小説ネタ集(1話完結モノ)

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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紅神話テティオン編

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テティオン神話によると、神から与えられたとするマンナの光なる神通力がイヴンゼリクス王国を形成したのは、およそ千年前。

『黒髪のテティオン王はその血族の親近婚によって再び生まれる』とのお告げを受けた神官によって、王室典範が作られ、皇族は親近婚を重ねてきた。

そしてその狂った血族の印である緑色の毛と赤い瞳を持つ遺伝子は頑迷に守られていたはずだった。

緑色の髪の毛と赤い瞳、これは王族の印。国民は皆、貴族も平民も濃淡の差異はあるものの茶髪、目の色は青か茶色が通常だ。

王室典範によると、黒髪のテティオン王の亡骸は某所に保管されており、生まれ代わりとされる黒髪の赤子の肉体を裂いてその血をふり注ぐことで、テティオン王が復活するという。

毎年、建国記念日には模擬的な儀式が行われ、復活祭として祝われる。

世界の四分の一を掌握しているリンジャンゲルハルト帝国の属国であるイヴンゼリクス王国は、千年の長い統治時代を経て揺るぎない平和を示していた。

そこに、独りの少女(ヒロイン)が浮上する。プラチナの髪のアルビノで、名前はヴーヴァレネ。イケメン魔導師の美しい妹の娘だ。

同時に、イヴンゼリクス王国の第三后妃、つまりは王の三番目の実の妹に、王室に生まれてはならないとされる赤毛の息子が生まれた。第三后妃とイケメン魔導師との密かな関係によって生まれたその赤毛の王子の名は、マルベノ・ネイオン・イヴンゼリクス。

しかし、第三后妃は愛する息子マルベノの命を守るため、魔導師の姪っ子ヴーヴァレネと取り替える。

ヴーヴァレネは王女として育つが、その白髪頭の為に聖女の道が用意され、忌まわしい親近婚の典範から外れたはずだった。

ところが、王位継承権第一位と第二位の兄弟がヴーヴァレネを巡り争うことに。

ヴーヴァレネは、二人の様々な策略を掻い潜り、貞操を守っていた。

一方、混じった子供である赤毛の王子マルベノは、イケメン魔導師の妹の温かな家庭ですくすくと成長し、何も知らずに近衛騎士に。

第三后妃と魔導師は可愛い息子マルベノの為に、従兄妹である聖女ヴーヴァレネと結ばせようとする。それがヴーヴァレネを守る方法でもあった。

「二人はいとこ同士だが、親近婚になるのでしょうか……」

「それはない。私と妹は血の繋がりはない。妹にはハーフエルフの血が入っている。それが聖女ヴーヴァレネに」

「仰らないで。今やあの子は私の愛娘です。王様と私の間にできた聖女なのです」

「そなたはその聖女と我らの息子マルベノを結ばれるようにしたいと言うのだな。私に任せておけ」

イケメン魔導師の画策によって、聖女ヴーヴァレネと近衛騎士マルベノは思いを寄せ合うようになる。

だが、マルベノの育ての母親がハーフエルフでヴーヴァレネと共通点が多いこと、ヴーヴァレネにはマルベノに読めないエルフ文字が読めること等から、ヴーヴァレネとマルベノは互いが取り替えられたことに気づく。

しかし同時に、マルベノは第三后妃の不倫の子という闇を背負う。王の血をひいていない第三皇子であることがバレたら赤い髪のマルベノの命はない。

それはヴーヴァレネも同じ立場だ。赤の他人が王室を欺いて王女として育ち、ハーフエルフの血をひく者を聖女と偽った罪は重罪だ。

心の中で、ヴーヴァレネはマルベノを、マルベノはヴーヴァレネを、命を賭しても守り抜くと決意する。

ヴーヴァレネは、第一皇子と第二皇子に迫られるなか、マルベノと結ばれることができるか。

さて、マンナの光と生まれ変わりとされる赤子の使い道として……マルベノの叔父(実の父)は魔導師、母親(実は叔母)はハーフエルフの子という家庭で育った近衛騎士マルベノは最強の騎士。

第一第二の継承権を持つ王子たちは、毎日言い争って、国を二分するほどになった。

「お前は俺様の弟の癖にヴーヴァレネを狙うのか。兄に譲るべきであろう」

「兄上も恐れているのですね。ヴーヴァレネからテティオン神話の予言の赤子が生まれるのではないかと」

「恐れているのはお前の方だろう。お前は予言の赤子が生まれたら人知れず闇に葬るつもりだな」

「兄上も同じ考えだったとは」

第一王子と第二王子は王座とヴーヴァレネを巡り戦争を始め、国を血で染める。悪魔に魂を売って勝利した第一王子は現王暗殺の暴挙に出た。

「私は自ら王となる。冠と玉璽ぎょくじ錫杖しゃくじょうを渡せ」

王を守るために戦うマルベノ。エルフの力を使って加勢するヴーヴァレネ。

しかし、悪魔の魔力を帯びた多勢に対してマルベノは無勢だ。その不利な状況の最中に、現王がヴーヴァレネに戴冠式を行う。

ところが、マンナの光が輝き出で、い並ぶ家臣を薙ぎ倒して、騎士マルベノをイヴンゼリクスの新王として新たな加護の光となった。

で、マンナの光の霊力は第一王子勢力を完全に撃退し、テティオン王の亡骸を消滅せしめて、戦争と千年にわたる神話を終わらせた。

更にマルベノは、イヴンゼリクス王室の親近婚の終わりを示す混じった血の最初の王となった。

ラストは、国に平和が戻り、幽閉された第一王子の「おとなしくしていれば第一継承権のある俺様が王座に座れたのに、何でこうなったっ」との後悔を他所に、二人の結婚式で華やかにめでたしめでたし。


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