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38 化粧
しおりを挟む僕は覚えている。チョコちゃんがメイク落としシートで優しく僕の顔を拭いた時のこと。
僕はお化粧男子になるつもりだったから、遊びに来るならついでにメイク道具も持って来ればと言ってみた。チョコちゃんがいつかメイクさせてと言ったからだ。いつかではなく、明日、遊びに来るならついでに……それが目的ではなくついでにさ……って、ついでがチャンスだからやってみようと思った。
あのあと化粧水を手にとって温めるようにしてから僕の肌に染み込ませて、僕はチョコちゃんの息の合うマリオネットみたいになって、言われなくても目を閉じたりして、自主的に従っていた。
乳液やクリームを塗るときも。
自然に従った。
眉毛を剃らせてと言われたときは拒んだけど、そうだ、眉毛はまだバージンだ。ヘアピース被るなら見えないよねと言って死守した。
眉毛以外は全部チョコちゃん任せだ。アイライン引いてアイシャドー塗って、ああ、ビューラー初体験した。自分で鋏に似たビューラー持って睫毛を曲げた。面白かった。付け睫付けるとき、きゃりーぱみゅぱみゅの付け睫の歌を歌って、マスカラも塗った。
チョコちゃんと過ごした時間は、最初から刺激的だった。暇潰しのつもりが、とても刺激的で、ドハマリ。
思えば何でも「ついで」だったっけ。お化粧してついでにスマホ画像を撮影して盛り上がって、お父さんに呼びつけられて……
家族会議は初めからチョコちゃんが議題だった。チョコちゃんと音理ちゃんの二股問題、次はドンファン問題、じゃあ次はどんなことが問題にされるのだろう。ふふ、どうせチョコちゃんとの問題だ。笑える。
僕は口紅も塗られた。唇の輪郭をペンシルでなぞられて、MM先輩のキストラウマがあったのにアレルギー反応は出なかったから、トラウマを乗り越えられたと喜んだ。
確かに、何もしないよりは一歩進めた。
チョコちゃん、久しぶりだね。
明日会えるね……
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