青い日の丸

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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親友

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厩戸皇子うまやどのおうじ

私は古来よりの宗教に背を向けて
貴方様の奉じる
中国伝来の宗教に寝返りました

私の熱心は何処へ向くのでしょう

厩戸皇子……いえ……聖徳太子……

私の熱心は貴方故え

理想の国家を築く為

理想の未来を見るために

私は『常世の虫』を討伐する

私の熱心は貴方を慕う……

飛鳥の風に歴史の色が混じる


何を書いているのかい

先生、私は歴史妄想が好きなんです
其れで歴史ファンタジーを

僕は結構好きだな
そういうの

其れでも、先生
ママが絶対に駄目だって

ママは歴史ファンタジーが嫌いかい

いいえ、先生
其れでも絶対駄目だって

今日は英語学習の予定だよ
参考書を開いて

君は僕を
尊敬できる大人だと
見ているようだね
其の目が曇らなければ僕は嬉しい
君に信頼される大人として
僕が矜持としている己の鑑を正す
僕は君を
自分では生まなかった
娘のように思う


先生……
秦河勝はたのかわかつは聖徳太子の
親友だったんだって
私は親友がいないの

君の一番の親友は神様だよ
其れから両親
そして
今からできる友達の中にきっといるよ
いや、もう既に
出会っているかもしれないよ
其の次は将来の旦那さんかな
そして子供を生んだら
君はきっと其の子の親友になるのさ

君は聖徳太子かそれとも秦河勝か
君は子供にとって聖徳太子か秦河勝か

私はきっと秦河勝
理想の家庭が築けるかしら
理想の親になれるかしら

まだまだ先の話だよ
さぁ、君は賢い親になるために
君がすべき全てのことをやり遂げる
ママが絶対駄目だと反対する
歴史ファンタジーを書くためにもね

私がすべき全てのことを
私はやり遂げる
私は秦河勝のように夢を見る
まだ見ぬ聖徳太子の理想を背負って


其の頃迷走するメルセデスの二人は
山道を走り迷いに迷い森の奥

恋が覚めたら愛に変わると云うわよね

其れを探しに森に向かおう
穢れを洗う森林浴

メルセデスを下りて獣道
降り注ぐような緑色
光と影の綾なす森に

もしも私が貴方を置いて
メルセデスで消えたらどうする

其れは探すさ、しかし
僕たちはもう破綻しているんだね
こんな質問されるなんて

あら、あれは何かしら
「常世の虫」……

聞いたことがあるぞ
カルトだ

新興宗教……

いや違う
明治からの隠れ宗教だ
百年越える歴史があるが
「常世の虫」は
政財界の裏に蠢く虫なのだ

どんな人たちなのかしら

やめておこう
僕たちは僕たちの未来を
築き上げよう

破綻の修復
森林浴
森の中で誰かがいなくなる

サスペンス好きだね

男は笑った
女は睨んだ 

行ってみましょう
行くのはよそう

行けば新たに始まることが
いやなにもありはしない

臆病者は陰に隠れてごらんなさいよ

行ってはならない
隠れ宗教に近づくな
女はとくに近づくな
君は何かで眠らされて
紐で縛られ吊り上げられて
獣たちの餌食にされる

「常世の虫」

どんな世の中にも常に在る
蝕むことを喜ぶ虫は

お金の匂いがするのよね

君はお金の虫だから

でも、ぷんぷんぷんぷん匂うわよ

僕たちは森林浴でリフレッシュするんだ
二人の恋は覚めて行くから

覚めて行くから森林浴でリフレッシュ
あはは、殺す気ではなくて

馬鹿なことを

男は女の手を引いて
今来た道を引き返す

天狗のお面が現れた
右に左に現れた


今日は此処までにしようか
随分理解が進んだね
あとは発音かなぁ
発音は入試には関係ないけどね…

先生
先生がパパになってくれたら嬉しいな

無理だよ
君のママは寝る間もないほど忙しい
とても素敵な人だけど
僕には高嶺の花だから
君の夢を叶えるために力を貸すよ

僕も君の親友だよ











    
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