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第11話 罠
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ロギンと別れたクロエとレオンは街の外れにある宿屋に来ていた。
「へぇー、思ったより立派な宿屋じゃん」
(ルノワール商会系列の宿屋じゃなければ言う事ないんだけどね)
ここは、ロギンに紹介された宿屋であり、盗賊から助けたお礼に無料で泊まらせてくれる事になった。
クロエを買おうとしたロギンという男は気に食わないが、既に空が暗くなり始めており、これから宿屋を探すのも面倒だったので、ロギンの紹介してくれた宿屋に泊まる事にした。
「ってか、何でみんなレオンの事を疑問に思わないの?」
「疑問?何のことだ?」
「だって、変じゃん!レオンはどっからどう見ても犬なのに、普通に会話してるって、おかしくない?」
「何だそんな事か」
レオンは、やれやれと言わんばかりに溜息を吐いた。
「周りからは俺様の姿が人間に見えているからに決まっているだろ?」
「は?何言ってんの?どう見ても犬じゃん」
「幻術だ」
そう答えた瞬間、レオンの姿が黒髪の美青年に変わった。
シックな黒いスーツが似合う赤い瞳の青年になったレオンは、微笑を浮かべてクロエを見つめる。
「なっ、何よそれ!?」
突然、犬のレオンが人間の姿になり、クロエは動揺する。
「だから、幻術だ・・・普段、従魔であるお前以外には、俺様がこの姿に見えているのさ」
レオンの説明を聞いて、漸く今までの周りの人間の反応に納得がいった。
だが、それと同時に怒りが込み上げる。
「このチート犬は・・・それならそうと最初から言いなさいよね!」
(ってか、幻術が使えるなら、私の事も人間に見える様にしてくれても良かったじゃん!全然私にスキルのこと教えてくれないんだから!)
クロエは、レオンに色々と隠されているという事に疎外感と寂しさを感じていた。
「何で俺様が一々お前に教えてやらなきゃならないんだ?」
「もう知らない!疲れたからさっさと部屋で休みましょ!」
クロエは、怒り気味に部屋へ向かおうとして、宿屋の使用人に止められた。
「申し訳ありませんが、ここから先は魔獣の立ち入りはご遠慮下さい」
「はぁ!?」
(この店員、私の事を魔獣って言ったの!?)
「どう言う事だ?」
流石にレオンも店員を睨みつけて質問する。
「私達はロギンって人に紹介されて来たのよ?泊まれないってどう言う事よ!」
クロエは、怒り心頭で食ってかかる。
「いえ、泊まれないわけでは無く、魔獣専用の古屋がありますので、従魔はそちらに預けて頂く事になります」
「は?レオンは部屋に泊まって、私には魔獣と一緒に古屋で寝ろって言ってんの?」
クロエは、信じられないと顔を引き攣らせる。
「規則ですから」
しかし、店員はキッパリと答えて、クロエに付け入る隙を与えない。
「レオン、もう別の宿に行こ!こんな最低な宿屋使う必要無いわ!」
「他の宿屋も基本的に同じですよ?それに、この時間では、空いている宿屋もあまり無いでしょう」
店員のムカつく態度にクロエは歯軋りをして、怒りを堪える。
「仕方ない・・・取り敢えず、今日は我慢しろ」
レオンは、溜息と共に首を横に振って諦めた。
レオンに命じられてしまえば、クロエは嫌でも我慢せざる得ない。
「丁重に扱えよ」
レオンが店員に念を押す。
「はい!我々の調教師が魔獣を管理しておりますので、安心してお預け下さい」
そう言うとレオンは店員に案内されて部屋へ行ってしまった。
(レオンだけ良い部屋に泊まってズルいんだから!)
「お前はこっちだ!」
体格の良い男がクロエの首輪にリードの様な紐を装着した。
「な、何すんのよ!?」
(嘘!?外せない)
「さっさとついて来い」
乱暴に首輪を紐で引かれたクロエは、何故か身体に力が入らず、逆らう事が出来ない。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
(これじゃあ、犬の散歩みたいじゃん!?)
男に無理矢理連れて行かれたのは、宿屋の裏手から出て、更に離れにある大きな古屋だった。
「ウッ・・・獣臭い」
動物園や農場で臭うような獣臭と糞尿が混ざった様な独特の臭いが漂っており、クロエは顔を顰める。
(古屋っていうか、家畜小屋じゃん!?)
古屋の中からは、獣の唸り声以外にも豚や牛などの鳴き声が混ざっており、家畜と一緒に世話をしている様だった。
「ここがお前の部屋だ」
そこは、薄汚い牢獄の様な部屋だった。
中にはベッドやテーブルも無く、床に藁が敷いてあるだけの家畜小屋だ。
「・・・嘘でしょ?」
「食事と飲み物は部屋に置いてあるから勝手に食え」
そう言い残すと、男は扉の鍵を閉めて行ってしまった。
「食事ってコレのこと?」
床に無造作に置かれていたのは、水が入った皮袋と硬いパンに干し肉だけだ。
「・・・不味い」
当然の様にお粗末な味な上に硬くて食べにくい。
水で流し込む様に飲み込んだクロエは、違和感に気がついた。
「あれ・・・急に眠気が?」
意識が朦朧としてきて、目を開けていられない。
そのまま冷たい床に倒れると、直ぐに意識を失ってしまった。
「へぇー、思ったより立派な宿屋じゃん」
(ルノワール商会系列の宿屋じゃなければ言う事ないんだけどね)
ここは、ロギンに紹介された宿屋であり、盗賊から助けたお礼に無料で泊まらせてくれる事になった。
クロエを買おうとしたロギンという男は気に食わないが、既に空が暗くなり始めており、これから宿屋を探すのも面倒だったので、ロギンの紹介してくれた宿屋に泊まる事にした。
「ってか、何でみんなレオンの事を疑問に思わないの?」
「疑問?何のことだ?」
「だって、変じゃん!レオンはどっからどう見ても犬なのに、普通に会話してるって、おかしくない?」
「何だそんな事か」
レオンは、やれやれと言わんばかりに溜息を吐いた。
「周りからは俺様の姿が人間に見えているからに決まっているだろ?」
「は?何言ってんの?どう見ても犬じゃん」
「幻術だ」
そう答えた瞬間、レオンの姿が黒髪の美青年に変わった。
シックな黒いスーツが似合う赤い瞳の青年になったレオンは、微笑を浮かべてクロエを見つめる。
「なっ、何よそれ!?」
突然、犬のレオンが人間の姿になり、クロエは動揺する。
「だから、幻術だ・・・普段、従魔であるお前以外には、俺様がこの姿に見えているのさ」
レオンの説明を聞いて、漸く今までの周りの人間の反応に納得がいった。
だが、それと同時に怒りが込み上げる。
「このチート犬は・・・それならそうと最初から言いなさいよね!」
(ってか、幻術が使えるなら、私の事も人間に見える様にしてくれても良かったじゃん!全然私にスキルのこと教えてくれないんだから!)
クロエは、レオンに色々と隠されているという事に疎外感と寂しさを感じていた。
「何で俺様が一々お前に教えてやらなきゃならないんだ?」
「もう知らない!疲れたからさっさと部屋で休みましょ!」
クロエは、怒り気味に部屋へ向かおうとして、宿屋の使用人に止められた。
「申し訳ありませんが、ここから先は魔獣の立ち入りはご遠慮下さい」
「はぁ!?」
(この店員、私の事を魔獣って言ったの!?)
「どう言う事だ?」
流石にレオンも店員を睨みつけて質問する。
「私達はロギンって人に紹介されて来たのよ?泊まれないってどう言う事よ!」
クロエは、怒り心頭で食ってかかる。
「いえ、泊まれないわけでは無く、魔獣専用の古屋がありますので、従魔はそちらに預けて頂く事になります」
「は?レオンは部屋に泊まって、私には魔獣と一緒に古屋で寝ろって言ってんの?」
クロエは、信じられないと顔を引き攣らせる。
「規則ですから」
しかし、店員はキッパリと答えて、クロエに付け入る隙を与えない。
「レオン、もう別の宿に行こ!こんな最低な宿屋使う必要無いわ!」
「他の宿屋も基本的に同じですよ?それに、この時間では、空いている宿屋もあまり無いでしょう」
店員のムカつく態度にクロエは歯軋りをして、怒りを堪える。
「仕方ない・・・取り敢えず、今日は我慢しろ」
レオンは、溜息と共に首を横に振って諦めた。
レオンに命じられてしまえば、クロエは嫌でも我慢せざる得ない。
「丁重に扱えよ」
レオンが店員に念を押す。
「はい!我々の調教師が魔獣を管理しておりますので、安心してお預け下さい」
そう言うとレオンは店員に案内されて部屋へ行ってしまった。
(レオンだけ良い部屋に泊まってズルいんだから!)
「お前はこっちだ!」
体格の良い男がクロエの首輪にリードの様な紐を装着した。
「な、何すんのよ!?」
(嘘!?外せない)
「さっさとついて来い」
乱暴に首輪を紐で引かれたクロエは、何故か身体に力が入らず、逆らう事が出来ない。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
(これじゃあ、犬の散歩みたいじゃん!?)
男に無理矢理連れて行かれたのは、宿屋の裏手から出て、更に離れにある大きな古屋だった。
「ウッ・・・獣臭い」
動物園や農場で臭うような獣臭と糞尿が混ざった様な独特の臭いが漂っており、クロエは顔を顰める。
(古屋っていうか、家畜小屋じゃん!?)
古屋の中からは、獣の唸り声以外にも豚や牛などの鳴き声が混ざっており、家畜と一緒に世話をしている様だった。
「ここがお前の部屋だ」
そこは、薄汚い牢獄の様な部屋だった。
中にはベッドやテーブルも無く、床に藁が敷いてあるだけの家畜小屋だ。
「・・・嘘でしょ?」
「食事と飲み物は部屋に置いてあるから勝手に食え」
そう言い残すと、男は扉の鍵を閉めて行ってしまった。
「食事ってコレのこと?」
床に無造作に置かれていたのは、水が入った皮袋と硬いパンに干し肉だけだ。
「・・・不味い」
当然の様にお粗末な味な上に硬くて食べにくい。
水で流し込む様に飲み込んだクロエは、違和感に気がついた。
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