵ではないとだけ言っておくわ」
落ち着いた様子で、そう返してくる。迷ったが外にいてもいずれ捕まるのは見えていたので、すがる思いで空き家らしきその家に飛び込んだ。そうして荷物や家具などの後ろに隠れる。
やがて窓の外で、俺たちを血眼になって探している警兵が景色を通り過ぎていった。
もうもどってはこないだろう。息を整えてから、助けてくれた女性に目を向けた。
俺たちとあまり変わらないくらい若い。しかしそのわりには表情がずっとおとなびている。なんというか、お気楽に生きられる普通の学生とは違う、べギルたち上級ハンターと似たような戦う者の目をしている。
「あなたたち、さっき通りで裏切りの英雄のことを調べてたわよね」
彼女に言われてはっとなる。どこかで見ていたのか。
「はい。かくまってくれて、ありがとうございます」
とまずはお礼を述べた。
「なにを考えているのか知らないけど、この町ではそれは自滅行為だわ。早くここから出ていくことね」
肩をすくめてため息をつき、心底あきれるように彼女は言う。
「……でも、アルスデュラントのことを知りにここへきたんです。なにか知りませんか」
「……なんのために裏切りの英雄のことを調べるの?」
「それは……ダンジョンのためです」
「ダンジョン……? アルスのことを知って、ダンジョンのことになにか役立つということかしら」
「はい」
真面目に答えているが、彼女はさほど真剣には受け止めていないようだった。俺たちのことは善意で助けてくれたんだろう。
「おかしな人達ね。もう警兵は行ったわ。早く街を出なさい。ここには裏切りの英雄の資料はまずないわよ。よその国にいったほうがたぶんまだいいと思うわ」
「……そうですか。とにかく助かりました」
ノパを先に外に出して、確認してもらったからその小屋を出る。萌音たちもぺこぺこと助けてくれた女性に一礼していた。
住宅街から離れて、馬車の出ている城壁のほうへと人目を気にしながら移動する。
「手がかりなし、か……」
肩を落として思わずぼやいてしまう。ここに来ると言う判断を出したのは俺だ。落胆せざるをえない。が、そこであることを思い出す。
「そうだ、精霊の里とかいうとこはどうなんだよ。アル……裏切りの英雄がいたんだよな。記録ならあるはずだ」
「あそこは一年に一度しかひらきませんよ。常識です」
ノパではなくヨサラが教えてくれた。そのあとにノパが付け足す。
「僕が出てきたのがつい最近だしね。精霊たちみんなで協力して、遠い場所に転送する魔法を使ってアルスを迎えにいったんだ」
そんな紆余曲折があったのか。初めて知った。
「精霊王に会えたら一番良かったのかもしれないけど……もうどこにいるのかさっぱり」ノパもさすがにぼやく。
「だめかぁ」
俺は顔を手で覆う。
住宅街を抜けて、城壁の前まで来た。ちょうどそこの境目には芝生の広場があり、なにかかなりの人だかりができている。多くはハンターらしき武装した者たちと軍服を着た兵士だが、野次馬で眺めているような民衆もちらほらといる。
「あのーなんの集まりですか?」
萌音が近くにいた女性に声をかける。
なんでもその人の話によれば、軍がいよいよダンジョン攻略のため大兵団を編成するそうで、そのためにハンターも集まっているようだとのことだった。
俺の前に立っている屈強な男二人もそんなことを話していた。
「傭兵を合わせた大兵団か。報酬も悪くねえ。だが、ウワサじゃダンジョンてのは大人数で入るとなぜかブラムと遭遇しやすくなると聞いたぜ。だいじょうぶなのか」
「トラップ回避のためいくつかのグループに別れて一斉に入るのだそうだ」
彼らの話をきいて、俺も考えをまとめる。
「俺たちも参加してみるか?」
萌音たちに確認をとる。特に反対する者はおらず、萌音だけが「いいと思うけど、どうして?」ときいてくる。
「ダンジョンの中はデタラメに広い。固まりさえしなければ、一斉にそれぞれ探索した方がだれかがコアにたどりつくかもしれないってことなんだろうな。俺たちも便乗させてもらおう」
「けっきょくアルスの力は取り戻せてないから、こうするのが一番かもね」
ノパが俺の説明につけたしてくれる。しかしそういうことだ。
レンガでできた門のなかから、前髪を後ろに反らせた隊長格らしき威厳のある若い兵士が出てくる。まわりには兵をしたがえ、芝生広場にいるハンターたちに号令を飛ばす。
その内容はやはり大兵団をつくっていよいよダンジョンを攻略するということだった。これだけの数を集めたのだから、軍の方もかなり準備をしてきたのだろう。兵士たちの顔からもそのことと緊張感が伝わる。
「あいつ使えそうだな」
後ろにいたハンターの一人がぼそりと言った。フードを深くかぶっている。こいつら、どこかで見たことあるような気がする。
二人組のようで、隣の男が返す。
「ま、コアまで連れてってくれりゃそれでいいですがね」
「おい」
「おっと、つい。誰も聞いてやしませんよ」
なんの話をしているんだ、あいつら。
気になったが師団長の演説がはじまり、そちらに意識をとられる。
ナズウェンのダンジョンを攻略しに向かうらしい。これだけいれば攻略の実現も夢ではないかもしれない。
そう思った矢先、うなるような激しい声が俺たちの背後から聞こえた。
振り返るとあの警兵が息を荒げて人並みをかきわけつつこちらに向かってきている。
「あいつまだあきらめてなかったのか」
ノパが言う。まわりは町民の目だらけであり、ましてや城壁の近くであるため逃げ道が限られている。
焦るも、手段がない。固まっていると、ヨサラが意を決した表情になり自ら警兵のほうへと歩み出た。
「逃がさんぞ」
警兵が手縄を取り出す。そこにヨサラが声をかける。
「あの人たちは付き人で、主犯は私です。捕らえるなら私を」
ヨサラがそんなことを言いだした。そんなはずはないのだが、彼女は自らが犠牲になるつもりなのだろうとすぐにわかった。
「な……巫女か……しかし……」
「アルスの名を口に出したのも、調査していたのも私です。あの方たちは関係がありません」
不満げだったが警兵はしぶしぶと言った表情でヨサラの身体を縄で縛りとらえる。
「ヨサラは……巫女だから自分は罪が軽くなるだろうと考えて、囮になったみたいだね。僕たちを助けたかったようだ。どうする、ソウ」
「どうするって……別にヨサラに任せておけばいいだろ」
「君、ひどすぎるとおもわないの」
「警兵をあの二人に倒してもらったほうがいいって言うのか?」
「そうは言ってないけどさ」
ヨサラの目論見(もくろみ)通り警兵はこちらには手を出してこない。しかしヨサラはどうなるんだ? このケラの街はアルスを憎んでいる。だとするとろくなことにならない気がする。
幼い少女が捕縛されているのを見て、ざわつく傭兵たち。やりすぎじゃないのかという声をあげる者もいた。
ハンターだけでなく民衆もそういう目を向けている。
警兵も相手が巫女であるということは気にしているのか、
まわりの視線を気にしていた。
もしかしたら注意で済んでなあなあに終わるかもしれない、そう思ったとき、そこに師団長だというさっきの兵士がハンターたちの群れをしりぞけて姿をあらわした。
「なんだ?」
師団長がたずねる。
「裏切りの英雄の支持者が出たとか」
側近らしき兵士が教える。
「ベルッヘ殿、あいつ知ってますよ。巫女のくせに裏切りの英雄に熱心だとかで、よく子供に石を投げられてました」
たまたまその近くにいたハンターの一人が余計なことを言っていた。機嫌でもとるつもりか。
「おろかな。あの者たちは?」
師団長ベルッヘは冷たくそう言い、こちらを見て他の兵にきく。
「兵団に加わる気のようですが……」
「待て」
ベルッヘが警兵を呼び止める。
「規律を乱した者が見逃され、さらには兵団に加わるというのは、兵の士気に関わる。ましてやそれが巫女ではな。捕らえて、独房を見学させてやれ。すこしはおとなしくなるだろう」
「……了解」
直々に行為への正当な許可が出て、警兵の口元に笑みが浮かぶ。さらに縄がきつくしめられたように見える。
ベルッヘは厳しい調子で続ける。
「もしくはひざまずき、この場で懺悔(ざんげ)すれば特別にゆるそう。アルスデュラントは精霊にうつつを抜かし故郷を見捨てた大罪人ですと、はっきり言え」
ベルッヘが出てきてはさきほどまで文句を言っていた者もだまってしまう。こちらの味方はいない。
ヨサラは警兵になかば無理やりにひざまづかされるも、地面をにらんだまま口を固く閉ざしている。
「おい。ベルッヘ殿の慈悲に感謝するんだな」
警兵はそう言っていたが、ヨサラはついぞ自分から言うことはなかった。
ノパがその名を聞いて声をあげる。
「ベルッヘだって? 代々武官の一族で、アルスの部下だったやつの子孫じゃないか」
「そうなのか?」
「何度もあぶないところを助けてやった。アルスがそうしてなかったらあんなガキ今頃生まれてないよ。それがアルスをこんなあつかいするなんて……あの恩知らずめ!」
まあいまいち俺にはピンと来ないが、めんどうな状況だ。
警兵がとうとう怒りだし、腰につけていた警棒をとりだしてヨサラの顔をかるくたたく。
師団長ベルッヘもあきれ顔になり、
「言えぬか。これから戦いにおもむくというときに天下の臆病ものの名を口にし、兵たちの士気を下げているのがわからんか。もういい、さっさと消えろ」
警兵にあごで合図し、本人はきびすを返して門の階段へともどろうとする。
しかし英雄だと持ち上げて、いざ自分たちの思い通りにならなかったら大罪人か。どこの世界の人間も変わらないな。
アルスが見捨てた気持ちもわかる気がする。
「人間って、おろかだな……」
そんなやつら、死んだってかまわないよな?
「そのへんでいいじゃないですか」
俺は警兵の前に割って入り、縄を素手でつかんだ。すると、意志に呼応するかのよう火が燃え縄を焦がした。縄だけが消え、ヨサラには傷一つつかない。
「こんなことが士気に関わるはずもありませんよ」
相手は人間だ。ブラムではない。だからこそ話し合うことはできるはず。そう考えていた。
「付き人の私が代わりに申し上げます。アルスは大罪人です。……俺たちは即刻退散します。それでご容赦(ようしゃ)いただけませんか」
言い終わり、俺は深々とお辞儀をした。民衆たちはおどろいていたが、彼らは敵にも味方にもついていない。それだけでありがたい。
顔をあげてベルッヘ師団長を見る。彼は目を細め、じっとこちらを見つめた。なにかを考えているような瞳だった。
「レスタノから、巫女とその従者が無傷で帰ってきた、生還したという噂をきいている。貴様か」
問われて、返答に困る。
「……」
伝達が早いな。それともここにハンターがいるのか。
「……はい。運良く」
とだけ答えておいた。品定めするかのように師団長は俺から目を離さない。
「ふうむ。戦力としては、惜しいな。話は変わるが、その首の三日月のアザ」
指摘され、俺は思わずその部分をさわる。生まれたときからあるものだ。
「裏切りの英雄の伝承と似ているな。かの者も、同じものがあったという」
言われて、思わず目を見開く。初耳だ。
だが動揺してはいけない。平静を装えと自らに言い聞かす。今はヨサラを助け出せればそれでいい、余計なことはするな。
しかしハンターたち、民衆たちがざわつく。アザがどうしたというんだ。いや、よくないか。アルスを調べる一味のなかに同じアザを持つものがいるんだ。目立つのは避けられない。
「付き人か。主(あるじ)の罪を代わりにかぶろうとする志(こころざし)はよい。……が」
ベルッヘはなにか別の考えが浮かんだのか、自らのひげを撫で、ふっと微笑む。
「歯向かった罰を与えねばな。術に自信があるなら見せてみろ。それによってはすべて許し、参加も認めてやる。……少々痛めつけてもかまわん」
やれ、という合図で、まわりにいた兵士たちが俺の前にぞろぞろと出てくる。
銃に着剣する兵たち。腰のサーベルを抜く者もいる。
「な、なんでこうなるんだ……」
「腕が立つなら軍に参加させようってことなんでしょ」ノパが他人事のように言う。
騒動の観客たちは誰も止めてくれない。いや、むしろ俺がなにかするのを期待して眺めているようにさえ感じる。
「こんなやつら……死んだってかまわないよな?」
「なにいってんの!? よく考えてよソウ。目立てば変なうたがいもかかってくるよ。アルスの生まれ変わりなんじゃないか……とかね。ま、そうなったらなったで、力を誇示してしめしちゃえばいいんだけどね」
剣を取り出そうとしたが、ノパの言葉でぴたっとそれを止めた。
「アルスの力を手に入れる方法はわかっている……そうだろ? そして彼らの認識を改めさせればいい」
ノパは俺の顔の前を飛び回って、どこか楽しそうに言い聞かせてくる。
兵たちが武器をかまえているのに、俺は一向に思考したまま動けない。
そこに、だれかが後ろから俺の腰に手をまわして抱き着いてきた。
顔を反らして見ると、ヨサラが俺を止めるかのようにしがみついている。
「ムチャしないで」
俺が考えていたことを見透かしていたのかもしれない。あるいは、目立てばろくなことにならないと心配してくれているのか。
しかし俺はそこで、割り切って結論を出すことができた。
そう簡単なことじゃないか。なにをすべきか。
こんな人たちがどうなろうが知ったことじゃない。面倒な事態を終わらせるため、さっさとダンジョンを攻略しよう。ほかのすべてはささいなことだ。
無言で彼女から離れ、兵たちの前にゆっくりと歩み出た。
そうして地面に出現した魔法陣に両手をつきあて、魔法を発動させる。
芝生のなかに石畳のようにあったレンガや石、そして土が檻(おり)のように隆起し兵たちを鳥かごに入れるごとく閉じ込める。
遠くから魔法を飛ばそうとしていた師団長もとらえていた。一瞬のことで観衆はおどろき声を失っていたが、自分自身も知らない魔法が勝手に出たことに戸惑った。だが、この選択をすればこういうことが起きると言うような気はしていた。
すぐにベルッヘは立派なサーベルでもって、檻(おり)の格子(こうし)を切って出てくる。その頃ようやくどよめきがあがった。
「なんだこの魔術は……!?」
それとは対照的に師団長は俺を見て、満足したかのように口元を吊り上げる。
しかしこれとは関係なく、ここからすこし離れた場所でまたちがうどよめきが起きた。城壁内から出てきた白髪の老兵がその注目を浴びている。
「どうした、このさわぎは」
と老兵が言う。かなり偉い人なのだろうか。
師団長がつかつかとその前に出てかしづく。
「腕の立つ者がいたので試しておりました」
「お前らしくもない」
「……裏切りの英雄と同じアザを持つ者でしたので」
「ほう。それはなんとも……。デュラントの親族か」
「どうでしょう。血縁者はごくわずかで、途絶えているはずですが……魔法の使い方がよく似ている。伝承と」
「……それで、その者はどこに?」
彼らが話しているうちに、俺たちは人ごみにまぎれてすでに退却していた。面倒ごとに巻き込まれてはかなわない。
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第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
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