中学生溺愛王子はお化粧男子 777文字小説

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

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118 壁ドン

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僕は今日で十八才になった。


「一生に一回は婚約破棄して相手を見返したい」

チョコちゃんの恐ろしい願望の確認は重要だ。



学校の廊下に「走らない」と書かれた張り紙がある。高校生になっても生徒は元気よく騒ぐ。


僕はチョコちゃんのクラスの廊下でチョコちゃんと少し話をするだけのつもりだった。


「チョコちゃん、僕と婚約してくれるって約束したよね。でも、婚約破棄にも憧れているって。誰と破棄するの。僕と……」


ちょっとだけ不貞腐れてみせる。演技だ。


「まさかあ、勿体ない。節介頑張って婚約できるってゆうのに、波流君と破棄したら直ぐに誰かに取られそうだからヤだ」


可愛い。

決して美形ではないチョコちゃんの口を尖らせて睨み付ける顔も、可愛い。


「じゃあ誰と婚約破棄するんだよ。誰かと破棄するにしても、僕と破棄してからでなければ詐欺になるから、やっぱり僕しかいないじゃないか」


真剣に見つめる。


「ええっ、じゃあ波流君の前に誰かと婚約しなきゃあならないの。それもヤだぁ。婚約バージンなのにい」


婚約バージン……萌えっ。
そのフレーズではない。
その気持ち可愛い。

メロメロきゅん死する。


「だから、婚約破棄は諦めて」

「でもぉ、Web小説で流行っていたさ。憧れて育ったのにい……」


僕は思わず壁にドンと手を付いた。
僕をきゅん死寸前に追いやっていながら、この期に及んでまだ言うか。


「あ……波流君……」


チョコちゃんの驚いた顔も可愛い。
目が潤んでいくのがはっきり見える。


廊下に出ていた生徒たちの方から衝撃波が返ってくる。みんながぞろぞろ集まって来る。


「好きだよ、チョコ……」


僕は前髪が少し垂れるようにしてきたんだけれど、唇を狙って俯くと、その前髪が落ちた。


「「「「うおおわああああきゃああああ」」」」


生徒諸君、廊下で騒がない。

唇が触れた。チョコちゃんの早い心音が聞こえる。

僕は自分の頭からぼっと焔が立つのを感じた。


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