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壁を壊す者
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張り詰めた空気が、ピリピリと肌を刺激する。
朱い瞳と黒い瞳が交差する中、2人はジッと止まっていた。
まるで、その瞬間、時間を切り取ったかの様に静止していた。
最初に動いたのは、少年だった。
少年が、白く細い右手を上げた瞬間、空中に白銀の剣が5本出現する。
次の瞬間、剣は一斉に、俺に向かって発射された。
ガキン!
しかし、剣は、俺の前に現れた黒い壁によって防がれた。
絶対空間を発動し、油断なく白い髪の少年を見る。
「へぇ、面白い力だね。物体を具現化してる?・・・いや、違うな、空間を隔絶したのか?じゃあ、これはどうかな?」
少年が、両手を広げると、俺を取り囲む様に、部屋いっぱいに白銀の剣が出現した。
その数は千は下らない。
そして、流星の如く放たれる。
しかし、その全てが、俺に触れる前に空中で静止した。
「凄いなぁ、今度は、空間を凍結させたのかい?・・・人間の分を超えた、凄い力だ。でも・・・」
次の瞬間、左腕に焼ける様な痛みが走った。
「痛!」
左腕を見ると、白銀の剣が、深々と突き刺さっていた。
腕を通して、指先から血が床に滴り落ちる。
「な、何!?」
な、何が起きた?
いや、俺は確かに認識していた。
俺の左腕の直ぐ前に剣が出現したのを。
「・・・ゼロ距離攻撃か?」
俺の言葉に、少年は笑みを浮かべる。
「何だ、もう分かったのかい?もう少し驚くと思ったんだけどなぁ。そうだよ。僕は、この塔の中では、何でも思い通りにできるんだ。だから、君に触れた状態で、剣を具現化した。流石の君も、ゼロ距離で攻撃されたら防御も間に合わないだろ?」
その指摘は正しかった。
通常の攻撃であれば、フォースシールドが防いでくれる。
しかし、同等以上の力を持つ存在の前では、余りに薄い盾だ。
そして、いくら俺の導体視力が良いとは言え、ゼロ距離の攻撃に対応出来るほど、人間離れしてはいない。
俺は、即座に剣を引き抜き、床に放り投げる。
傷口から、大量の血が流れ出た。
本来であれば、剣を抜くのは、馬鹿のする事だ。
しかし・・・。
ボンッ!
床に落ちた剣は、突如爆発して消える。
背筋がゾッとした。
あのまま、刺さっていたら、腕が吹き飛んでいただろう。
「よくわかったね!後、一秒遅かったら、その腕が無くなっていたのに、惜しいなぁ」
少年は、意地悪そうな笑顔を造る。
このまま、防戦はマズイ!
俺は、即座に前に出る。
一瞬にして、少年の眼前に迫り、拳を突き出した。
無防備な少年の顔面へと、俺の拳が当たると思われた時・・・俺の拳は止まった。
躊躇ってしまった。
人間の子供の容姿をした敵を、殴る事が出来なかった。
・・・自分の拳の威力を知っているからこその躊躇だった
少年が笑った瞬間、俺は膝を着く。
全身に凄まじい重みを感じた。
息も苦しい。
「な、何をしたんだ?」
「君のいる場所の重力を5倍にしたんだよ。次は10倍だ。これで、君の体重は、800kg近くになるのかな?」
「重力を操るだと!?」
俺は、全身に纏うフォースを強め、力任せに立ち上がった。
骨が軋み、筋肉が悲鳴をあげる。
「凄いね。この重力の中で立ち上がれるんだ。じゃあ・・・100倍だ。カエル見たいに潰れちゃいなよ」
俺は、凄まじい力で押し潰されて、地べたに這いつくばる。
「カハァ!」
肺が押し潰されて、息を全て吐き出した。
・・・背骨が、ミシミシと音を立てている。
ヤバい・・・し、死ぬ・・・確か、重力は、空間の歪みによって発生するはず、だったら・・・。
俺は、空間を重力とは逆方向に歪める事で、空間の均等を取り戻した。
「はあ、はあ、くそ、危うく潰されるところだった」
俺は、立ち上がり息を吸い込む。
「普通は、今ので死ぬんだけどね。ゴキブリみたいにしぶといね、君は」
少年は眉を寄せ、若干苛ついたていた。
「身体は、割と頑丈でね。簡単に死ぬつもりは無い」
「そうか・・・じゃあ、色々試してみようか?火あぶり、氷付け、水攻め、串刺し、方法は、何でも在るんだ」
少年は、右手に凄まじいエネルギーを集束する。
そして、炎の球を造りだした。
「これは、恒星と同等の力を持つ炎の塊だ。永遠に近い時間、燃えつづけるだけのエネルギーを有する。僕が放てば、君が燃え尽きるまで、追いつづけるだろう」
少年の、朱い瞳は、焔を映し、より朱く煌めいた。
「その前に、一つ、聞きたいんだが」
俺は、警戒を解かずに、少年に話しかけた。
「何かな?詰まらない時間稼ぎなら、直ぐに攻撃するよ?」
「さっき、ミーナ達を、この塔に住まわせると言っていたな、その約束は本当か?」
俺は、さっきのやり取りに、ある疑問を持っていた。
「ああ、僕は約束は守るよ。どうして、そんなことを聞くんだい?」
少年は、嫌な目つきでこっちを観察している。
「お前は、人間を憎んでいると言った。憎んでいる人間に対して、あんな約束をする事が、疑問でね」
「あぁ、そういうこと・・・僕は、楽園に住まわせる事は約束した。だけど、待遇までは約束はしていないよ?」
「・・・どういうつもりだ?」
レンの黒い瞳に影が指す。
「アハハ、君は勘が良いねぇ!・・・そうだねぇ、エニスとか言ったっけ?彼女は確か、骸骨の兵隊達に随分と気に入られていたね。彼らと一緒の階層でペットとして生活してもらうってのも面白そうだ。彼らも喜ぶだろう。そして、ミーナは、両親と一緒に魔物に変えて、50階辺りの守護でもやってもらおうかな?安心してよ。殺されても、ちゃんと生き返らせてあげるから・・・そう、永遠にね」
少年は、美しい顔を歪め、嫌な笑みを浮かべる。
「・・・腐れ外道が。何の権利があって、そんなことが許される?・・・お前が、世界の管理者だからか?神に選ばれた存在だからか?それが、そんなに偉いことなのか?・・・自分が造った物なら、何をしても良いって言うのか?」
「ああ、そうだよ。この世界は、神が造った。だから、神が許せば、全てが許される。神が要らないと言えば、それは、世界から消える。神は、絶対だからね。・・・そして、その神が、僕に世界を任せた・・・だから、僕のやることは、神が認めた事になる。そう、今や、僕はこの世界の神と同等ということになる。アハハハ!」
少年は、狂った様に笑い声をあげる。
「お前は、間違っている。そんな|理(ことわり)なら、お前ごと・・・俺が、打ち砕いてやるよ!」
「ほざくなよ!人間如きが!貴様は、ここで死んで終わりだ!」
少年は、手に持っている炎の塊を放った。
その瞬間、炎は巨大化し、直径10メートル程になって迫ってきた。
しかし、俺が右手を前に出すと、炎は一瞬にして黒い球体に包み込まれた。
俺が手を握った瞬間、黒い球は小さくなっていき、消失する。
「ばかな!?あれだけのエネルギーを、押さえ込んだのか!?」
ゴトン!
少年が驚いた瞬間、少年の首が床に落ちた。
首の在った場所には、黒い小さな壁があり、頭と身体を隔絶していた。
そこへ、更に追い撃ちをかけるように、少年の身体は、上から空間に押し潰されて、トマトの様にはじけ飛んだ。
今の俺に躊躇は無かった。
「全く、少しも躊躇わないんだね・・・いいのかい?僕が死んだら、せっかく生き返らせた、君の友達が大切にしている人間達も死んでしまうんだよ?・・・まあ、僕は死なないけどね」
俺の後から、少年は忽然と姿を現した。
その首は、しっかりと身体にくっついていた。
「この程度で死ぬとは思っていない・・・お前は、自分が死ぬかも知れないって思った事はあるか?」
俺は、暗い瞳で白い少年を見つめた。
「何を言っているんだい?そんなこと思うわけが無いじゃないか。僕は不死身だからね。超越者とは、格が違うよ?僕はこの世界と同等の存在だ。何度、身体を破壊されても、直ぐに再生する。僕を殺すって事は世界を殺すって言うのと同じ事だよ」
少年は、馬鹿にしたように、嘲る様な顔をする。
「そうか・・・今から、お前に、死の恐怖を味合わせる。痛みを知れ。そうすれば、少しは、人の気持ちも分かるようになるだろう」
俺は、絶対空間を解除した。
限界までフォースを放出し、その全てをを全身に纏った。
その凄まじい力に、空間が耐え切れず、周囲の空間は歪み、亀裂が入る。
俺が一歩前に踏み出した瞬間、バリバリと空間が砕け散った。
まるで、ガラスの中を砕きながら進む様に空間を破壊した。
今の俺は、動き一つ一つが空間を破壊する程のエネルギーを有している。
この状態になれば、何者も俺に触れる事は出来ず、何者も俺の攻撃を防ぐ事は出来ない。
完全無敵の状態だ。
突如、白銀の剣が10本、俺の身体に出現した。
しかし、剣は突き刺さる事なく、砕け散る。
俺の身体は空間すら破壊する強度を持っているのだ。
剣など触れる事すらできずに破壊された。
「馬鹿な!?そんな力が・・・で、でも無駄だよ!僕には、そんな攻撃は効かないし、そんな燃費の悪い状態は、長くは続かないはずだからね!」
俺は、一瞬にして少年の目の前に移動し、拳を放つ。
俺の拳は、少年の右頬に当たり、エグるように砕いた。
文字通り、少年の美しい顔は砕け、剥がれ落ちた。
ちょうど、右頬の在った場所には、暗い闇だけが残っていた。
「い、痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!どうしてだ!?痛みなんて、感じないはずなのに!あああああああああああ!」
少年は、生まれて初めて味わう痛みに、悶え苦しんだ。
少年には、理解できなかった。
何故、痛みを感じたのか。
「俺の拳は、世界を砕く。お前が世界と同等だというのなら、世界ごと拳で砕いてやるよ!」
そう、空間の壁の向こう側には、もう一つの壁が存在する。
それは世界の壁だ。
この世界に来た時、白い空間で壁を打ち破った時に、俺はそれに気付いた。
空間の壁を壊すよりも、膨大なエネルギーを必要とするが、俺にはそれだけの力が在る。
「・・・さあ、お仕置きの時間だ!」
俺は、拳を握りしめた。
朱い瞳と黒い瞳が交差する中、2人はジッと止まっていた。
まるで、その瞬間、時間を切り取ったかの様に静止していた。
最初に動いたのは、少年だった。
少年が、白く細い右手を上げた瞬間、空中に白銀の剣が5本出現する。
次の瞬間、剣は一斉に、俺に向かって発射された。
ガキン!
しかし、剣は、俺の前に現れた黒い壁によって防がれた。
絶対空間を発動し、油断なく白い髪の少年を見る。
「へぇ、面白い力だね。物体を具現化してる?・・・いや、違うな、空間を隔絶したのか?じゃあ、これはどうかな?」
少年が、両手を広げると、俺を取り囲む様に、部屋いっぱいに白銀の剣が出現した。
その数は千は下らない。
そして、流星の如く放たれる。
しかし、その全てが、俺に触れる前に空中で静止した。
「凄いなぁ、今度は、空間を凍結させたのかい?・・・人間の分を超えた、凄い力だ。でも・・・」
次の瞬間、左腕に焼ける様な痛みが走った。
「痛!」
左腕を見ると、白銀の剣が、深々と突き刺さっていた。
腕を通して、指先から血が床に滴り落ちる。
「な、何!?」
な、何が起きた?
いや、俺は確かに認識していた。
俺の左腕の直ぐ前に剣が出現したのを。
「・・・ゼロ距離攻撃か?」
俺の言葉に、少年は笑みを浮かべる。
「何だ、もう分かったのかい?もう少し驚くと思ったんだけどなぁ。そうだよ。僕は、この塔の中では、何でも思い通りにできるんだ。だから、君に触れた状態で、剣を具現化した。流石の君も、ゼロ距離で攻撃されたら防御も間に合わないだろ?」
その指摘は正しかった。
通常の攻撃であれば、フォースシールドが防いでくれる。
しかし、同等以上の力を持つ存在の前では、余りに薄い盾だ。
そして、いくら俺の導体視力が良いとは言え、ゼロ距離の攻撃に対応出来るほど、人間離れしてはいない。
俺は、即座に剣を引き抜き、床に放り投げる。
傷口から、大量の血が流れ出た。
本来であれば、剣を抜くのは、馬鹿のする事だ。
しかし・・・。
ボンッ!
床に落ちた剣は、突如爆発して消える。
背筋がゾッとした。
あのまま、刺さっていたら、腕が吹き飛んでいただろう。
「よくわかったね!後、一秒遅かったら、その腕が無くなっていたのに、惜しいなぁ」
少年は、意地悪そうな笑顔を造る。
このまま、防戦はマズイ!
俺は、即座に前に出る。
一瞬にして、少年の眼前に迫り、拳を突き出した。
無防備な少年の顔面へと、俺の拳が当たると思われた時・・・俺の拳は止まった。
躊躇ってしまった。
人間の子供の容姿をした敵を、殴る事が出来なかった。
・・・自分の拳の威力を知っているからこその躊躇だった
少年が笑った瞬間、俺は膝を着く。
全身に凄まじい重みを感じた。
息も苦しい。
「な、何をしたんだ?」
「君のいる場所の重力を5倍にしたんだよ。次は10倍だ。これで、君の体重は、800kg近くになるのかな?」
「重力を操るだと!?」
俺は、全身に纏うフォースを強め、力任せに立ち上がった。
骨が軋み、筋肉が悲鳴をあげる。
「凄いね。この重力の中で立ち上がれるんだ。じゃあ・・・100倍だ。カエル見たいに潰れちゃいなよ」
俺は、凄まじい力で押し潰されて、地べたに這いつくばる。
「カハァ!」
肺が押し潰されて、息を全て吐き出した。
・・・背骨が、ミシミシと音を立てている。
ヤバい・・・し、死ぬ・・・確か、重力は、空間の歪みによって発生するはず、だったら・・・。
俺は、空間を重力とは逆方向に歪める事で、空間の均等を取り戻した。
「はあ、はあ、くそ、危うく潰されるところだった」
俺は、立ち上がり息を吸い込む。
「普通は、今ので死ぬんだけどね。ゴキブリみたいにしぶといね、君は」
少年は眉を寄せ、若干苛ついたていた。
「身体は、割と頑丈でね。簡単に死ぬつもりは無い」
「そうか・・・じゃあ、色々試してみようか?火あぶり、氷付け、水攻め、串刺し、方法は、何でも在るんだ」
少年は、右手に凄まじいエネルギーを集束する。
そして、炎の球を造りだした。
「これは、恒星と同等の力を持つ炎の塊だ。永遠に近い時間、燃えつづけるだけのエネルギーを有する。僕が放てば、君が燃え尽きるまで、追いつづけるだろう」
少年の、朱い瞳は、焔を映し、より朱く煌めいた。
「その前に、一つ、聞きたいんだが」
俺は、警戒を解かずに、少年に話しかけた。
「何かな?詰まらない時間稼ぎなら、直ぐに攻撃するよ?」
「さっき、ミーナ達を、この塔に住まわせると言っていたな、その約束は本当か?」
俺は、さっきのやり取りに、ある疑問を持っていた。
「ああ、僕は約束は守るよ。どうして、そんなことを聞くんだい?」
少年は、嫌な目つきでこっちを観察している。
「お前は、人間を憎んでいると言った。憎んでいる人間に対して、あんな約束をする事が、疑問でね」
「あぁ、そういうこと・・・僕は、楽園に住まわせる事は約束した。だけど、待遇までは約束はしていないよ?」
「・・・どういうつもりだ?」
レンの黒い瞳に影が指す。
「アハハ、君は勘が良いねぇ!・・・そうだねぇ、エニスとか言ったっけ?彼女は確か、骸骨の兵隊達に随分と気に入られていたね。彼らと一緒の階層でペットとして生活してもらうってのも面白そうだ。彼らも喜ぶだろう。そして、ミーナは、両親と一緒に魔物に変えて、50階辺りの守護でもやってもらおうかな?安心してよ。殺されても、ちゃんと生き返らせてあげるから・・・そう、永遠にね」
少年は、美しい顔を歪め、嫌な笑みを浮かべる。
「・・・腐れ外道が。何の権利があって、そんなことが許される?・・・お前が、世界の管理者だからか?神に選ばれた存在だからか?それが、そんなに偉いことなのか?・・・自分が造った物なら、何をしても良いって言うのか?」
「ああ、そうだよ。この世界は、神が造った。だから、神が許せば、全てが許される。神が要らないと言えば、それは、世界から消える。神は、絶対だからね。・・・そして、その神が、僕に世界を任せた・・・だから、僕のやることは、神が認めた事になる。そう、今や、僕はこの世界の神と同等ということになる。アハハハ!」
少年は、狂った様に笑い声をあげる。
「お前は、間違っている。そんな|理(ことわり)なら、お前ごと・・・俺が、打ち砕いてやるよ!」
「ほざくなよ!人間如きが!貴様は、ここで死んで終わりだ!」
少年は、手に持っている炎の塊を放った。
その瞬間、炎は巨大化し、直径10メートル程になって迫ってきた。
しかし、俺が右手を前に出すと、炎は一瞬にして黒い球体に包み込まれた。
俺が手を握った瞬間、黒い球は小さくなっていき、消失する。
「ばかな!?あれだけのエネルギーを、押さえ込んだのか!?」
ゴトン!
少年が驚いた瞬間、少年の首が床に落ちた。
首の在った場所には、黒い小さな壁があり、頭と身体を隔絶していた。
そこへ、更に追い撃ちをかけるように、少年の身体は、上から空間に押し潰されて、トマトの様にはじけ飛んだ。
今の俺に躊躇は無かった。
「全く、少しも躊躇わないんだね・・・いいのかい?僕が死んだら、せっかく生き返らせた、君の友達が大切にしている人間達も死んでしまうんだよ?・・・まあ、僕は死なないけどね」
俺の後から、少年は忽然と姿を現した。
その首は、しっかりと身体にくっついていた。
「この程度で死ぬとは思っていない・・・お前は、自分が死ぬかも知れないって思った事はあるか?」
俺は、暗い瞳で白い少年を見つめた。
「何を言っているんだい?そんなこと思うわけが無いじゃないか。僕は不死身だからね。超越者とは、格が違うよ?僕はこの世界と同等の存在だ。何度、身体を破壊されても、直ぐに再生する。僕を殺すって事は世界を殺すって言うのと同じ事だよ」
少年は、馬鹿にしたように、嘲る様な顔をする。
「そうか・・・今から、お前に、死の恐怖を味合わせる。痛みを知れ。そうすれば、少しは、人の気持ちも分かるようになるだろう」
俺は、絶対空間を解除した。
限界までフォースを放出し、その全てをを全身に纏った。
その凄まじい力に、空間が耐え切れず、周囲の空間は歪み、亀裂が入る。
俺が一歩前に踏み出した瞬間、バリバリと空間が砕け散った。
まるで、ガラスの中を砕きながら進む様に空間を破壊した。
今の俺は、動き一つ一つが空間を破壊する程のエネルギーを有している。
この状態になれば、何者も俺に触れる事は出来ず、何者も俺の攻撃を防ぐ事は出来ない。
完全無敵の状態だ。
突如、白銀の剣が10本、俺の身体に出現した。
しかし、剣は突き刺さる事なく、砕け散る。
俺の身体は空間すら破壊する強度を持っているのだ。
剣など触れる事すらできずに破壊された。
「馬鹿な!?そんな力が・・・で、でも無駄だよ!僕には、そんな攻撃は効かないし、そんな燃費の悪い状態は、長くは続かないはずだからね!」
俺は、一瞬にして少年の目の前に移動し、拳を放つ。
俺の拳は、少年の右頬に当たり、エグるように砕いた。
文字通り、少年の美しい顔は砕け、剥がれ落ちた。
ちょうど、右頬の在った場所には、暗い闇だけが残っていた。
「い、痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!どうしてだ!?痛みなんて、感じないはずなのに!あああああああああああ!」
少年は、生まれて初めて味わう痛みに、悶え苦しんだ。
少年には、理解できなかった。
何故、痛みを感じたのか。
「俺の拳は、世界を砕く。お前が世界と同等だというのなら、世界ごと拳で砕いてやるよ!」
そう、空間の壁の向こう側には、もう一つの壁が存在する。
それは世界の壁だ。
この世界に来た時、白い空間で壁を打ち破った時に、俺はそれに気付いた。
空間の壁を壊すよりも、膨大なエネルギーを必要とするが、俺にはそれだけの力が在る。
「・・・さあ、お仕置きの時間だ!」
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