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★ツタンカーメンの
しおりを挟む『嫉妬レヴィヤタン』のツタンカーメン男性の場合は女装癖があり、女装バーに自分のロッカーを持っていたことが判明した。それも、難渋したが証言者が吐いた。
そのツタンカーメン男性は、LGBTQとしては尤もらしい顔つきだったから、捜査員たちは誰もがその男性の女装癖を疑わない。寧ろ当然のように考えて、ロッカーを調べた。
出てきた手帳には、集団ストーカー行為を行っていたことと、参加した第三者まで克明に記されていた。
シフトは都合によって代えられるようだったが、ツタンカーメン男は緩いシフトを望んだらしく『あんなことで承認欲求を満たして喜ぶ人間には反吐が出る』とメモ書きがあった。
メモについては『嫉妬』したのかされたのか、それを調べる必要があったが、多くの顧客をもつ女装バーでは『客同士が嫉妬しあうなんて何処の店でもあるでしょう。うちは、喧嘩だけはないから』と笑いながら頭を振る。小太りのオーナーも女装マニアだった。
「対人関係には思い当たることはないと」
呼び出して訊くと、捜査員の凄味に押されたのか、そうね……と言って考え込む。
事情聴取に当たった捜査員は、顔形は人の記憶に残りにくい平凡な造りだったが、その表情には恐るべき変化が現れる。集中すると、やくざものでも震え上がるほどの目付きで睨み付けるのだ。
「あんまり怖い顔をしないで頂戴。私は犯人ではないんだから。あっ、思い出した。あの子も自分は犯人ではないと言っていたわよ。泥棒猫って言われてね」
女装のできるバーは、ドアに会員制のプレートを貼ってあるので無闇な客は入って来ない。それでもある時、そのツタンカーメンのシートに見ず知らずの男が座った。そして、男とツタンカーメンがその夜、結ばれたのだ。
後日、他の客との間で言い争いになった。あの男はゲイを狩って遊ぶというワンナイト専門のハンターだったから、喧嘩になってもどっちのものにもならない相手だ。
店内でメイク道具が失くなって、喧嘩した同士の間でやり取りがあった。
『泥棒猫、あんたでしょ』
『失礼なっ。私は犯人ではないわよ』
「つまりは、ツタンカーメンを憎んでいる客はいるんだな、何と言う名前だ。連絡先は」
「いやだ、そんなこと。営業妨害する気なのぉ。そんな恐ろしい事件を起こすような人ではないわよ」
「これはこっちで調べる」
捜査員はふっと笑って、小太りのオーナーの手を撫でた。
「あらぁ、しゃべっちゃおうかな」
「帰る気があるならしゃべるしかないんですけどね、お姉さん」
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