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9 竜巻予報
しおりを挟む(今日、お母さんと喧嘩した。お母さんが波流君の家に行くと言うから)
驚くのが当たり前だろうけど、何となく予想していたからかな、とうとうきたか、台風だ、という感じだ。いや、台風は毎年来るけど、チョコちゃんのお母さんは初めてだから、台風というよりは竜巻かもしれない。
(わかった。両親に伝えておく。もし、本当に来るときは、時間わかったら教えて)
(🆗‼️)
やっぱり両親に説明するのは骨が折れた。
チョコちゃんのお母さんが誤解したメールは隠して、話すだけにしたけれど、父は「本当に何もしていないんだな」と疑う。
「本当だよ。お父さんも見たでしょ、一昨日。僕はメイクしてたよ。昨日も約束していたけど、チョコちゃんはお母さんに咎められて来れなかったんだ。僕が何をスルって言うの。なんかスケベな妄想しないでほしいな」
言ってるうちに腹が立つ。
親が子供の肩を無闇に持つのもどうかとは思うが、濡れ衣着せられたら子供を信じてほしいよ。
「いや、お父さんはお前を信じるよ。お前も男なら、もしも関係したなら、正直に話してくれるよな」
え、案外あっさりしている。
信じてくれるんだ。
「うん。約束する。もしも女の子とエロい関係になったら、お父さんに話すよ」
「お父さんもな、昔、親に叱られたことがあるんだ。お母さんを遅くなるまで引き留めるなといって、それで結婚した。一緒にいたかったんだ」
母が微笑む。家庭内潜り離婚状態から、いつの間にか縒りを戻したらしい。
「へえ……僕は結婚とかじゃないけど、チョコちゃんとは一緒にいても疲れないし面白いから友達関係を続けたいよ。チョコちゃんのおかげで学校に行こうと思い始めたんだ」
「本当か。お前が学校に……」
何をそんなに感動しているの。
目頭押さえるなんて……
「チョコちゃんが励ましてくれたんだよ」
「成る程。お前には必要な友達なんだな」
横から母が「大丈夫よ」と笑った。
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