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幸せ
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暗い東京の道は不気味だった。
普段、夜中でも多くの人が往来している街道も今は誰もいない。
3人の男女は、20分程歩き、都内のマンションの一階、その一番奥の扉の前に着いた。
「ここがレン君の家か~、良いマンションだね!」
キョンちゃんがワクワクした表情を浮かべながら俺が扉の鍵を開けるのを待っていた。
「ちょっと、ドアの高さが低いけどねぇ~」
黙れ筋肉!お前が規格外過ぎるんだ!
俺は、扉の鍵を開け、ドアノブを回す。
「そんないい部屋じゃないけど、どうぞ」
「「お邪魔しまーす!」」
二人が、俺の後に続いて扉の中に入っていった。
部屋に入ると、室内は暗い。
電気のスイッチを入れると、電気が付いた。
このマンションの地下には、自家発電機が置いてあるため、電気の供給が無くても、しばらくは大丈夫だ。
部屋の明かりで、主人の帰宅に気付いた2匹の愛猫達が、ニャアニャアと鳴きながらすり寄ってきた。
俺は、愛猫達の顔を見て、安堵感が込み上げてきた。
二匹を抱き寄せ、その温もりを思いっきり感じる。
「キャア!!可愛い!!レン君って猫飼ってたの!?私にも触らせて~」
キョンちゃんが、愛猫達に負けず劣らず可愛い顔で、愛猫達に頬をすり寄せる。
う、羨ましいぞ!!お前達!俺と変われ!
「キョンちゃんずるい~!私にも触らせて~!」
筋肉が、凄い形相で、俺の愛猫達に近づいて行く。
「ニャア!!」
愛猫達は、華麗に筋肉の腕を躱して、ベッドに避難した。
さすがだ。
「もお~、どうして逃げるの~??」
「アハハ!さおりん、もっと優しく近づかないと、猫が怖がっちゃうよ?」
「そっか!!・・・ニャンコちゃん達、何もしないから、こっちに来なさい~」
筋肉がニヤリと笑った。
怖い!まるでオーガが獲物を喰らうような表情だ。
二匹の愛猫達は、毛を逆立てて怯えていた。
「まぁ、二人とも適当に座ってくれよ。お腹減っているだろ?何か作るよ」
「本当に??レン君料理できるの!?」
「こう見えて、料理は得意なんだぜ?まあ、食べてからのお楽しみだな」
そう言うと俺は、キッチンへ行く。
レン君の部屋に入ると、レン君の香りがした。
部屋の中では、2匹の可愛い猫が出迎えてくれた。
レン君にすり寄っていく姿を見れば、愛されている事がよくわかった。
ちょっと羨ましい。
レン君が料理を作ってくれると言って、キッチンに向かったので、私は、ソファーに腰掛けて、待つことにした。
ソファーに腰掛けると、直ぐに黒い方の猫が、私の膝の上に乗ってきた。
猫を撫でながら、ゆっくり部屋を見渡すと、思っていたよりも広い。
全体的に黒を基調としていて、小奇麗にまとまっていた。
ただ、気になったのは、生活感が感じられないという事だった。
機能的というか、無駄な物が一切ないため、レン君の感情や趣味といった遊び心が無い。
部屋の奥には大きなベッドがあり、その横には、黒いデスクとPCがあった。
黒いソファーの前には、大きな木の平机があり、壁際の本棚には、ぎっしりと本が置かれていた。
本棚には、税務や会計、プログラミングの本等の他にフォースの研究書関連の本もいっぱい置いてある。
興味があるのかな?
どの本も、草臥れており、しっかりと読み込まれている事が分かった。
知識は何もないところからは、生まれないんだ。
こういう努力があるから、ああやって、何でも知っているように仕事をできるんだなと感心する。
ふと、さおりんの方を見ると、ベッドの下を覗き込んでいた。
「さ、さおりん・・・何してるの?」
恐る恐る私が聞く。
「何って、エロ本チェックに決まっているじゃない!」
「ブフゥッ!!!!だ、ダメだよ!そんなことしちゃ!レン君がかわいそうだよ。」
思わず吹き出してしまった。
「だって、気にならない?レン君がどんな人がタイプか、それにレン君の嗜好も分かるかも知れないしね!ウフフ!」
さおりんが悪い顔で笑っている。
でも・・・確かに気になってしまった。
「もう、さおりんったら!」
私は、注意しながらも、少しワクワクしながら、さおりんがベッドの下を荒らすのを見ていた。
「う~ん、残念だけど、なさそうねぇ~本棚にも無さそうだし、やっぱりパソコンかしら・・・」
さおりんが、ジッとレン君のパソコンを見つめている。
ちょっと怖い。
このまま放っておいたら、本当にパソコンを点けかねない顔だ。
でも、これ以上は、やりすぎ。
ちょっと残念だけど、さおりんを止める。
「ダメよ。さおりん!きっと、レン君は、そういうの見ないんだよ!」
「そんな訳ないでしょ!?男の子は皆、女性に興味があるのよ!!じゃないと、健全じゃないわ!・・・・・は!?もしかして、ゲイ!?・・・・それはそれでいいかも!ぐふふ」
さおりんが段々と遠い世界に行っている。
そんな事をしているうちに、キッチンから良い香りと共に、レン君が来た。
「お待たせ!出来たよ」
「「わぁ、美味しそう!!」」
平机の上に、次々と料理が並べられていく。
チンジャオロースに麻婆豆腐とエビチリが並び、卵スープとごはん、ポテトサラダが並んだ。
凄すぎて、感動する。
「美味しいワインと日本酒もあるから、皆で呑もう!どっちがいい?」
「嬉しい!私は、ワインが良いなぁ」
「私はぁ~日本酒がいいわぁ!熱燗でお願いね」
「オッケー!き・・吉田さん、渋いね!俺も熱燗で飲もうかな」
レン君の料理はとてもおいしくて、ご飯が進んだ。
体育館で出された非常食は、無味で不安のせいもあり、全然食べなかった。
やっと、生きている事が実感できた気がする。
お酒も進み、盛り上がったが、皆疲れていたようで、いつの間にか、皆眠ってしまった。
こんな、非常事態なのに、とても楽しい一時だった。
ずっと、こんな毎日が続けば良いのに・・・瞼が重くなり、ゆっくりと意識を手放していった。
普段、夜中でも多くの人が往来している街道も今は誰もいない。
3人の男女は、20分程歩き、都内のマンションの一階、その一番奥の扉の前に着いた。
「ここがレン君の家か~、良いマンションだね!」
キョンちゃんがワクワクした表情を浮かべながら俺が扉の鍵を開けるのを待っていた。
「ちょっと、ドアの高さが低いけどねぇ~」
黙れ筋肉!お前が規格外過ぎるんだ!
俺は、扉の鍵を開け、ドアノブを回す。
「そんないい部屋じゃないけど、どうぞ」
「「お邪魔しまーす!」」
二人が、俺の後に続いて扉の中に入っていった。
部屋に入ると、室内は暗い。
電気のスイッチを入れると、電気が付いた。
このマンションの地下には、自家発電機が置いてあるため、電気の供給が無くても、しばらくは大丈夫だ。
部屋の明かりで、主人の帰宅に気付いた2匹の愛猫達が、ニャアニャアと鳴きながらすり寄ってきた。
俺は、愛猫達の顔を見て、安堵感が込み上げてきた。
二匹を抱き寄せ、その温もりを思いっきり感じる。
「キャア!!可愛い!!レン君って猫飼ってたの!?私にも触らせて~」
キョンちゃんが、愛猫達に負けず劣らず可愛い顔で、愛猫達に頬をすり寄せる。
う、羨ましいぞ!!お前達!俺と変われ!
「キョンちゃんずるい~!私にも触らせて~!」
筋肉が、凄い形相で、俺の愛猫達に近づいて行く。
「ニャア!!」
愛猫達は、華麗に筋肉の腕を躱して、ベッドに避難した。
さすがだ。
「もお~、どうして逃げるの~??」
「アハハ!さおりん、もっと優しく近づかないと、猫が怖がっちゃうよ?」
「そっか!!・・・ニャンコちゃん達、何もしないから、こっちに来なさい~」
筋肉がニヤリと笑った。
怖い!まるでオーガが獲物を喰らうような表情だ。
二匹の愛猫達は、毛を逆立てて怯えていた。
「まぁ、二人とも適当に座ってくれよ。お腹減っているだろ?何か作るよ」
「本当に??レン君料理できるの!?」
「こう見えて、料理は得意なんだぜ?まあ、食べてからのお楽しみだな」
そう言うと俺は、キッチンへ行く。
レン君の部屋に入ると、レン君の香りがした。
部屋の中では、2匹の可愛い猫が出迎えてくれた。
レン君にすり寄っていく姿を見れば、愛されている事がよくわかった。
ちょっと羨ましい。
レン君が料理を作ってくれると言って、キッチンに向かったので、私は、ソファーに腰掛けて、待つことにした。
ソファーに腰掛けると、直ぐに黒い方の猫が、私の膝の上に乗ってきた。
猫を撫でながら、ゆっくり部屋を見渡すと、思っていたよりも広い。
全体的に黒を基調としていて、小奇麗にまとまっていた。
ただ、気になったのは、生活感が感じられないという事だった。
機能的というか、無駄な物が一切ないため、レン君の感情や趣味といった遊び心が無い。
部屋の奥には大きなベッドがあり、その横には、黒いデスクとPCがあった。
黒いソファーの前には、大きな木の平机があり、壁際の本棚には、ぎっしりと本が置かれていた。
本棚には、税務や会計、プログラミングの本等の他にフォースの研究書関連の本もいっぱい置いてある。
興味があるのかな?
どの本も、草臥れており、しっかりと読み込まれている事が分かった。
知識は何もないところからは、生まれないんだ。
こういう努力があるから、ああやって、何でも知っているように仕事をできるんだなと感心する。
ふと、さおりんの方を見ると、ベッドの下を覗き込んでいた。
「さ、さおりん・・・何してるの?」
恐る恐る私が聞く。
「何って、エロ本チェックに決まっているじゃない!」
「ブフゥッ!!!!だ、ダメだよ!そんなことしちゃ!レン君がかわいそうだよ。」
思わず吹き出してしまった。
「だって、気にならない?レン君がどんな人がタイプか、それにレン君の嗜好も分かるかも知れないしね!ウフフ!」
さおりんが悪い顔で笑っている。
でも・・・確かに気になってしまった。
「もう、さおりんったら!」
私は、注意しながらも、少しワクワクしながら、さおりんがベッドの下を荒らすのを見ていた。
「う~ん、残念だけど、なさそうねぇ~本棚にも無さそうだし、やっぱりパソコンかしら・・・」
さおりんが、ジッとレン君のパソコンを見つめている。
ちょっと怖い。
このまま放っておいたら、本当にパソコンを点けかねない顔だ。
でも、これ以上は、やりすぎ。
ちょっと残念だけど、さおりんを止める。
「ダメよ。さおりん!きっと、レン君は、そういうの見ないんだよ!」
「そんな訳ないでしょ!?男の子は皆、女性に興味があるのよ!!じゃないと、健全じゃないわ!・・・・・は!?もしかして、ゲイ!?・・・・それはそれでいいかも!ぐふふ」
さおりんが段々と遠い世界に行っている。
そんな事をしているうちに、キッチンから良い香りと共に、レン君が来た。
「お待たせ!出来たよ」
「「わぁ、美味しそう!!」」
平机の上に、次々と料理が並べられていく。
チンジャオロースに麻婆豆腐とエビチリが並び、卵スープとごはん、ポテトサラダが並んだ。
凄すぎて、感動する。
「美味しいワインと日本酒もあるから、皆で呑もう!どっちがいい?」
「嬉しい!私は、ワインが良いなぁ」
「私はぁ~日本酒がいいわぁ!熱燗でお願いね」
「オッケー!き・・吉田さん、渋いね!俺も熱燗で飲もうかな」
レン君の料理はとてもおいしくて、ご飯が進んだ。
体育館で出された非常食は、無味で不安のせいもあり、全然食べなかった。
やっと、生きている事が実感できた気がする。
お酒も進み、盛り上がったが、皆疲れていたようで、いつの間にか、皆眠ってしまった。
こんな、非常事態なのに、とても楽しい一時だった。
ずっと、こんな毎日が続けば良いのに・・・瞼が重くなり、ゆっくりと意識を手放していった。
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