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3 好きだけど
しおりを挟む何とか此のまずい感覚を払拭したい。
「男がどう思っても相手にしないよ。僕は女の子が好きだから」
其れは本心だ。
MM先輩を蹴散らしてずんずん歩く。
楽しい学校生活を過ごせるかもしれない。
僕はもう三年生になったはずだ。
期末テストには登校したい。
チョコちゃんの言うとおり、大学進学を視野に入れておく。
だからと言って、僕の機嫌は治らない。
スマホ画像を見せようと思っていたのに、このアウェイな場面では出したくない。
お父さんは腕組みで怖い顔している。
「波流、女の子が好きなのも男の子としては当然だが、世の中には両刀使いというのがいる」
バイっていうこと。
知ってるけどでも違う。
「お前は一体何人の女の子と付き合っているんだ。あの子は誰だ。チョコちゃんでもネリちゃんでもないんだろう。何と言う名前だ」
「わはははは。お父さん、お父さん、笑わせないで。あれがチョコちゃんだよ。チョコちゃんでネリちゃんだ。変身したんだよ。僕と同じで」
あ、思わず笑ってしまった。
「変身……チョコちゃんもか」
お父さんは自信がなくなったのか、お母さんと顔を見合わせた。
「メイクマニアだからね、お父さんも化粧したら」
「バカを言うな」
お父さんは真面目な顔で目を吊り上げた。目くじらを立てるという表現はこんな時に使うのかな。鯨の目は可愛いらしいイメージなんだけど、後でGoogle検索してみよう。
「お父さん、僕は学校に行ってみるよ。勿論、コマルナ休校が終わったらだけどね」
「本当か」
お父さんとお母さんの目が輝く。
此処だな、人生の岐路ってやつは……
「だからね、交換条件。チョコちゃんと化粧するのを止めさせないで。僕の自由を認めて」
「お前、チョコちゃんが好きなのか。それで化粧させたりしているのか」
どうして大人の感覚は歪むのだろう。此方の言い分を素直に聞いていない。
「好きだけど、友達としてだけだよ」
「もし其の……」
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