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39 久しぶり
しおりを挟む「波流君、こんにちは」
来たか。やっぱりブロック塀の蒲鉾穴から覗いている。最初の日は驚いたけれど、待ってたよ、チョコちゃん。
「チョコちゃん、おいで」
手招きする。
僕は麦わら帽子にトレーナーとトレパン、首からタオルを下げてオジサンみたいな格好だ。
実は野菜ジュースを用意してもらった。お母さんが通販で購入したものだから、そこら辺にはないやつだ。
「久しぶりだね」
「チョコちゃん、元気そうだね」
なんだか小さく見える。
「チョコちゃん少し痩せた」
「うん」
「ちゃんと食事してた」
「うん。レトルトカレー。あれは太るから半分して食べるんだけど、毎食カレーで飽きた。へへへ」
やっぱり離婚タイプか、僕が料理番で離婚回避できるとか、チョコちゃんが料理上手になるか……
「栄養不足になるよ、レトルトカレーばかりじゃ」
用意しておいた野菜ジュースを手渡した。僕としてはナイスタイミングだ。
「うわあ、嬉しい。この野菜ジュース甘いよね」
違いがわかるんだ、チョコちゃん。
「砂糖不使用だから自然の甘み」
「ふふ、波流君のお母さんってナチュラルタイプ。うちのお母さんは気取りやだけどさ」
チョコちゃんは野菜ジュースを振った。
「そうだね。ざっくばらんなタイプ」
「ふうん。お母さんに似るんだって、男の子は」
「へえ、知らなかった」
似ているかな。顔は似ているかも。
チョコちゃんはマスクを外して野菜ジュースを飲んだ。
「波流君ってそういえば、思っていたのと違う」
「違うって」
「みんなで覗きに行った時は、みんなの王子様みたいに思っていたから声もかけられなかったけど、今はチョコだけの溺愛王子様だよ」
「ふふ、溺愛しているかな」
僕も軍手を脱いで野菜ジュースのプルトップを開けた。
「溺愛。溺れまくり。死にそう」
「死ぬなよ、簡単に」
「へへ、ほら、溺愛されてる」
「はは、本当に溺愛して死なれたら困る」
チョコちゃんが目を瞠目いた。
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