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10 また、したい
しおりを挟むお父さんがお母さんと一緒にいたくて結婚したという話は、面白いけれど僕たちには早すぎる。まだ、考えてもいない。
あれ、考えたか……きっと離婚するって。ははは……
離婚前提なら結婚しない方がマシだよ。慰謝料問題にならないとも限らないし、折角二人で財産こさえても半分こにするなんて、半分こにできないものもあるんだろうし、もしも子供とか生まれたら半分こにはできないし……あはは、早すぎるってば。
チョコちゃんと知り合ってから、まだそんなに日にちは経ってないのに、もう親は、エロい関係の心配している。僕はそっちの方がショックだ。男の子だからといって直ぐにエロかよ。
そう言えば、チョコちゃんにメイクしてもらっている間、チョコはずっと近くにいたのに、触りたいとか思わなかったな。女の子の身体に興味はあるけれど、意識しなかった。冬の制服だったからかな。
チョコちゃんがメイク落としシートで優しく僕の顔を拭いてくれた時も、ドキドキはしなかった。化粧水を温めるように顔に塗って染み込ませた時も、ああ、後頭部に何か当たったような気がしたんだけど、気にしないことにしたんだ。
僕は、チョコちゃんの手のひらに包まれて何となくいい気分だったけどね。乳液やクリームといった下地だけでも、僕はチョコちゃんの手の動きに合わせて眼を閉じたりして、その事を気にしていたんだ。目を閉じてって言われてもいないのに目を閉じるから、僕は随分簡単にマインド・コントロールされてるなって。しかも自ら進んで従っているって。其れが意識の中心だった。
チョコちゃんとは、何もおかしなことはしていない。何かしたと言うならされた方だ。顔にいろいろ塗りたくられた。美少女に変身したんだ。
……楽しかった。
また、したい……
メイクのことだよ。
メイクひとつで僕は何かを払拭できたような気がするんだ。街を歩けるって……
あ、メールがきた……
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