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第3章 魔法大学ザザン
第56話 女子寮という名の試練
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ハルカと話していると、妙に落ち着く。
日本人に近い顔立ちだからか、それとも彼女の人懐っこさがそうさせるのか。
擬似的ではあるが、日本に帰ってきたような感覚さえ覚えた。
「どんどん甘えていいよ! じゃあ、まずは中央塔ね! ついてきて!」
ハルカは、俺の手を自然に握り、軽く引っ張る。
その手は小さくて、温かい。
人肌を感じるのは、随分久しぶりだ。……これじゃ、まるでデートみたいじゃないか。
(異世界に来て、帰る術もない状況で、俺は何をやっているんだろう……)
思わず自嘲する。
でも、彼女が俺を同郷の生存者だと思ってくれている以上、この嘘は突き通さなければならない。
俺が本当はジール大陸の出身ではないと知ったら、彼女はどんな顔をするんだろう。
悲しむのか、それとも怒るのか。
そんなことを考えたくもないから、余計なことは考えずに、俺は彼女についていくことにした。
中央塔 – 魔法大学の心臓部
中央塔は思ったよりも近く、あっさり到着した。
よくよく見れば、俺が最初に目覚めた塔だった。
「意外と大きいんだな……」
俺は、見上げながら呟く。
前の世界で見たギースの塔ほどではないが、それでも十分に巨大な建造物だった。
「この中央塔は『賢者の頂き』と呼ばれていて、この都市の中でも最も高い建物なのよ。」
「……賢者の頂き……?」
その言葉に、嫌な記憶が呼び起こされる。
あの塔の頂上で出会った、あの『存在』のことを思い出し、思わず顔が引き攣った。
塔の内部は広く、等間隔に太い柱が並び、開放感のある空間が広がっていた。
所々に長椅子が置かれ、学生たちの休憩スペースにもなっている。
中央には、ガラス張りのエレベーターらしき装置があり、ハルカが説明してくれた。
「これは魔力で動く魔道具なの。5階以上に行く時に使えるのよ。」
なるほど、便利なものだ。
とはいえ、俺たちが向かうのは2階。
階段を上っていくことにした。
入学手続きと衝撃の事実
階段を上がると、木造のカウンターが横長に設置され、その向こう側では職員たちが忙しそうに働いていた。
俺は、一番手前のカウンターに立ち、書類を抱えた金髪の女性職員に声をかけた。
「あのぉ、すみません。今日、入試試験を受けたレンと申しますが、入学手続きをするように、ロッジ先生に言われて来ました。」
「あ! 君がレン君ね! 話は聞いてるわ! 全く、こんな忙しい日に入学手続きなんて、大変だったんだからね!」
金髪の女性職員は、口早に言いながら、用紙3枚とペンを渡してきた。
若干イライラしている雰囲気だったため、それ以上は何も言わず、素直に用紙を受け取った。
(さて、書くか……)
俺は台の上に用紙を置いて内容を確認する。
「……読めない。」
用紙に書かれているのは、完全に未知の文字だった。
日本語でも英語でもない、見たことのない象形文字のような記号。
例えるなら、楔形文字とアラビア文字の中間……つまり、読めるわけがない。
「え? まさか、レンは……読み書きができないの?」
ハルカが驚いた顔で俺を見た。
「う……うん。」
ここで見栄を張っても仕方がない。
読めないものは読めないのだ。
「……苦労してきたんだね。……大丈夫! 私が教えてあげるから! 頑張ろ!」
ハルカは目に涙を浮かべながら、憐れむような視線を向けてくる。
……正直、その目がちょっときつい。
「……うん。」
(年下の女の子に読み書きを教えてもらうって、なんか情けないな……。)
「じゃあ、今日は私が代わりに書いてあげるね! 質問するから答えて!」
ハルカはなぜか嬉しそうにペンを持ち、俺の方を見た。
寮問題 – 俺の学園生活、詰んだ?
書類を提出し、5分ほど待った後、再び金髪の女性に呼ばれた。
「はい、レンさん、合格おめでとうございます。書類は全て揃っていました。これが学生証と徽章、そして学生手帳になります。」
俺は、蒼色の学生証と六角形の金色の徽章、そして小さな手帳を受け取る。
徽章はローブの襟に取り付けた。
(よし、これで正式に魔法大学の生徒になれた……が。)
俺にはまだ解決しなければならない問題があった。
「ところで、学生寮の件なんですが……」
俺は、女子寮に案内されたことを説明し、部屋の変更を申し出た。
「え? あら、そうだったの? 美味しい思いができてよかったんじゃない? フフフ」
金髪の女性職員がニヤリと笑いながら俺を見る。
「いやいや! そんなわけないでしょ!? 変な誤解を生むようなこと言わないでください!」
「まぁ冗談よ。でもねぇ、今のところ空き部屋が一つもないのよ。」
「……は?」
「それに、規則を確認したけど、もともと男女の寮を分ける正式な決まりはないみたいなの。たまたま今までの慣習でそうなっていただけで。」
「……つまり?」
「このまま女子寮に住んでも問題ないってことね!」
(え……?)
「いっそ、男女の壁を壊すいい機会じゃない? 毎日がハーレム生活よ! うふふ!」
(いやいや、そんなことになったら命がいくつあっても足りないぞ!?)
横を見ると、ハルカがムスッとした顔で俺を睨んでいた。
「……大丈夫、レンは私が守ってあげるから!」
「……え? いや、でも、そもそも部屋が――」
「守るから!!」
ハルカの迫力に押され、俺はそれ以上何も言えなかった。
試練の女子寮へ……
その後、ハルカに学内を案内してもらい、すっかり日が暮れた。
俺たちは、女子寮の前に立っていた。
中からは、遊び帰りの女子たちの賑やかな声が聞こえてくる。
俺は、頬から一筋の汗が垂れるのを感じた。
「だ、大丈夫よ! レンは私が守ってあげるから!」
ハルカが健気に、元気づけてくれる。
「う、うん。」
俺は意を決して、一歩を踏み出した。
(……頼む、誰にも見つかりませんように……!)
こうして、俺の”試練の女子寮生活”が始まるのだった――。
日本人に近い顔立ちだからか、それとも彼女の人懐っこさがそうさせるのか。
擬似的ではあるが、日本に帰ってきたような感覚さえ覚えた。
「どんどん甘えていいよ! じゃあ、まずは中央塔ね! ついてきて!」
ハルカは、俺の手を自然に握り、軽く引っ張る。
その手は小さくて、温かい。
人肌を感じるのは、随分久しぶりだ。……これじゃ、まるでデートみたいじゃないか。
(異世界に来て、帰る術もない状況で、俺は何をやっているんだろう……)
思わず自嘲する。
でも、彼女が俺を同郷の生存者だと思ってくれている以上、この嘘は突き通さなければならない。
俺が本当はジール大陸の出身ではないと知ったら、彼女はどんな顔をするんだろう。
悲しむのか、それとも怒るのか。
そんなことを考えたくもないから、余計なことは考えずに、俺は彼女についていくことにした。
中央塔 – 魔法大学の心臓部
中央塔は思ったよりも近く、あっさり到着した。
よくよく見れば、俺が最初に目覚めた塔だった。
「意外と大きいんだな……」
俺は、見上げながら呟く。
前の世界で見たギースの塔ほどではないが、それでも十分に巨大な建造物だった。
「この中央塔は『賢者の頂き』と呼ばれていて、この都市の中でも最も高い建物なのよ。」
「……賢者の頂き……?」
その言葉に、嫌な記憶が呼び起こされる。
あの塔の頂上で出会った、あの『存在』のことを思い出し、思わず顔が引き攣った。
塔の内部は広く、等間隔に太い柱が並び、開放感のある空間が広がっていた。
所々に長椅子が置かれ、学生たちの休憩スペースにもなっている。
中央には、ガラス張りのエレベーターらしき装置があり、ハルカが説明してくれた。
「これは魔力で動く魔道具なの。5階以上に行く時に使えるのよ。」
なるほど、便利なものだ。
とはいえ、俺たちが向かうのは2階。
階段を上っていくことにした。
入学手続きと衝撃の事実
階段を上がると、木造のカウンターが横長に設置され、その向こう側では職員たちが忙しそうに働いていた。
俺は、一番手前のカウンターに立ち、書類を抱えた金髪の女性職員に声をかけた。
「あのぉ、すみません。今日、入試試験を受けたレンと申しますが、入学手続きをするように、ロッジ先生に言われて来ました。」
「あ! 君がレン君ね! 話は聞いてるわ! 全く、こんな忙しい日に入学手続きなんて、大変だったんだからね!」
金髪の女性職員は、口早に言いながら、用紙3枚とペンを渡してきた。
若干イライラしている雰囲気だったため、それ以上は何も言わず、素直に用紙を受け取った。
(さて、書くか……)
俺は台の上に用紙を置いて内容を確認する。
「……読めない。」
用紙に書かれているのは、完全に未知の文字だった。
日本語でも英語でもない、見たことのない象形文字のような記号。
例えるなら、楔形文字とアラビア文字の中間……つまり、読めるわけがない。
「え? まさか、レンは……読み書きができないの?」
ハルカが驚いた顔で俺を見た。
「う……うん。」
ここで見栄を張っても仕方がない。
読めないものは読めないのだ。
「……苦労してきたんだね。……大丈夫! 私が教えてあげるから! 頑張ろ!」
ハルカは目に涙を浮かべながら、憐れむような視線を向けてくる。
……正直、その目がちょっときつい。
「……うん。」
(年下の女の子に読み書きを教えてもらうって、なんか情けないな……。)
「じゃあ、今日は私が代わりに書いてあげるね! 質問するから答えて!」
ハルカはなぜか嬉しそうにペンを持ち、俺の方を見た。
寮問題 – 俺の学園生活、詰んだ?
書類を提出し、5分ほど待った後、再び金髪の女性に呼ばれた。
「はい、レンさん、合格おめでとうございます。書類は全て揃っていました。これが学生証と徽章、そして学生手帳になります。」
俺は、蒼色の学生証と六角形の金色の徽章、そして小さな手帳を受け取る。
徽章はローブの襟に取り付けた。
(よし、これで正式に魔法大学の生徒になれた……が。)
俺にはまだ解決しなければならない問題があった。
「ところで、学生寮の件なんですが……」
俺は、女子寮に案内されたことを説明し、部屋の変更を申し出た。
「え? あら、そうだったの? 美味しい思いができてよかったんじゃない? フフフ」
金髪の女性職員がニヤリと笑いながら俺を見る。
「いやいや! そんなわけないでしょ!? 変な誤解を生むようなこと言わないでください!」
「まぁ冗談よ。でもねぇ、今のところ空き部屋が一つもないのよ。」
「……は?」
「それに、規則を確認したけど、もともと男女の寮を分ける正式な決まりはないみたいなの。たまたま今までの慣習でそうなっていただけで。」
「……つまり?」
「このまま女子寮に住んでも問題ないってことね!」
(え……?)
「いっそ、男女の壁を壊すいい機会じゃない? 毎日がハーレム生活よ! うふふ!」
(いやいや、そんなことになったら命がいくつあっても足りないぞ!?)
横を見ると、ハルカがムスッとした顔で俺を睨んでいた。
「……大丈夫、レンは私が守ってあげるから!」
「……え? いや、でも、そもそも部屋が――」
「守るから!!」
ハルカの迫力に押され、俺はそれ以上何も言えなかった。
試練の女子寮へ……
その後、ハルカに学内を案内してもらい、すっかり日が暮れた。
俺たちは、女子寮の前に立っていた。
中からは、遊び帰りの女子たちの賑やかな声が聞こえてくる。
俺は、頬から一筋の汗が垂れるのを感じた。
「だ、大丈夫よ! レンは私が守ってあげるから!」
ハルカが健気に、元気づけてくれる。
「う、うん。」
俺は意を決して、一歩を踏み出した。
(……頼む、誰にも見つかりませんように……!)
こうして、俺の”試練の女子寮生活”が始まるのだった――。
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