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13 逮捕
しおりを挟むチョコちゃんが濃厚接触は無理さと言って、チョコちゃんママの負けず嫌いな面が垣間見られた。
「あんた、チューしたって書いてるじゃない。ラインに」
「スマホ画像にチューするのが、れずびあんごっこだし」
「え……はあぁ……あんたの言うレズビアンごっことは何、画像にチューするだけなの。本当に。でも、この顔よ、この顔。この顔が好きなんでしょ」
チョコちゃんは、うんと素直過ぎる反応。
やめてくれ。
僕はこの顔で損して生きてきたんだ。男らしいとは思ってもらえず男の子が活躍する場面では必ず外され、どんなに努力したことか。
最大の悩みは、二個上の先輩の卒業前に濃厚チューをされて根深いトラウマ抱えた。先輩は男子だ。トラウマにならない方がおかしい。
顔だ。顔で損しているんだ。女の子みたいな顔に生まれたばかりに、エロに目覚めた先輩に狙われるなんて、学校は地獄だ。
僕は不登校男子として余生を草むしりに捧げるつもりになっていたけど、チョコちゃんとメイクして楽しかった。本当に救われた気がする。
「僕は、この顔で損してきました……」
いよいよ、両親の前でMM先輩とのいきさつを語らなければならなくなったか……隠しておきたい過去だったのに……
「波流、私は自分の息子でも可愛いと思うわよ」
「お母さん、話が逸れるから」
「あら、ごめんなさい。話して」
僕は、テーブルの上の烏龍茶を持った。誰も口をつけていない。ゆっくり飲む。一口でも乾きが癒されて落ち着く。
「僕は、この顔で不登校になったんです。昔……」
そうだ、いきなりMM先輩のエピソードはきつい。最初から話そう。
「幼稚園の頃に、大人の男に拐われそうになって、男の子だとわかって解放してもらえたけれど、その前にほっぺたにチューされてズボンを脱がされたり……」
「波、波流。それは本当か。何故、話してくれなかった。警察問題だぞ。そいつを逮捕しなければならん」
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