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第10話 パーティー
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朝早くから、クロエは街外れにある武器屋を訪れていた。
「やっぱり、冒険者と言えば魔物退治よね!」
触手型モンスターを倒した事で自信が付いたクロエは、魔物の討伐依頼を受ける為に、武器を調達する事にした。
「それにしても、武器っていっぱいあるのね」
棚には大剣や片手剣だけでなく、槍や弓矢に鎧や盾、怪しい仮面など、見たことも無い武具が数多く展示されていた。
また、武器以外にも、砥石や武器の手入れに使う薬品など様々な商品が並べられており、素人のクロエには、訳が分からない。
「こんな武器使い熟せたらカッコ良さそうね!」
目の前にあった巨大な戦斧に手を伸ばすと、柄を掴んで持ち上げようとする。
「ンンッ!」
しかし、クロエの身の丈より大きい戦斧は、重過ぎてビクともしない。
「・・・私にはサイズが合わなそうね」
仕方無く、その隣に置いてあった刀を手にしてみる。
「これなら、何とか・・・持ち上がる・・けど・・・ちょっと重いかしら?」
刃渡り60cmくらいの刀は、両手で何とか持ち上げる事は出来たが、クロエの腕はプルプルと震えており、到底、振り回す事など出来そうに無かった。
その後も、色々な武器を手に持って見たが、弓矢は弦を引けず、鎧も重くて身動きが取れなくなる始末で、真面に使えそうな武器はダガーナイフくらいしか無かった。
「ナイフか・・・こんなんで魔物と闘えるのかしら?」
武器のリーチが短いという事は、自ずと魔物との距離も近くなる。
魔物との戦闘経験が無いクロエにとって、リーチの短さはかなり不安が大きい。
「やっぱり、単独は危険よね?」
調べて分かった事だが、冒険者にはパーティー制度という仕組みが有るらしい。
パーティー制度とは、仲間と契約する事でパーティーを組み、共同で依頼を受注する仕組みだ。
報酬は頭数で割られるので、取り分は減ってしまうが、魔物討伐やダンジョン探索などにおいては、単独に比べて、死亡率は格段に低く、安全性が高いのが特徴だ。
「パーティーを組むなら、やっぱり女冒険者よね!」
パーティーは、危険なダンジョンや森の中で背中を預ける存在であると同時に何日も生活を共にする一種の運命共同体の様な存在だ。
当然、冒険者はトイレも風呂も無い野営生活をする事も少なく無いので、男女のパーティーでは、様々なトラブルが発生しやすい。
クロエも得体の知れない平民の男と一緒にパーティーを組めばどうなるかは分かっており、トラブルの少ない同性の冒険者を探す事にしていた。
「コイツが紹介できる唯一の女冒険者ユナだ」
冒険者ギルドは、パーティー制度の為の人材紹介も行なっており、受付の老人に頼んだら、早速女冒険者を紹介してくれた。
「アンタが私とパーティーを組みたいって?」
紹介されたユナは、エメラルドグリーンの瞳でジロジロと品定めするかの様にクロエの事を見て、鼻で笑った。
だが、同様にクロエもユナの姿をジロジロと見て、怪訝な表情を浮かべていた。
豊満な胸や美しい体型にも目を惹かれるが、何よりクロエの視線を奪ったのは、ユナの茶髪頭から生えている狼の耳とお尻から生やしたフサフサな茶色い尻尾だった。
「獣人?」
獣人は亜人種の一種であり、王都では、奴隷として扱われている事が多く、貴族令嬢だったクロエは、見た事は殆ど無かったので驚いていた。
また、獣人は気性が荒かったり、野生的で犯罪に手を染める者も多いので、パーティーを組むには少し不安はある。
しかし、受付の話では、ユナはこの街で唯一の女冒険者らしいので、背に腹は変えられない。
「仕方ないわね、私はクロエ、宜し」
渋々だが、クロエが右手を差し出して握手を求めようとした瞬間、ユナが小さな声で、しかし、クロエにハッキリ聴こえる様に呟いた。
「・・・随分と弱そうね」
「は?」
一瞬にして、場の空気が凍り付く。
ユナの見下した様な目付きから、こちらの事を舐めている事がありありと伝わって来た。
「何よ!せっかく私が仲間になってあげようとしてんのに喧嘩売ってるの?」
ユナに舐められた事が許せないクロエは、つい昔の癖で買い言葉を返してしまう。
「ニャハハ!喧嘩?アンタみたいな弱っちい奴がウチに勝てるわけ無いじゃん?」
ユナは腹を抱えて嘲笑う。
「アハハッ!ワンちゃんの癖に猫みたいな笑い方ね!」
負けじとクロエがユナの笑い方をバカにした瞬間、ユナの顔色が変わった。
「へぇ~・・・良いわ、アンタとパーティー組んであげる」
その瞳は獲物を見つけた獣の様にギラついており、凶悪な笑みを浮かべていた。
「は? パーティー組むの?」
今の流れで、パーティーが成立すると思っていなかったクロエは、予想外の返事に困惑する。
「ほら、申請書にサインしたからパーティー成立ね」
ユナはクロエが事前に準備していたパーティー申請書にサインをして、受付に提出した。
「ああ、確かに受理した」
受付の老人は、受け取った申請書を魔導具に読み込ませると、クロエとユナの冒険者証にパーティー情報を書き込んだ。
「・・・これでパーティー成立?」
パーティーを組む事を希望していたはずなのに、何故か不安が込み上げる。
「・・・ついてきな」
ユナは小さく呟くと、冒険者ギルドを出て行った。
「やっぱり、冒険者と言えば魔物退治よね!」
触手型モンスターを倒した事で自信が付いたクロエは、魔物の討伐依頼を受ける為に、武器を調達する事にした。
「それにしても、武器っていっぱいあるのね」
棚には大剣や片手剣だけでなく、槍や弓矢に鎧や盾、怪しい仮面など、見たことも無い武具が数多く展示されていた。
また、武器以外にも、砥石や武器の手入れに使う薬品など様々な商品が並べられており、素人のクロエには、訳が分からない。
「こんな武器使い熟せたらカッコ良さそうね!」
目の前にあった巨大な戦斧に手を伸ばすと、柄を掴んで持ち上げようとする。
「ンンッ!」
しかし、クロエの身の丈より大きい戦斧は、重過ぎてビクともしない。
「・・・私にはサイズが合わなそうね」
仕方無く、その隣に置いてあった刀を手にしてみる。
「これなら、何とか・・・持ち上がる・・けど・・・ちょっと重いかしら?」
刃渡り60cmくらいの刀は、両手で何とか持ち上げる事は出来たが、クロエの腕はプルプルと震えており、到底、振り回す事など出来そうに無かった。
その後も、色々な武器を手に持って見たが、弓矢は弦を引けず、鎧も重くて身動きが取れなくなる始末で、真面に使えそうな武器はダガーナイフくらいしか無かった。
「ナイフか・・・こんなんで魔物と闘えるのかしら?」
武器のリーチが短いという事は、自ずと魔物との距離も近くなる。
魔物との戦闘経験が無いクロエにとって、リーチの短さはかなり不安が大きい。
「やっぱり、単独は危険よね?」
調べて分かった事だが、冒険者にはパーティー制度という仕組みが有るらしい。
パーティー制度とは、仲間と契約する事でパーティーを組み、共同で依頼を受注する仕組みだ。
報酬は頭数で割られるので、取り分は減ってしまうが、魔物討伐やダンジョン探索などにおいては、単独に比べて、死亡率は格段に低く、安全性が高いのが特徴だ。
「パーティーを組むなら、やっぱり女冒険者よね!」
パーティーは、危険なダンジョンや森の中で背中を預ける存在であると同時に何日も生活を共にする一種の運命共同体の様な存在だ。
当然、冒険者はトイレも風呂も無い野営生活をする事も少なく無いので、男女のパーティーでは、様々なトラブルが発生しやすい。
クロエも得体の知れない平民の男と一緒にパーティーを組めばどうなるかは分かっており、トラブルの少ない同性の冒険者を探す事にしていた。
「コイツが紹介できる唯一の女冒険者ユナだ」
冒険者ギルドは、パーティー制度の為の人材紹介も行なっており、受付の老人に頼んだら、早速女冒険者を紹介してくれた。
「アンタが私とパーティーを組みたいって?」
紹介されたユナは、エメラルドグリーンの瞳でジロジロと品定めするかの様にクロエの事を見て、鼻で笑った。
だが、同様にクロエもユナの姿をジロジロと見て、怪訝な表情を浮かべていた。
豊満な胸や美しい体型にも目を惹かれるが、何よりクロエの視線を奪ったのは、ユナの茶髪頭から生えている狼の耳とお尻から生やしたフサフサな茶色い尻尾だった。
「獣人?」
獣人は亜人種の一種であり、王都では、奴隷として扱われている事が多く、貴族令嬢だったクロエは、見た事は殆ど無かったので驚いていた。
また、獣人は気性が荒かったり、野生的で犯罪に手を染める者も多いので、パーティーを組むには少し不安はある。
しかし、受付の話では、ユナはこの街で唯一の女冒険者らしいので、背に腹は変えられない。
「仕方ないわね、私はクロエ、宜し」
渋々だが、クロエが右手を差し出して握手を求めようとした瞬間、ユナが小さな声で、しかし、クロエにハッキリ聴こえる様に呟いた。
「・・・随分と弱そうね」
「は?」
一瞬にして、場の空気が凍り付く。
ユナの見下した様な目付きから、こちらの事を舐めている事がありありと伝わって来た。
「何よ!せっかく私が仲間になってあげようとしてんのに喧嘩売ってるの?」
ユナに舐められた事が許せないクロエは、つい昔の癖で買い言葉を返してしまう。
「ニャハハ!喧嘩?アンタみたいな弱っちい奴がウチに勝てるわけ無いじゃん?」
ユナは腹を抱えて嘲笑う。
「アハハッ!ワンちゃんの癖に猫みたいな笑い方ね!」
負けじとクロエがユナの笑い方をバカにした瞬間、ユナの顔色が変わった。
「へぇ~・・・良いわ、アンタとパーティー組んであげる」
その瞳は獲物を見つけた獣の様にギラついており、凶悪な笑みを浮かべていた。
「は? パーティー組むの?」
今の流れで、パーティーが成立すると思っていなかったクロエは、予想外の返事に困惑する。
「ほら、申請書にサインしたからパーティー成立ね」
ユナはクロエが事前に準備していたパーティー申請書にサインをして、受付に提出した。
「ああ、確かに受理した」
受付の老人は、受け取った申請書を魔導具に読み込ませると、クロエとユナの冒険者証にパーティー情報を書き込んだ。
「・・・これでパーティー成立?」
パーティーを組む事を希望していたはずなのに、何故か不安が込み上げる。
「・・・ついてきな」
ユナは小さく呟くと、冒険者ギルドを出て行った。
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