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第一章 魔王に憑依されて
(4)楽しい体育館
しおりを挟む「君の教室でボヤ騒ぎがあったの知ってる。ガソリンに煙草の火を近づけたらしいよ」
眉根を寄せる。
「何でガソリンが教室に」
「僕もよくは知らないんだけど」
それより木葉の君には、私の背中の羽は見えていないのかな。
「君たちのクラスは体育館に集合だって。遅れないように行って」
木葉の君は白い歯を見せて笑った。
「有り難うございました」
「話せてよかったよ。またね」
手を振りながら離れる。
「あれか、お前の好きな男は」
魔王……誤解です
「誤解かな」
姉が仲良くしていたらしいけど、私とは学年が違うし、あまり話したこともないし
「でも好意を持っている」
ん……嫌いなわけではないんだけど
「イジメの原因だから近づくな」
そうね、まあ、そんなところ
「あの男が死ねば良いんだな」
魔王おぉぉ、悪魔あぁぁ
「わかった。わかったから叫ぶな。私は
決して悪魔ではない。あの男は殺さない」
約束ですよ
担架で運ばれたのは同じクラスの男子二人。頭にガムを付けられたことがある。
手を鄭切ってやりたいと思っていたけれど、右手が焼けただれているのが目に入った。
恐ろしい……
「お前が思うことは何でも実現させてやるぞ」
ひえぇぇ……まさか……あれは魔王が……
「もう起きたことなのだ。今更騒ぐな」
いや、待って
お話ししましょう
やっていいことと悪いことについて
「体育館だ」
あ、普段よりも早く歩ける気がするのは魔王の魔力なのかな
「そうだ。チマチマ歩くな。苛々する」
ははは……済みませんね
あ、いや、その前に
やって良いことと悪いことの
区別をつけなきゃあ怖い
だいたい私の身体を使わなくても
教室で何かできるって言うのなら
離れてください
それに
私が思うことを何でも実現させるとか
人間は善悪関係なく
どんなことも考え得る生き物ですけれど
悪いことを実現するなんて
滅多にありませんよ
悪いことを実現されたらマジで引きます
それこそ怖いです
ホント迷惑
体育館の玄関からクラスメイトが見える。バラバラになって纏まりはない。ただ、不安と強がりの交差した空気感が私を迎えた。
「お前、友達はいないんだな」
ははは、苛められっ子なので
そんな高級な者は見たこともない
「友達を作ろうか」
嫌です
此処にいるやつらはいつか全員ぶちのめします
「今やれ」
魔王、今は無理ですよぉぉぉ
おおおお
やぁぁぁ……
めぇぇぇ……
てぇぇぇぇ……
私の身体を勝手に使うなあぁぁ
翼が広がる。空中を駆け巡る。全員をものの数秒で二回づつ蹴りまくった。
ヤバい……
みんな倒れている
だ、大丈夫だろうか
何とかいわなきゃならないかな
「おいこら、てめぇら。今までよくも私を苛めくさってくれたな。これから泣いて喜ぶほどお礼をしてやろうではないか、わっはっはははは」
やめてえぇぇ
魔王おぉぉ
勝手に喋らないでえぇぇ
私が言いたかったことはそんなことではないのに
あっ、足が勝手に動くうぅ
何をするのおぉぉ
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