つまずいたら異世界へ

藤森馨髏 (ふじもりけいろ)

文字の大きさ
135 / 136
第二十三章

(1)ノアちゃんとラーポは

しおりを挟む

「いいか、ラーポ。こちらはリンジャンゲルハルト帝国から拐ってきた金持ちの子供だ。名前はノアちゃんと言う。ノアちゃん、この国でリンジャンゲルハルトの話をしたら殺されるかもしれないから、黙っているんだぞ」

ガーネットは自宅の門前で二人に語った。

「ケコッ(何だとぉ)……」

ノアルは叫び疲れてぐったりしている。ラーポは背中をど突かれた痛みもまだ取れないのに両手を後ろ手に縛られて身動きが取れない。

「痛たたた……いきなり酷いことして謝りもせずに何よ、偉そうに」

長いポーチの途中に噴水が見える。小ぶりのお城のような邸宅だ。

「私は将軍だからな。偉いんだ。今、ここでお前ら二人を敵国のアサシンとして斬って捨てても罪にはならない。戦争中だからな。武勲のひとつだ。わっはっは」

「くそっ。忌々しい。忌々しいけど、わかった。その木偶人形ノアちゃんは金持ちの子供で、どうして拐ってきたのかは……」

「虐待されていたんだ。だからノアちゃんは性格が歪んでいる。お前が面倒を見てくれ」

人を後ろ手に縛っておきながら何を言うかと、ラーポはガーネットを睨み付けた。

ガーネットはラーポとノアルを抱き抱えて軽く飛ぶ。ラーポと同じようにドラゴルーンに関係しているが、鱗の相乗効果もあって殆ど一瞬で玄関さきに降り立った。

「お帰りなさいませ」

使用人が二人、ガーネットを迎えた。

子供を抱き抱えて縄を打った少女を牽引している姿に、使用人たちも驚いた。

「ガーネット様、この者たちは如何致しましたか」

「母上にお土産だ。何処にいる」

「先ほどお夕食を済まされて今はもうお休みの準備をなさっているものと」

「そうか」

ガーネットは邸宅の中をずんずん進んでひとつのドアをノックした。返事とともにドアが開いて小間使いが腰を折り曲げる。

「お帰りなさいませ、ガーネット様」

奥から声がした。

「ガーネットですって、まあ……」

部屋に入るとガウン姿が走りよってきた。
サディも一緒だ。

余程気が合うのか、二人は母娘のように時間を共有している。

「ガーネット様……」

二人の視線がガーネットの抱えている子供と青い髪の毛の少女に留まる。

「リンジャンゲルハルト帝国からのお土産だ。ノアちゃんとラーポ。可愛がってやって」

「まああ、可愛い」

母親はノアルに腕を伸ばして軽々と抱っこした。サディはラーポの肩に腕を回す。二人とも玩具をゲットしたようにはしゃいでキスの雨を降らせた。

「ゲコッ、ゲココココ」

ノアルは身を捩って喜んでいる。ラーポに至ってはリンジョネルラのことを忘れてサディの舌の絶妙な動きに気をとられて目を白黒させながら濃厚接触の真っ最中だ。

「ラーポ、お前、浮気者だな。サディ、こいつはリンジョネルラ王女の恋人だ」

ノアルが目を剥く。

ゲコッ、ゲコゲコッ、ピーーーッ……

蛙の鳴き声を響かせてノアルの喉から蒸気機関車が走る。

(お前、ラーポと言ったか。私の娘リンジョネルラの恋人だとぉぉ。異世界の娘か。レズは構わんが私に内緒で娘に手を出すとはっ、許さああああんっ)

リンジャンゲルハルト帝国はLGBTの国。ノアルもレズビアンくらいでは動じない。ただ、女帝の威厳を踏みつけにされたように感じた。

「お前の好きなように弄んでも良いぞ」

ガーネットは黒眼帯の片目でニヤリと嗤う。

「ゲコッ」(いたぶってやれ)

縄で縛られて身動きの取れないラーポはいきなり濃厚なキスをされて、既に胸も揉まれている。

「ううっ……」

「可愛いオモチャ……ふふ、ガーネット様の身代わりにして遊びます」

サディはラーポの縄を解く気はない。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...