48 / 70
第3章 魔法大学ザザン
第48話 異世界の扉
しおりを挟む
そこは、白い空間だった。
上も下もなく、ただ永遠のように続く、白い世界。
前に来た時と、一寸違わぬ、同じ光景。
「はあ、また、ここから始まるのか。」
レンは辺りを一瞥し、ため息をついた。
「ここから、どうやって帰れば良いんだろうか? 神と呼ばれている存在ですら、分からないというのに……。」
孤独と不安が胸に広がる。
短い時間とはいえ、ミーナたちと共に過ごしたことで、孤独を感じることはなかった。
「……また、一人になってしまった。」
レンは目を閉じ、フォースを限界まで拡大する。
可能な限り、白い空間の奥を探った。
……何もなかった。
周囲約500キロを探ったが、何の気配も感じられない。
「……ここには、何も無い。 やはり、また、あれをやるしかないのか。」
レンは右手にフォースを込める。
そして、手をゆっくりと前に出して、壁を押した。
ビキッ……ビキッ……
空間に亀裂が入り、隙間から暗い闇が垣間見える。
足が震えた。
(また次も、違う世界に繋がっていたら……俺には、帰る手段が無くなってしまう。)
永遠に、違う世界を漂流することになるかもしれない。
「お願いだ、通じてくれ……。」
息をのみ、強く願う。
元の世界に戻れることを——。
そして、再び暗い闇の中へと消えた。
◆魔法都市ザザン
ビキッ——ビキッ——
白い世界が音を立てて砕け、闇の中を突き抜けた瞬間、冷たい空気が肌を撫でた。
——そこは、広大な魔法大学だった。
見上げると、壮大な石造りの塔がそびえ立っている。
六つの塔が六角形を描き、その中心には、一際大きな塔がそびえていた。
(……城か? いや、違う。これは……学舎?)
重厚な造りと威厳ある建築。
古くとも荘厳な雰囲気を放つその場所は、まるで知識の殿堂のようだった。
足元の感触は硬い大理石。
床には精密な魔法陣のような装飾が施され、そこから微かに魔力が漂っていた。
レンはしばらく周囲を見回し、塔の中心へと足を踏み入れた。
この場所に漂う魔力の濃度は異常だ。
ただの城や宮殿ではない。
(……ここは何なんだ?)
と、その時——
「……侵入者?」
鋭い声が響いた。
レンが振り返ると、部屋の奥にいたのは二人の人物だった。
一人は長い白髪を持つ老人。
落ち着いた雰囲気を纏いながらも、その瞳の奥には鋭い知性が光っている。
青い瞳には、細かい魔法陣のような紋章が浮かんでいた。
もう一人は金髪の若い女性。
威圧的な視線を向け、即座に詠唱を開始しようとしていた。
「学長、私が排除しましょうか?」
金髪の女性が短く問いかける。
「待て、カーシャ。」
老人が片手を挙げ、それを制した。
「面白い……お主、どこから現れた?」
レンは眉をひそめる。
この老人——ただ者ではない。
(学長……?)
先ほどの女性の発言から察するに、この老人はこの場所の最高責任者らしい。
ならば、ここは……
レンは再び周囲を見回し、あることに気がついた。
壁の随所に刻まれた紋章——それは歴史上の偉大な魔導士たちの名を刻んだものだった。
「ザザン魔法大学」
歴史ある学舎の名。
世界中の貴族や王族の子供から、大魔法使いや賢者と呼ばれる者たちまでがここで学ぶという、名門中の名門。
コネや権力による入学は許されず、純粋な実力のみが評価される。
(……そんな場所に、俺は飛び込んだのか。)
少し息をついた瞬間、学長がニヤリと笑った。
「ほう、面白いのぉ……。」
「……?」
「お主が何者か、何となく分かってきたぞ。」
学長は椅子に戻り、ゆっくりと腰を下ろした。
高級なレザーの椅子。
体を深く沈めながら、満足げに息を吐く。
「まあ、お主も座るがよい。」
クラウスと名乗るその老人は、豪華な毛皮のソファーをレンに勧めた。
「話をしようじゃないか。異世界から来た者よ。」
レンは警戒しつつも、ソファーに腰を下ろした。
(……さて、どう出るか。)
こうして、レンの新たな世界での物語が始まるのだった。
上も下もなく、ただ永遠のように続く、白い世界。
前に来た時と、一寸違わぬ、同じ光景。
「はあ、また、ここから始まるのか。」
レンは辺りを一瞥し、ため息をついた。
「ここから、どうやって帰れば良いんだろうか? 神と呼ばれている存在ですら、分からないというのに……。」
孤独と不安が胸に広がる。
短い時間とはいえ、ミーナたちと共に過ごしたことで、孤独を感じることはなかった。
「……また、一人になってしまった。」
レンは目を閉じ、フォースを限界まで拡大する。
可能な限り、白い空間の奥を探った。
……何もなかった。
周囲約500キロを探ったが、何の気配も感じられない。
「……ここには、何も無い。 やはり、また、あれをやるしかないのか。」
レンは右手にフォースを込める。
そして、手をゆっくりと前に出して、壁を押した。
ビキッ……ビキッ……
空間に亀裂が入り、隙間から暗い闇が垣間見える。
足が震えた。
(また次も、違う世界に繋がっていたら……俺には、帰る手段が無くなってしまう。)
永遠に、違う世界を漂流することになるかもしれない。
「お願いだ、通じてくれ……。」
息をのみ、強く願う。
元の世界に戻れることを——。
そして、再び暗い闇の中へと消えた。
◆魔法都市ザザン
ビキッ——ビキッ——
白い世界が音を立てて砕け、闇の中を突き抜けた瞬間、冷たい空気が肌を撫でた。
——そこは、広大な魔法大学だった。
見上げると、壮大な石造りの塔がそびえ立っている。
六つの塔が六角形を描き、その中心には、一際大きな塔がそびえていた。
(……城か? いや、違う。これは……学舎?)
重厚な造りと威厳ある建築。
古くとも荘厳な雰囲気を放つその場所は、まるで知識の殿堂のようだった。
足元の感触は硬い大理石。
床には精密な魔法陣のような装飾が施され、そこから微かに魔力が漂っていた。
レンはしばらく周囲を見回し、塔の中心へと足を踏み入れた。
この場所に漂う魔力の濃度は異常だ。
ただの城や宮殿ではない。
(……ここは何なんだ?)
と、その時——
「……侵入者?」
鋭い声が響いた。
レンが振り返ると、部屋の奥にいたのは二人の人物だった。
一人は長い白髪を持つ老人。
落ち着いた雰囲気を纏いながらも、その瞳の奥には鋭い知性が光っている。
青い瞳には、細かい魔法陣のような紋章が浮かんでいた。
もう一人は金髪の若い女性。
威圧的な視線を向け、即座に詠唱を開始しようとしていた。
「学長、私が排除しましょうか?」
金髪の女性が短く問いかける。
「待て、カーシャ。」
老人が片手を挙げ、それを制した。
「面白い……お主、どこから現れた?」
レンは眉をひそめる。
この老人——ただ者ではない。
(学長……?)
先ほどの女性の発言から察するに、この老人はこの場所の最高責任者らしい。
ならば、ここは……
レンは再び周囲を見回し、あることに気がついた。
壁の随所に刻まれた紋章——それは歴史上の偉大な魔導士たちの名を刻んだものだった。
「ザザン魔法大学」
歴史ある学舎の名。
世界中の貴族や王族の子供から、大魔法使いや賢者と呼ばれる者たちまでがここで学ぶという、名門中の名門。
コネや権力による入学は許されず、純粋な実力のみが評価される。
(……そんな場所に、俺は飛び込んだのか。)
少し息をついた瞬間、学長がニヤリと笑った。
「ほう、面白いのぉ……。」
「……?」
「お主が何者か、何となく分かってきたぞ。」
学長は椅子に戻り、ゆっくりと腰を下ろした。
高級なレザーの椅子。
体を深く沈めながら、満足げに息を吐く。
「まあ、お主も座るがよい。」
クラウスと名乗るその老人は、豪華な毛皮のソファーをレンに勧めた。
「話をしようじゃないか。異世界から来た者よ。」
レンは警戒しつつも、ソファーに腰を下ろした。
(……さて、どう出るか。)
こうして、レンの新たな世界での物語が始まるのだった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる